個人の時代”に個人で出来ないその先へ(後編)| クリエイターズ・サバイバル アーティストの戦略教科書 第3回 loundraw×石井龍

個人の時代”に個人で出来ないその先へ(後編)| クリエイターズ・サバイバル アーティストの戦略教科書 第3回 loundraw×石井龍

※本記事では前編と後編に分けてお送りします。

 

「クリエイターズ・サバイバル アーティストの戦略教科書」第3回ではイラストレーターloundraw氏と彼のマネージャーでありプロデューサーでもある石井龍氏の対談をお届けする。

 

前編ではお互いの経歴や、特異な信頼関係の秘密を伺った。後編ではSNSなどによって変貌した現代カルチャーシーンを行く上でのそれぞれの考えを擦り合わせるなかで、未来のクリエイターの道標となる提言を探っていく。

 

多彩な表現に挑むポリシー

―― 前編では表現方法は違えども、軸となる表現したいものは同じという話をうかがった。その上で改めて、様々な表現方法に挑む理由を探る。

 

loundraw:

僕は絵を描くことだけがゴールだと思っていません。

 

一番最初に誉められて日の目を見たのが絵だったのはそうですが、個人的にモノの仕組みや、どういう作品がかっこいいと思われるのかを調べることもすごい好きなんです。

 

理系の家系に生まれたのも関係あるかもしれないですが、好きな小説のどこが好きなのだろうと分析することが好きなように、イラストレーションに限らずどんな表現であれ、挑戦できる機会があるならやりたい、探求したいという気持ちが大本のポリシーとしてあります。それは様々な表現に挑む理由と言えますね。様々な創作は、結局自分の中で同じ場所で繋がっているというか。

 

▲loundraw氏が手がける漫画『あおぞらとくもりぞら』(原作:三秋縋)。イラストレーションのみならず、漫画やアニメーション制作など多彩な表現に挑む。

 

―― マルチな活動をするloundrawさんだが、プロデューサーとしてはイラストレーターのような分かりやすい肩書きがあったほうがビジネス的に有利と考えることはないのだろうか。

 

石井:

そうした不都合はあまり考えないです。今は成果物も一緒に見せることが当たり前ですし、作ったものを見てもらって、そこに表現されるものが確立しているなら肩書きは関係ないと思います。

 

ただ、ビジネスとは関係なく、彼の活動を人に説明しづらいという面はあります。なにをやっている人ですか?と聞かれても、コンテクストが込み合っていて、分かる人にはすぐわかってもらえますが、予備知識がない方には少し難しいです。

 

クリエイターとしてのルーツはとても大切にしているので、基本的にはイラストレーターとして紹介しています。なんでもやっていますがイラストは原点ですし、それを大切にするのはいつまでも変わらないことなので、名乗るのであればイラストレーターだろうなと思っていますね。

 

▲左:石井龍氏、右:loundraw氏

 

―― イラストレーターとしての活動を主な舞台にしつつも、文筆業に音楽制作、アニメ制作における作業を一挙に手がけたこともあるなど、世間におけるloundrawのイメージは、マルチな才覚を発揮する天才クリエイターとして広がっている。

 

loundraw:

loundrawのイメージをどうしていくべきかについてはよく話しますね。

 

このようなインタビューにしても、終わった後に「あの受け答え大丈夫でしたか?」など、これから伝えていきたいことやスタンス、意志の齟齬がないかを確認しあっています。

 

会社として僕を応援してくれているからこそ、僕個人というよりは、チーム全体の意志としてloundrawがどうありたいかを考えないといけないと思っているので。

 

石井:

活動が広がるにつれてloundrawのイメージというものが彼自身とずれていくと思うんです。

 

もちろん彼のイメージは彼だけのものですが、多くの方々の期待や想いが乗っかり、だんだん彼の手を離れたところでイメージが形成されていきます。なので、客観的な視点の擦り合わせはよくします。

 

最終的な判断はもちろん本人ですが、選択肢の提供はできた方がいいと思いますからね。

 

とはいえ、loundrawをクリエイターとして、アーティストとしてブランディングしている意識はないですね。なにかを付け足したり加工するのではなく、彼のもっているものをどう引き出すか、どう伝わるかを考える、それを唯一のポリシーとしています。

 

loundraw:

なにが間違いでもないし、結局のところ僕が思っていることがloundrawのすべてではあるんです。なので、人と話す時に自然に言葉を選ぶように、loundrawとしてどういう言葉を選ぶかを考えています。

 

最近はこうした取材をご依頼いただいたり、僕よりずっと若い世代に進路の相談などをされることもあり、ありがたいことにひとつの目標として見てもらえることも増えてきました。

