覚えるのは色相・彩度・明度の三属性だけ! 初心者のための色彩講座
2015.12.04
イラストを描くとき、なんとなく影色を選んでいませんか?
そのときの気分で影色を決めていると、可愛い絵にしたいのに重厚感ある雰囲気になったり、今風のきらきらした雰囲気のイラストにならなかったりと、意図した表現が出来なくなってしまいます。
そこで今回の記事では影色の選び方を徹底解説!
カラーサークルの使い方から配色方法まで、基礎の基礎からレクチャーします。カラーサークルの正しい使い方がわかったり、トレンド感ある軽めの絵に仕上げることができたりと、様々な着彩場面で使えるテクニックです。是非、ご覧下さい!
ふたつのキャラクターの影色に注目して下さい。どちらの方が今風の軽めなイラストに見えますか?
美少女イラストでは色が濁らない色選びが「今風」です。
左のキャラクターも悪くはありませんが、右のキャラクターの方がトレンド感ある軽い絵に仕上がっていますよね。
実は左のキャラクターは、「初心者が陥りがちの影色の選び方」をしています。
1.影色が黒っぽくなる
2.影色の彩度が高い
3.白の影は必ずグレー
4.黒のコントラストが強い
以上が初心者の陥りがちな影色の選び方です。
これらは、
といった原因があるのではないでしょうか。
これらの点を踏まえて、次のステップではカラーサークルの操作方法を紹介しつつ、「初心者が陥りがちな影色の選び方」の解決方法をご紹介します。
影はつけ方だけではなく、色味もとても重要です。絵の雰囲気を左右するのでシチュエーションや絵のテイストによって色味を考える必要があります。
その為にはカラーサークルの基本知識をおさえなければなりません。
色相・彩度・明度は「色の三属性」と呼ばれ、色彩理論の基本です。カラーサークルでは、色の三属性を自由に変更ができます。
▽色の三属性についてはこちら
影色が黒っぽくなりがちな方は、ベースカラーを元に明度と彩度のみを調整して色選びをしていませんか。
影色が黒っぽくなってしまうのは
以上の2つが原因です。
色を沈ませないためには、色相・明暗・彩度を少しずつ動かすことで色味を調整すると良いです。
球体を使ってシンプルに影色の違いを確認してみましょう。
左の球体は色相を変えず、明度と彩度だけ変更。
右の球体は色相をずらし、明度と彩度も調整したものです。
色相の位置と彩度をずらすだけで、沈まない影色になるのがわかりますね。
影色の彩度を高くすると、影色が目立つので全体的にまとまりのない絵に見えます。
解決方法として、彩度だけではなく色相と明度も微調整すると色味にまとまりが出ます。
「白の影=グレー」はベーシックな考え方ですが、必ずしも影色はそれだけではないです。
上図のように素材やシチュエーションによって色に幅をつけることができます。こちらも同様に色相・彩度・明度を調整するだけで印象を変えられます。
重く無機質になってしまいがちな黒ですが、カラーサークルを調整することで赤みを帯びた黒・青みを帯びた黒など幅を効かせることができるので、上手く使えば柔らかさや軽さを表現できます。
ポイントは完全な真っ黒を使わないことです。真っ黒(#00000)というのは、色味が非常に強いため色合いのコントロールが難しいです。黒でしか表現できない特別な演出意図がない限り、初心者はなるべく使わないほうが良いでしょう。
最後にオマケとして、影色選びのもとになるベースカラー(固有色)の選び方についてご紹介します。
ベースカラーはなるべく濃くない色を選びます。
ベースが濃いと影色も濃くなり、せっかくの影が潰れてしまうので。
ベースを決めたあとは、1影や2影は下記の感じでずらした色相を選びます。
影色選びの基本はカラーサークルの使い方を理解することです。色の三属性すべてを調整することを忘れずに!
着彩は影色も配慮して配色をしましょう。作品の雰囲気がグッとよくなりますよ。また、影色には絶対これ!という正解がないので、自分の描きたいテイストや雰囲気の絵を研究して、素敵な絵をたくさん描けるようになっていただければ幸いです。