デビューするならフランスがアツい! 日本人漫画家を育てるフランスの出版社、Ki-oonって?

 デビューするならフランスがアツい! 日本人漫画家を育てるフランスの出版社、Ki-oonって?

2015年に実写映画化された「予告犯」という漫画、ご存知ですか?

実はこの漫画、フランスの漫画なのです!「え、日本人が描いてるんでしょ?」と、思いますよね。著者は確かに日本の方ですが、版権元はKi-oon(キューン)というフランスの出版社です。

 

このように漫画には日本だけではなく、世界にもチャンスが広がっています。

予告犯予告犯予告犯のネーム

▲「予告犯」のオリジナル版(仏語版)と同作品の日本語版(集英社)。ネームは全てKi-oonによりチェックされていました。

 

さて、実際にはどのようにしてフランス→日本のルートで出版されているのでしょうか?

今回の記事では、Ki-oonの東京オフィスで代表を務めるキム・ブデン氏が「日本人がフランスの出版社で漫画を出版する方法」を1から100まで解説します!

日本では意外にも知られていない情報なので、漫画家デビューを狙うみなさん、必見ですよ!

前代未聞!日本とフランスを漫画で繋ぐ出版社

社名

▲Ki-oonのロゴ。社名の由来は「胸がキューン」の「キューン」だそうです。

 

フランスは欧米最大の漫画市場です。去年は1500点以上の新刊が出版され、コミック市場の4割が日本の漫画です(残りの6割がフランスのコミック・バンドデシネとアメリカのコミック)。「ONE PIECE」や「NARUTO」など、ヒット作品の発行部数は10万部を超え、老若男女を問わずフランス人を魅了しています。

 

Ki-oonはそんなフランスの漫画市場内でもトップ5に入る規模の出版社です。創立時点の2003年から日本の漫画家と直接やりとりし、契約を締結してオリジナル作品を何作も出しています。これは通常翻訳コストなども掛かるので、極めて珍しい方法です。

 

Ki-oonでは10年以上にわたって、少年漫画、青年漫画や子供向けの漫画を含む、様々なジャンルに挑戦しながら成長してきました。やはり、漫画愛読者として、そして漫画専門出版社としては、作家さんと協力しながらオリジナル作品を作ることに非常にやり甲斐を感じています。

 

漫画大国で新しい才能を現地で探すという考えが自然に芽生えてきたが、それを実現するために長い準備期間が必要でした。そしてついに2015年10月、日本発のオリジナル作品の制作に注力すべく、東京オフィスをオープンさせました。フランスの漫画出版社が日本にデスクを構えるのは初めてのことです。それだけ私達は新しい才能の発掘に対する強い信念を持っています。

「漫画の逆輸入」はどのように始まったのか

社長

▲創立者兼現社長のセシール・プラナンとアメッド・アニュ。

 

Ki-oonはアメッド・アニュとセシール・プルナンが創立した出版社です。二人とも漫画の大ファンで、漫画を愛するがゆえに、日本語の勉強のみならず日本での滞在まで経験しました。日本の文化に関する知識と漫画に対する熱意を生かすため、大学を卒業してから間もなくこの会社を立ち上げました。

 

彼らにとっての「理想の漫画出版」に向けて歩みだしたのです。フランスではほとんどの漫画が日本産のフランス語訳ですが、版元(日本の出版社)の信頼を得るのは簡単なことではありません。Ki-oonが創立された時代にはすでにフランスの漫画業界は群雄割拠で、新参者には厳しい状況でした。

 

そこで、Ki-oonは日本の出版社に本気であることを証明するために、独特の手段を選びました。それは、「日本人の作家とゼロから作品を作ること」。当時は前代未聞のことでした。出張でコミケに行ったり、ウェブコミックをチェックしたりして、新しい才能の発掘に励みました。その過程で生まれた作品は、たきざきまみやの「Element Line」、そして筒井哲也の「Duds Hunt」です。フランスには漫画雑誌がないため、全て描き下ろしで直接に単行本として刊行されました。

Elements Lineタフ

▲Ki-oon初めてのオリジナル作品:「Element Line」、「Duds Hunt」。

 