 

そうした憧れの気持ちを裏切りたくはないので、嘘は言いたくない。でも、夢も壊したくない。それはどちらも偽らざる本心なので、石井さんと相談しながらどうあるべきかは常に考えていますね。

▲大学の卒業制作アニメ『夢が覚めるまで』。loundraw氏は監督・脚本・構成・キャラクターデザイン・原画・動画・背景・撮影、アニメーション制作の全てを手掛けた。音楽にはBUMP OF CHICKENの「66号線」「angel fall」、声優には雨宮天と下野紘が起用されている。

 

―― 羨望のまなざしを受けることは、時としてプレッシャーやストレスになることもあるのだろうか。

 

loundraw:

もちろんプレッシャーがないといえば嘘になりますけど、見せている自分が完全な作り物というわけでもないので、そこまでのものではないです。

 

結婚式にスーツでいくようなもので、ピシッとすべきするところはする。普段の様子とは違いつつも、完全に本心と異なるわけではないという感覚ですね。ただ、今のところはうまくできていると思いますが、だんだん難しくなっていくんだろうなとも思います。

 

石井:

人間的なところは敢えて見せないと思われているかもしれませんが、厳格に基準を設けているわけでもないので、インタビューにしてもその時の精神状態によって、普段言わないことを言っていたり、素が出ていたりしていて面白いです。それでいうと今回はさらけ出している気もします(笑)。

loundrawの異常な作画スピードの秘訣

―― お二人には事前に自身の傾向についての分析「SWOT分析」をしてもらった。普段行動を共にする二人だが、互いの自己分析を見るのははじめてのこと。

 

loundraw:

「細かいことが気になる」とか、石井さんはいつも通りですね(笑)。

 

石井:

気を抜くと神経質になるので……。細かいことが気になるといっても、loundrawは自分のスタイルが確立しているからあまり口出すこともないです。

 

FLAT STUDIOはみんながスペシャルになると期待しているクリエイターたちのチームで、メンバーそれぞれにマイウェイがありますが、チームである以上まとまらなくてはいけない時もあって、僕も細かく口を出してしまうので、それが気にさせてるのかなとは思いますね。

 

ワークフローひとつとっても、ファイルのネーミングやレイヤー構造などもすごい気になってしまうんです。こうした方がいいという僕なりの正解があったりしますけど、人によって正解は違うので、チームの場合は擦り合わせるのがより難しいですね。

 

▲石井龍氏のSWOT分析。

 

―― 自らの長所に「筆が早い」とあげるloundrawさん。たとえば小説の表紙イラストを1枚描くとしてどれくらいの時間がかかるのだろうか。

 

loundraw:

僕は起きるのが遅かったりするので、何日という区切り方が難しいのですが、体感では2日で仕上げています。

 

石井:

合理的という言葉で片付けるのも違うのですが、フィーリングとテクニックがうまく融合する最適な表現から逆算して描いているので、描かなくていいところは描かない、でもここはこだわらないといけないところはしっかりと描く。そういう計算を各セクションでやっているので早さとクオリティが両立しているんだと思います。

 

loundraw:

時間を計算できるのも強みだと思っています。


所要時間を言われたら、その中で完成させるべく作業時間の計算ができますから。石井さんもそれを踏まえて、絶対の信頼の元で構成したな、みたいなスケジュールをくれたりします(笑)

▲loundraw氏のSWOT分析。生産性の高さは非常に強い武器となっている。

 

―― 「筆の早さ」と「作業時間の計算」。単純にして絶対の強みとして確立される技能が磨かれた背景とは。

 

loundraw:

たくさん絵を描いてきたからというのも大きな理由ですが、僕は作業の工程をものすごく吟味するんです。

 

どの工程にどれくらい時間がかかるかもそうですし、新しい取組をするにしても、ベースからどれくらい離れているかで作業の時間や労力もなんとなく計算できます。

 

石井:

才能による早さだと思われている節がありますが、彼はものすごく絵を描いているんですよ。

 

例えば会話をしながらも紙の端に描いてたり、5分の空き時間にもホワイトボードに描いていて、そのなかに新たな発見をしてここもっと早くできるなとかボソボソ言っているんです。もちろん才能もありますが、積み重ねによる部分もものすごく大きいと思います。

 

―― 学生時代から一線で活躍し、華々しいキャリアを持ちながらもまだ24歳の若き天才と評価されるloundrawさんだが、本人もその「若さ」を大きな武器だと考えている。

 

loundraw:

若さを評価されることは、言うなればのびしろのようなもの、未来を期待されることだと思っているんです。

 

