いちあっぷアンケートとは?
MUGENUPの登録イラストレーターさんに
イラスト関連の疑問や、気になるお仕事事情などのアンケートを実施。
頂いた回答を元に記事を発信していきます!
第1回のテーマは「自分の絵柄に影響を与えた作品」。
この記事では調査結果を、人気作品と練習方法に注目してお届けします。
絵柄に直結するのは、漫画とアニメ!
MUGENUP STATIONにて調査をしたところ
絵柄に影響を与えた作品は漫画が圧倒的に多い結果になりました。
ライトノベルは近年伸びてきた注目ジャンル。独特のタッチは「ラノベ塗り」として定着しつつあります。その他には小説、食玩、模型などの意見も寄せられました。
ここからは、多くの人に影響を与えた作品の発表と、その作品を元にイラストレーターさんがどんな練習をしているのかをご紹介します。
【人気作品】少女漫画、女性キャラクター
『カードキャプターさくら』で衣装や装丁を学ぶ
『カードキャプターさくら』では作中に登場する様々な衣装デザインや装飾品に影響を受けたという声が多数寄せられました。また「CLAMP作品全般」として、作家性を支持する回答も多く集まりました。
- 作中に登場するさまざまなコスチューム、また、本作の扉絵、表紙をひたすらトレーシングペーパーを用いてトレースし、さらに模写もしていました。本作にはいたるところに花が散りばめられ、美しく世界を彩っていました。何度も読み返しているうちに花を描きたいと思うようになりました。都会で過ごす自分の周りにはスケッチできる場所がなかったのが残念です。(20代/女性)
『神風怪盗ジャンヌ』で少女漫画のテイストを掴む
20代の女性を中心に、少女漫画の中で最も支持を集めた作品が『神風怪盗ジャンヌ』でした。パチッとした大きな瞳や、フリルなど少女漫画らしいテイストをトレースして練習したという意見が多かったです。
- 衣装や構図、瞳や髪の描き方。線画をひたすらトレースして練習。(20代/女性)
- 主人公の弱さや絵の可愛さに惹かれ、真剣に絵が上手になりたいと思って色々考えた結果、よくトレースをしました。(20代/女性)
『To LOVEる -とらぶる-』で身体の描き方を理解
主人公を取り巻く三角関係を軸にしたラブコメディ作品。
美少女キャラクターが数多く登場し、女性の身体の描き方を覚えたという声も多数寄せられました。
- とにかく女の子が可愛い!女性を描くときは柔らかく見えるように意識するようになりました。(10代/女性)
- 肉質感(20代/男性)
【人気作品】少年誌、男性キャラクター
『ジョジョの奇妙な冒険』でデッサンに興味
「人間賛歌」をテーマに、DIOとジョースター家の世代を超えた戦いを描く名作。作品をきっかけに、デッサンに興味を持ったという意見が多く寄せられました。
- リアルな描写になるようデッサンの訓練をした。(20代/男性)
- がっしりとしたジョジョらしい絵を描けるようにするために、男性の身体を練習しました。(10代/女性)
- 機械の描き方。物の表現の仕方。「すごい」と思えるシーンの観察した(20代/女性)
- 絵柄が変わるきっかけになった。(20代/女性)
『戦国BASARA』『Devil May Cry』で頭身の高い男性を攻略
- 土屋誠さんのキャラクターデザインが好きで、何回も模写しました。(20代/女性)
- 『Devil May Cry3』に影響を受け、模写や線の重ね方などを何度も描き練習した。(20代/女性)
- 構図の取り方、人体の描写の仕方、線画のタッチ、デフォルメ表現を学んだ(20代/女性)
【人気作品】デフォルメ
『神羅万象チョコ』はデフォルメと構図の勉強に
バンダイ発売のカード付きチョコレート。独自の世界観に加え、デフォルメで描かれたテイストに熱中した方も多いようです。
- 線が太くても装飾がつぶれず、独特な絵柄が魅力的。カード枠に収まる&動きがある全身キャライラストを描くようになりました。(20代/女性)
- 体全体を描くことが好きになりました。神羅風に描けるようによく見て練習をしています。(10代/女性)
『pop'n music』でシンプルさを学ぶ
- アナログでしか描けなかった頃ですが、デフォルメの頭身を考えるようになり、人の形を残しながら動物部分を融合させるというのはどのようなバランスがいいのかなどを考えたりして、デザインし、紙に描いたりしていました。(20代/女性)
【人気作品】ライトノベル
ラノベの挿絵担当のイラストレーターを参考に
アニメ化などをきっかけに、近年注目が集まっているライトノベル。
「ラノベ塗り」と呼ばれる独自の塗り方は、最近のトレンドのひとつです。
- 『戯言シリーズ』の挿絵担当の竹さん。線の美しさ、構成の取り方、キャラクターの個性に影響を受けました。(20代/女性)
- 『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』『デート・ア・ライブ』で髪、塗り、絵の方向性などに着目(20代/男性)
【練習方法】基礎力をデッサンで鍛える
作品のテイスト研究だけでなく、基礎を見直したほうが上達につながるという意見も。
- どの角度からでも人体を大まかに描けるようになりたかったので、人体標本やデッサン集などを見ながら描いたりしていました。(20代/女性)
- デッサンの基本を守り、いろいろなタイプを描く。ひたすら描く。(40代/女性)
- 西洋絵画、テンペラ画、鳥獣戯画、近代日本画で画人の基礎をいかす。(デジタルイラストだけではなく)絵の具を触る。(30代/女性)
ダークな世界観を絵柄に