この作戦は功を奏しました! 初めてのオリジナル作品刊行において成功を収め、それを機に日本の出版社と取引を開始しました。その後も数多くのヒット作品を刊行し、著しく成長したKi-oon。現在はフランスの巨大な出版グループと同じ土俵で戦える唯一の漫画出版社になっています。

日本のカルチャーから、世界のカルチャーへ

Ki-oonは日本の作家をフランスでデビューさせ、日本に逆輸入するという大胆なプロモーション企画で名を上げました。著者をフランスの漫画祭に招待したり、フランスと日本以外の海外の出版社に営業したり、現在オリジナル作品の宣伝にさらに力を入れています。おかげで筒井哲也の「予告犯」は、日本語を始め10カ国語で刊行され、多くの国で高評価を得ています。また、彼の最新作「有害都市」は、フランスで有名なコミック賞を受賞し、大きく話題になりました。

 ブース
▲ヨーロッパ最大の漫画祭・ジャパンエキスポでの筒井哲也先生作品の宣伝コーナー。「Duds Hunt」、「予告犯」、「Reset」の名キャラの等身大マネキンを制作し、Ki-oonブースの裏に設置しました。

 

シリーズあっしー
▲フランスでも日本と同じように漫画の広告を展開しています。

 

オリジナル作品も続々増やしています。日本人作家の作品だけではなく、フランス人の著者の作品が現在2本制作中です。現在のフランス人の作家は子供の頃から漫画を愛読し、漫画の腕を磨いてきました。日本の漫画が、フランスの漫画家を育てる時代なのです。

漫画家デビューするなら、フランスが狙い目!

「漫画」はフランスでもどんどん人気が出て、年々身近になってきました。

 

そんなフランスから、あなたの作品を世界に広めませんか?私達Ki-oonが完全サポートします!

 

出版まで行き着いた作品は、フランスで書き下ろし単行本として刊行し、それから日本を始め、海外の出版社への仕掛ける仕組みもできています。「予告犯」や「有害都市」のように、日本の連載雑誌に掲載して頂き、日本、フランスで単行本の同時発売という形も夢ではありません。さらにヒットすれば、映像化などのメディアミックスの可能性も大きくあります。

予告犯実写
▲2015年、「予告犯」の実写映画が豪華なキャストで放映されました。

 

フランスの出版社とは言っても、やりとり、契約、作品制作など全て日本語で行われています。ネームの切り方やセリフの作り方なども、日本の漫画と変わりません。フランスではストーリーが重視されがちなので、ギャグや萌えがメインの作品はなかなか売れにくいですが、「ワンパンマン(集英社)」のような変わった作品も受け入れられています。日本とフランスの架け橋になるチャンスです。

 

私達も、オリジナル作品の制作にはやりがいと将来性を大きく感じています。今後も新企画を慎重に選抜し、丁寧に編集し、大胆に宣伝することを目標にしています。

 

あなたの作品、是非お待ちしております!

 

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Ki-oon公式ウェブサイト(フランス語のみ) : http://www.ki-oon.com/

東京オフィス連絡先:

代表名:キム・ブデン

住所:c/oフランス商工会議所

    〒102-0085東京都千代田区六番町5-5 飯田ビル

メール:kim@ki-oon.com

電話番号:03-6824-9596

ロゴ

 
Ki-oonの東京オフィス代表キム・ブデンについて:講談社の国際事業局で四年半働いた後一旦帰国、三年半フランスの漫画出版社・PIKAの編集長として勤め、去年の10月からKi-oonの在日オフィス代表として日本に戻り、現在に至る。

 

Ki-oonとの漫画制作に興味がありましたら、

  • ストーリー
  • 世界観とキャラの設定資料
  • 完成したページ(最低限一話目)

をまとめて、ご連絡ください。

 

Ki-oonがフランスで出版した漫画の一例:

スクウェア・エニックスの「ユーベルブラット 」や「パンドラハーツ」、双葉社の「王様ゲーム」、エンターブレインの「乙嫁語り」、講談社の「いぬやしき」や「聲の形」、集英社の「僕のヒーローアカデミア」などなど…まだまだたくさんあります!