今このレベルなら、5年後はどうなっているだろうと煽ってもらっている感覚で、ポジティブな要素だと思っています。その反面、若いクリエイターだから尖った性格をしているんだろうなと思われることもあるので、気を付けなくてはいけない部分でもあるのですが。

 

―― loundrawさんのイラストは少年少女のような普遍的なモチーフを透明感のある描写で描くことに定評がある。しかしその強みも表裏一体だと本人は考えているようだ。

 

loundraw:

光や少年少女は時代に左右されないモチーフなので、10年後に描いてもloundrawのイラストといえばこうだよねとわかってもらえるのは強い要素かなと思っています。

 

しかしそうした普遍的なモチーフは飽きられやすいですし、想像の範囲に収まりやすいというのも事実なんです。

 

たとえばマシンのイラストを描く人は次に描くものもマシンなんだとは予想できても、そのディテールや構図までは予想できませんよね。

 

でも僕の絵は次も写実的な少年少女だろうし、例えば逆光だろうなと予想されてしまう。期待されているとも言えるのですが、予想は越えなきゃいけないとは常に思っているので、越えなくてはいけないハードルがものすごく高いです。

 

アーティストシーンに見るSNSの功罪

―― アーティストのプロデュースもSNSなどを通じてもはや個人でできる時代。そうして台頭するアーティストも多くいる中で、loundrawさんが取り組んできたこと。

 

loundraw:

かなり昔のことでいうと、絵を投稿する時にキャプションとして1行ポエトリーな文章を描いて、世界観を絵プラスアルファで広げていこうとは工夫していました。

 

これからの人にどう参考にしてもらえるかも意識していましたし、同じ日に連続して公開するのではなく分散させるとか投稿時間にも気をつけていましたね。描いたもののクオリティは描き上げた瞬間に決まってしまいますが、僕の努力でその価値を1.1にしたり1.5にできたりはすると思うので、色々考えてはいました。

 

投稿頻度もなるべく高い方がいいとは思っているのですが、気合いの入った絵をあげる前はあえて貯めるとかの仕掛けを施したりもしています。最近更新が滞っているのは素直に忙しいからなのですが(笑)

 

 

―― 作品の公開の場がSNS上に広がったことで、個人のクリエイターにもチャンスが広がる一方で危惧されることもある。それは消費のスピードが急速に早くなることだ。

 

石井:

消費のスピードは本当に早くなりましたよね。好奇心にも集中力は必要だと思うのですが、その集中力の維持が難しくなってきたのかなと思います。

 

loundrawは手が早いので忙しくてもいろんな作品を描けていましたが、プロジェクトが大きくなると、描いたからといってすぐに公開することは難しくなっていくことも考えられます。

 

そうして自分の意志とは別に発表のペースが下がってしまうと、消費のペースが早い方々には、自分のペースに合わないからもう注目しなくていいのかなと思われてしまうかもしれません。

 

―― SNSを通じてクリエイターとファンが直接結び付くようになったことで、消費のスピードが急速に上がった。SNSがもたらした変化はそれだけではなく、企業と個人の関係をも変容させる。

 

石井:

たとえば昔はデザイン会社がたくさんあったわけではないので、どれだけ小さな仕事でも企業にまわってくる状況がありました。ですが、今はフリーランスとして活動するデザイナーさんもたくさんいるので、案件によってはフリーの方にお願いすることも一般的になってきましたし、大きい案件だとしても外部パートナーとして個人の方をアサインするなんてことも増えてきました。

 

そうした時に、企業である意味やメリットがなにかと改めて考え直す必要が出てきたと思います。

 

今までは企業としてノウハウのある集団であることに意味があったので、そこに仕事を発注すれば済んでいたのですが、もはや個人でも同じことができるようになってしまったので、仕事をどこへ発注するかは好みやローカルな人間関係の領域に入ってきました。

 

どうしても個人だけではできないこともありますが、個人でもなんとかなる時代においては、チーム作りそのものが難しくて、現実的な問題として僕たちも今仲間が増やしづらくなっています。

 

―― SNSは個人の時代を切り開いた一方で、集団による作業の難しさを際立たせた。そもそも個人のクリエイターにスポットライトがあたりやすくなったのも、SNSによるジャンルおよびファンの細分化に大きく起因している。

 

石井:

たとえばloundrawであれば美術とキャラクターが調和した綺麗なイラストを描くという魅力がありますが、かたやキャラクターデザインに特化したイラストを描くという魅力を持つイラストレーターさんもいます。イラストはビジュアル表現のひとつに大別されると思いますが、その細分化されたジャンルの中にもさらにたくさんの選択肢がある。

 

