イラストレーターのユウキリリーさんによる業界を探っていくコーナーも3回目になります。今回は漫画家アシスタントの世界を探っちゃいますよ!
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こんにちは!イラストレーター兼専門学校教員のユウキリリーです。今回は関東で漫画家のアシスタントとしてお仕事されているブラッディ棚蚊(たなか)さんと一緒に、漫画家のアシスタントのお仕事内容やマル秘話についてお話ししちゃいました!
漫画家のアシスタントって、なんとなーく想像はつくけど具体的にはなにをするの?給料はいくらくらい?気になることをドドンとぶつけていきます!
今回対談するのはこの2人
Q.漫画家のアシスタントで生活はできますか?
ブラッディさんは専門学校を卒業してから、漫画家アシスタントだけで関東で生活をされてるんですよね?実際のとこ生活できてますか?
そうです。漫画家のアシスタントをしながら生活をしています。
んー、なかなか一人暮らしってなると大変ですね。
去年学校を卒業して、実家からアシスタントに入ってた時は、もちろん家賃などもかからないので、大丈夫だったんですけど。都心に行くと大変ですね。
僕も実は漫画家のアシスタントをさせていただいたことがあるんですが、だいたい、10,000円~が日給の相場ですもんね。
漫画家は自営業なのでアシスタント先によって支払い方法は様々で、時給制、原稿の関わった枚数制、あと出版社と契約されていた方なんかもいるそうですね。
私も基本は日給でいただいていて、交通費を出していただいたり、お昼や夕飯をご馳走になったりと、それ以外の部分でかなりお世話にはなっているんですが、やはり安定しないところが、このお仕事の一番怖いところです。
なるほど。アシスタントを募集している漫画家さんは多いんですか?
お仕事の量自体は多いんですが、漫画家デビューを目指している方も多いので、お仕事は取り合いですね。
なので、実力がまずは大切です。
そうかー。じゃあ、ある程度、地元や学生時代に地盤を作っておいたほうが良さそうですね。
上京してから探すってなると、その探している期間の生活費などが怖いですもんね。
お金はギリギリですが、続けていれば徐々にお仕事は増えてくると思います。
一年、二年すれば技量も上がってくるので、それまでは修行と思って、節約ですね!
貯金も大事かもですね。転ばぬ先の何とやらってことで。
Q.漫画家のアシスタントになるにはどうしたらいいですか?
先ほどのお話しにもあったんですが、やっぱりアシスタントをしたいなら東京に行くべきですか?
そうですね。確かにお仕事は圧倒的に東京の方が多いと思います。
ただ、地元でアシスタントをするメリットみたいなものも実際には強く感じました。
地方だとなかなかアシスタント希望者がいないので、重宝されます。単純に競争率が低いので、一度お仕事をさせていただくと、長い期間で使用していただける感じがします。
都心ではやはり先生もできるだけ絵を描くのが速くて上手な子を求めてるので、スキル的に満足してもらえなかった場合は次のお仕事につながらないこともあります。
だからと言って、地方の作家さんがそのあたりを求めていないかというとそういうわけではなく、ただ単にそのスピード感が都心の方が速い感じがしました。
なるほど。都心はアシスタントのお仕事も多い分、希望者が多く、
地方の方が仕事は少ないけど、選んでもらえれば長く関わらせてもらえることが多いっていう経験談ですね。
はい。もちろん、これが全てではないんですが。私はそう感じました。
なので、無理に東京に出るよりは地元でまずアシスタントがないかなどを探してみるといいかと思います。
実家に近ければ、一人暮らしより安心しながら修行ができますし。
私も月に一度ほど帰ってきて、地元でアシスタントをさせていただいてます。
とても、アットホームで皆さん優しい方ばかりです!
Q. どうやってアシスタント先を見つけていますか?
では、場所は置いといて、アシスタントのお仕事をしたいってなった時、まずどうしていけば良いですか?
まずは、アシスタント先を探します。
雑誌の巻末やHPなどにもアシスタントの募集などが載っています。
今であれば、ネットの掲示板の書き込みを利用してやりとりするケースがかなり増えているようです。
Japan Assistants Club(
http://www2.plala.or.jp/JAC/)というサイトはかなり昔からある、アシスタントの募集サイトです。かなりオススメです。
ネットの掲示板にもアシスタントのお仕事が上がったりするんですね!
、アシスタントの求人に応募したからといって必ずしもお仕事につながるってわけではないですよね?