影響を受けた作品
- 漫画『孔雀王』『夢幻紳士』『聖伝-RG VEDA-』『東京BABYLON』『HELLSING』『ドリフターズ』『妖魔』
- アニメ『真ゲッターロボ 世界最後の日』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』『怪 ~ayakashi~』
当時、勧善懲悪とは異なる、あいまいな視点や価値観がエンタメに沢山盛り込まれるようになり、次第にダークヒーローとかダークファンタジーといった、ダーク系の創作物が沢山世に出てきた時代でした。もちろんヒューマンドラマ系の作品も沢山読みましたが、絵柄として影響を受けたのはいわゆる「ダーク系」の作品でした。
自分の絵柄にダーク色を盛り込むため、黒を効果的に使用する練習をしていきました。また、それまでの少女漫画に近い絵柄から、骨太でしっかりした絵柄に修正を加えました。 いい加減にしていた骨格や筋肉のつき方の資料を手元に置きながら、ヌードモデルの写真を模写する等も行いました。(40代/女性)
【練習方法】模写、トレース
多くの方が実践していると回答したのが、模写とトレースです。
- 穴が開くほどよく見た。で、やってみた。(10代/男性)
- 『サムライチャンプルー』で戦闘シーンの殺陣などを模写(20代/女性)
狙いを持つと効果がUP
上達のポイントは、トレースも模写も目的を持って取り組むこと。線画の太さや入り抜きを理解する、パーツの形や頭身バランスを確認するなど、狙いがスキルアップに直結します。髪などの複雑な形状も把握しやすくなり、線画のクオリティUPにも効果的です。また、版権イラストで最も重要な顔似せにも有効なので、アニメやゲームの制作現場でも取り入れられています。なお、トレースしたイラストは元画像の著作権を侵害する可能性があるので、公開には注意が必要です。
【練習方法】アニメから躍動感を学ぶ
- アニメを動かすベテランの原画さんたちにとても影響を受けました。特に躍動感を演出する点でとても影響を受けたのはボンズの主力アニメーターともいえる中村豊さんでした。動画サイトで中村豊さんが原画を担当したパートを様々なアニメ作品から抜粋してまとめたAMV動画を見て、スピード感の演出、カメラのキャリブレーション演出を効果的に使った動き、そしてそれを際立たせる髪をなびかせる、などの躍動感の演出などを学び、刺激的な影響を受けました。自分のイラストや漫画でもこの躍動感を取り入れたいと思い、常にその事を意識して画作りをしていきました。そのおかげで、自分のイラストを見てくれた多くの方々が、「躍動感が素晴らしい」と褒めてくれました。(20代 / 男性)
- アニメは一時停止をして模写。すべて私のイラストのバイブルです!(20代/女性)
設定資料集や原作をチェック
- 『GA 芸術科アートデザインクラス』で設定資料集や原作漫画を参考にキャラクターを描く練習(30代/男性)
設定資料集は平面的なイラストでは分かりにくい部分や、バリエーションの確認にオススメです。特に三面図は服の構造や、キャラクターを横や後ろからも見られるため、自然な作画に繋がります。
その他の意見
- ディズニー作品で動きと質感を意識した。静止画でも動きがあるように、美味しい食べ物は美味しそう!本当に現実にあるみたい!と思わせるようなイラストを描くよう意識しています。(20代/女性)
- きたのじゅんこ画集『予感』や『っポイ!』で繊細な塗りと大胆なポーズや構図に衝撃を受けました。人体の構造やアタリの取り方など調べたり、写生したりしました。(40代 / 女性)
- 表紙、挿絵、作家さんの画集を見て描き方を想像しながら描いてみる。ハウトゥなどあれば真似てみる。(20代/女性)
- 『ベルセルク』『銃夢』『バットマン』『スーパーマン』で効果的な線の運び方を学ぶ(20代/女性)
- 『聖伝-RG VEDA-』『魔神英雄伝ワタルシリーズ』。自分以外の人たちに見せるものなんだ、という意識をもって描くことが大事。(30代/女性)
- 『吸血鬼ハンターDシリーズ』(小説・映画含む)や『攻殻機動隊』などで、ものの描き方や線の表現方法、色使いや構図に至るあらゆる分野に影響を受けた。(20代/女性)
- 『ゼルダの伝説』で、あまりぼかさない厚塗りに挑戦した。(10代/女性)
- 『CLAYMORE』で現実味のある女性の横顔に興味と意識が向くようになった。(20代/女性)
- 『ラグナロクオンライン』でキャラや装飾品に影響を受けた。公式イラストの模写や塗り方、ポーズ、ドット絵からのデフォルメ化を練習した。(30代/女性)
- 『宝石の国』で一本の線に表情を持たせてシンプルに描き切ることを学び、『セブンスドラゴン2020』で体のパーツの描き方やデザインを学んだ。(10代/女性)
- 『テイルズオブエターニア』いのまたむつみさんの、淡く暖かな色使いがとても印象的でした。水彩画や、パステル画など淡い色が出る塗り方を練習しました。(20代/女性)
- 『シャーマンキング』『銀魂』に出会う前までは、ただベタ塗りをするかたちだったのですが、出会って以降は光のあたり具合や影などを考えながら描くようになりました。(10代/女性)
影響から、自分らしさの表現へ
- 一時は完全にマネがばれる絵柄になってしまい、脱出するのに何年もかかりました。(20代/女性)
作品に影響を受けすぎて、自分らしさを出すのに時間がかかったという意見も。
お気に入りの作品の良さやテクニックを上手く取り入れつつ、個性をいかしたテイストにつなげてみてくださいね。
あなたのオススメの作品や、上達方法はありましたか?