デビューして分かった「プロとの壁」 若手イラストレーター② ねたろぅ

デビューして分かった「プロとの壁」 若手イラストレーター② ねたろぅ

イラストの教本を買っただけ満足していませんか?

買ったのは良いものの、読んで終わりでは、なかなか上達しません。教本を上手く使いこなすことで、学校に通わずともイラストレーターとして活躍することが出来ます。

 

今回は独学でプロイラストレーターとしての道を切り開いた若手イラストレーターのねたろぅさんにその方法を教えていただきました。

 

ねたろぅさんは、『ガールフレンド(仮)』(株式会社サイバーエージェント)やゲームの原画を手がけているクリエイターです。20歳からイラストを独学で学びはじめ、僅か数年でイラスを描いて生計を立てられるところまで成長しました。

 

なぜ数年の独学でイラストレーターとして活躍できたのでしょうか。それはプロの世界に踏み込んだからこそ分かった「プロとの壁」を乗り越えるために購入した教本の使い方にカギがあります。

 

これからイラストレーターを目指す方やプロの門出迎えたばかりの方に、是非一読していただきたい内容です。

 

 

 

退学してまで目指したかった「イラストレーター」への道

イラストを描き始めた理由は周囲との力量差

――ねたろぅさんがイラストを描き始めたキッカケとは

「高校生の頃、授業中にリレー漫画を描くのが流行っていました。私は棒人間みたいな絵しか描けず、周囲との画力の差に焦って模写を始めたのが最初の一歩です。その後、大学生となり模写ばかりしていた私に友人が同人活動を勧めてくれたことがキッカケで、本格的にイラストを描きはじめました。」

大学在学中に見つけたイラストレーターへの道

「進学していた大学は絵とは無縁で金属や木材などで物を作るデザイン系の専攻でした。
しかし、イラストを描くことがなにより楽しく、これから自分が職業として本当にやりたいことだと気づきました。親に申し訳ないと思いながら、イラストレーターを目指すために退学しました。」

 

そこではじめは専門学校の入学を目指し、アルバイトで資金を稼ぎながらデッサンや模写、教本を使って独学を続けていたねたろぅさんですが、本格的にイラストを描き始めてから2年後、最初のお仕事を頂く機会に巡り会いました。

 

「最初のお仕事は知人からの紹介でした。近年、ネット環境で他のイラストレーターを目指す方々やプロイラストレーターと交流を得られる場所が増えています。当時の自分はそういった場所でいろいろな方と交流を取らせていただいており、そのときに知り合った方に仕事をやってみないかと声をかけていただいたのが、ひとつのきっかけでした。」

デビューしてわかった「プロの壁」

知人から紹介されたのはゲームイラストの着彩の仕事。そこではじめて「プロの壁」を間の当たりにします。

 

「最初の仕事はゲームのCG着彩でした。一度も描いたことがないものが多く、ひとつの仕事をするのに大量のイラスト教本を買って、学びながらなんとかやっていました。仕事の給料すべてが資料、教材に消えるぐらい勉強しましたね。」

 

実は独学の場合、得意なもの以外は練習する機会が少ないです。学校のようにこなしていく課題が与えられないため、自身が「描こうとすら思わないもの」はなかなか描くきっかけが得られません。

経験の浅さをカバーした教本との出会い

いざ仕事を依頼されたねたろぅさんは、自分の経験の浅さを実感します。イラスト教本を片手に何度も練習し、仕事のニーズに合わせて自身の技術幅を一歩ずつ広げていきました。現在でも参考している教本に出会ったのはその頃でした。

 
「今もよく目を通すのは、『萌え絵の教科書』シリーズ(三才ブックス)、『デジタル作画法 アニメで見た空と雲のある風景の描き方』(ナツメ社)ですね。参考書ではありませんが、『空の記憶』『言の葉の庭』という新海誠先生[※1]の作品集が個人的に一番のオススメです。」

※1 新海誠とは日本のアニメーション作家・映画監督。代表作として『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などがある。風景描写の緻密さ、美しさが特筆されている。

教本の使い方は「描いて練習する」こと

「教本などの参考書は、一度読んだだけでは意味がありません。読んだことによって理解したつもりになっているだけのことが多いです。本当に自分が覚えたいと思ったことは必ず何度も描いて練習することをオススメします。」

 

ねたろぅさんは教本でコツコツと学んだスキルを活かして、様々な仕事を請け負っていきました。結果としてキャラクターデザイン、背景、漫画など幅広く仕事ができるようになり、イラストレーターとしての地位を確立しました。

イラストレーターとしての強みを作る

幅広く仕事ができることとは裏腹に器用貧乏であるとも思い、クリエイターとしての次のステップを考え始めました。教本からは特定の技術を学べますが、様々な技術を習得しただけでは自分だけの絵が描けるようになるとは限りません。ねたろぅさんは現在、作品に作家性を吹き込むために「キャラクターをより魅力的に描くこと」を一番意識しているそうです。

 

「ライトノベルやゲームのキャラデザなどのイラストを担当されている方々の大半は『キャラクターの魅力を描く方法』がそれぞれ確立できているのですが、私はキャラデザが苦手でいつも試行錯誤しながら描いています。」

 

教本の内容は技術について触れたものです。そこから得た技術をもとに自分なりの個性を確立していくことがイラストレーターとしての道をさらに広げる糧となります。

 

そしてキャラクターの魅力を高める方法を試行錯誤した結果、ひとつの答えにたどり着きました。

 

「最近意識しているポイントは、『フェチ』を描くことです。フェチとはいわゆる萌え要素であり、キャラクターをより魅力的にみせるポイントだと思っています。大雑把に分けて『おっぱい、お尻、太もも』など、女性の魅力となる部分を強調して描いていますね。」

ねたろぅのイラスト

現在、作家性が求められるライトノベルの仕事を目指すねたろぅさんにとって、魅力的なキャラクターを描くことは重要なことです。ライトノベルの挿絵は本の売れ行きを大きく左右する主要箇所。より魅力のあるキャラクターを描くことで、大勢の読者を掴むことがでるからです。

大勢の目につく仕事を次の目標に

自身の活躍の場を広げるために、様々な仕事に挑戦しているそうです。現在はライトノベルの挿絵担当を目標に定め、大勢の目に触れる仕事を目指しています。

 

「ライトノベルの仕事をやってみたいと思っています。書店など人目につくところにでるような仕事に携わってみたいです。」

 

自分の強みと弱点を冷静に分析し、教本を熟読しながらコツコツと結果を実らせていくねたろぅさん。イラストレーターとしての道を進み始めた彼の作品を全国の書店で目にするのはそう遠くはなさそうです。

ねたろぅ プロフィール

ねたろぅのプロフィール画像

イラストレーター。『ガールフレンド(仮)』(株式会社サイバーエージェント)やゲームの原画などを手がけている。20歳からイラストを独学で学び、僅か数年でイラストレーターとして活躍できるまでに。現在も精力的にイベントの参加や様々なジャンルのイラストの仕事し、活躍の幅を広げている。

 

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