そうですね、まずははじめに作品や過去に携わったお仕事の絵を見ていただく流れが一般的です。
そこで、漫画家さん(クライアント)が求めているものに達していなければ、なかなかお仕事につないでいくのは難しいかもしれません。
専門学校時代に描いていた漫画や、授業の課題を持って行きました。
その他にはお仕事でお手伝いさせていただいた作品なんかも持って行きました。
ありがとうございます。でも、もっと上手い方はたくさんいらっしゃるので……。
でもまずは自分の作品を見せるってだけでも大丈夫だと思います。
漫画がなければモノクロのイラストなんかでもいいかも。
まずは雇い主を探して、そしてそこで見せる作品なんかも用意が必要と。
この二つは必須になってくるでしょうね。
あとは自分が書いた作品を編集部に持ち込んだり、自分の作った漫画が受賞したりすると『担当編者』という方が新人の漫画作家にも付いてきます。
その方にアシスタント先を斡旋してもらうっていうのも一つの手段です。
担当編集者さんが修行のために新人作家を大物漫画家さんのところに送るっていうのもありますもんね。
Q. アシスタントの1日のスケジュールを教えて下さい
先生によってですが、私は10時か12時の出勤で9時間労働っていう流れが一番多いです。
一般の企業より少し遅い感じですね。
付いてすぐに作業に取り掛かる感じですか?
そうですね。基本は先生に指示を仰いで、そのまま作業に進んでいきます。
そのまま描き続けて、ご飯などは店屋物を頼んでくださったり、コンビニに誰かが買いに行ったりと様々ですが、基本はずっと作品を描いています。
帰るのは夜10時過ぎくらいになるので家事などは基本、朝行うことが多いです。
帰ってきてからは、簡単な家事を済ましたら、自分の作品制作も行っております。
そうですよね。ブラッディさんは漫画家になるための修行って感じもありますもんね。
はい、なので出来る限り自分の作品にも触れるようにはしていますが、やはり夜更かしになりすぎると、それはそれで体調を壊してしまうので、気をつけています。
基本社会人と働く時間はあまり変わりませんが、出勤が少し後にずれている感じはあります。
でも、週刊連載の漫画家さんやアシスタントさんはもっと過密にやられてる方もいらっしゃったりしますので、本当にその現場それぞれのタイムスケジュールで進んでいます。
Q. 過去にあった失敗談を教えてください
失敗談!なかなか話しにくい部分もあるかもしれませんが、聞かせてくれますか?
アシスタントをさせていただいた作品を実際の雑誌で見た時は毎回、反省をすることが多いですね。
自分で描かれたところは雑誌で確認されているんですか?
はい。やっぱり単行本になると縮小されるので、そこを考えて描かないといけないのですがなかなか初めの頃はうまくいかず、反省の毎日でした。
でも、繰り返していくうちに、この線なら印刷に回したらどのように出るのかという判断が少しずつ出来るようになってきました。
線の綺麗さなんかもやはり漫画家さんやチーフアシスタントさんなんかは半端じゃない綺麗さなので本当に毎回勉強させてもらってます。
一回で出来る人なんていませんもんね。トライアンドエラーで出来る限り早く技術力を上げることが大切ですね。
あとは、次回にお仕事が繋がらなかった時は反省しました。
特に問題なく、あるアシスタントの仕事を終えたんですが、次回のお仕事に繋がらなかったので、そういった部分は結構一人で悶々と考えてしまいます。
確かに、他に違うアシスタントが見つかっただけかもしれないんですが。
やっぱり生活がかかっているので、出来る限りお仕事をとって行けるように 気をつけています。
Q. アシスタントになるにはどんな技術が必要ですか?
テクニックでいうと線の綺麗さがかなり大切です。
パースや絵の基礎をしっかり理解できているのも、大切だと思います。
ブラッディさんはどうやってそこの向上を図りましたか?
パースは学校で習いました。苦手でしたけど練習して、今はしっかりと理解できている気がします。
線はまずはいっぱい、Gペンや丸ペンで落書きや作品を描きましょう。
描けば描く分だけ上手になります。絶対!
やっぱり絵が上手くないとアシスタントは厳しいですか?
そんなこともないと思います。
結構人柄で選ぶ作家さんがいたりしますので。
なので、まずは業界に飛び込む感じでアクションを起こしてほしいです!
まとめ
今回の話も濃厚でした!当たり前ですが、やはり人間同士のお仕事なんだと思いました。
人柄や技術、総合評価でニーズに合った人材がやはり多くの依頼を手にしていると実感しました。敷居が高い!というイメージもあったんですが、業界自体も新しい人材を求めてることもわかりました。皆さんも是非!思い立ったが吉日!
お仕事はそんなに遠いところにある訳ではないと思います!
ブラッディ棚蚊さん、貴重なお話ありがとうございました!
ブラッディ棚蚊
漫画家アシスタント・漫画家
大阪デザイナー専門学校を卒業後、上京し、漫画家のアシスタントをしながら自身の作品も制作中。
自身も漫画家になるため日々勉強し、自分の作品にもそのテクニックを惜しみなく使い、クオリティの高い作品を制作している。
今後の活躍に期待が集まる新人漫画家の一人である。