多くの方に見てほしいという目的意識でイラストを描くとすると、どのようなイラストを描けば最も人に見てもらえるか、クリエイター側はより悩まなくてはいけなくなっているように思います。

 

イラストファンのリテラシーが高くなり、自分の”好き”を探す精度が上がるなど文化としてはポジティブな部分もありますが、その反面興味やトレンドなども細かく別れすぎて、母数として計算できる特定のジャンル全体のファンという人たちがそもそも少なくなってきているのかなとも思います。


たとえば音楽にしても特定のバンドのファンを名乗る人はいても、特定のジャンルならなんでも好きという人は少なくなってきたのではないでしょうか。

 

自分自身にも言えることですが、選択肢が増えたとしても、いろんな選択肢の全てを選ぶのではなく、ひとつのものや人にフォーカスすることが増えてきていると思います。

 

ある意味、熱量の高いファンが増えやすいとも言えますが、期待してもらう為には常に新しく超越的なことをしないといけないので、応援してもらい続けることは相当難しいことなんです。

FLAT STUDIOとして見せていく姿勢

 

―― 個人が成り立つ時代に彼らはFLAT STUDIOというチームを立ち上げた。あえてこの時代にチームでプロジェクトに取り組むことに見出だす勝機とは。

 

loundraw:

イラストレーションというものには時間軸がないことが、僕個人にとってコンプレックスなんです。

 

僕は描いた1枚のイラストの前後にも広がる世界を考えているのですが、イラストとして表現されるのはどうしてもその一瞬だけ。瞬間を切り取ることが上手いと評価を頂いていますが、僕が表現したいのはその一瞬だけではないんです。

 

その点アニメーション表現は時間の流れを描くことができますし、他にもイラストではできない可能性が広がっていて、クリエイターとして単純にチャレンジしてみたいことでした。

 

勝機と言えるかは怪しいですが、イラストレーターがスタジオを立ち上げるということにも新規性があると思っています。これまでとは異なる作業にはなりますが、逆に異なる視点を持ち込むことで新しいものを生み出せるとも思うんです。

 

石井:

アニメーションの領域にイラストレーター的視点を持ち込めるのは僕もストロングポイントだと思っています。アニメーションスタジオと名乗っているのにもかかわらず、メンバーはほとんどアニメ業界出身の人間ではないので、他のスタジオさんとお仕事をさせていただくなかで日々勉強させて頂いてます。

 

イラストレーターが音楽活動をすることに関しても、そういった越境的な活動をポジティブに捉える時代になってきていると感じますし、若い世代には最初からジャンルに縛られない表現を目指す方が出てきている。そういう子たちがキャリアを考えるなかでのひとつの選択肢になりたいとも思っています。

 

異なる職能の人間が集まりながらも、目指す方向が一緒なので共同作業ができる。だからこそ色んな知見が集まる場になりますし、異なる切り口を提供できるというところは、FLAT STUDIOの特徴として楽しんでもらえるんじゃないかと思いますね。

▲ART&MUSIC&STORYの音楽アート集団”CHRONICLE”のデビュー曲「宇宙」。loundraw氏は監督・脚本・コンテ・キャラクターデザイン・総作画監督・美術監督・3DCGを務める。

 

―― ある種画一的な業界への挑戦のようにも思える取組には、変革をもたらそうという意志も込められているのだろうか。

loundraw:

個人に注目が集まる時代は確かにきています。それは、誰かがわかりやすく整備したものではなく、整えられていないリアルなものや個人の考えが共感を得るようになってきたということだと思うんです。

 

アニメにおいても個人の考えが反映された作品はもちろん今もありますが、それができるのは現状巨匠と呼ばれるような力のあるベテランだけで、僕のような若い世代の哲学を、それに近しい年齢で描くというのはやはり現実的には難しいことのかなと。

 

スタジオはまだ小さいものなので、なるべくFLAT STUDIOとしての考えを濃く反映させていきたいですし、そこに面白さがあると考えています。調子にのっているようにも聞こえてしまうと思いますが、もしできたら意義のあることだと思います。

 

石井:

“個人が注目される時代”にも繋がる話なのですが、個人といってもクリエイターやアーティスト、表舞台に立つ人だけが個人ではないんです。

 

創作に対する意識は作品やプロジェクトに関わる全員が持つべきなのではと思っていて、「自分なんかどうせ……」と思うのではなく、それぞれが自分と向き合い、作品を通じて世界を良くしていこうという気持ちが繋がっていくとその先頭にいるアーティストやクリエイターはもっと活動がしやすくなると思います。

 

綺麗事や熱血な話に聞こえるかもしれませんが、結局大切なのはそういう思いですし、そういう真剣な態度をダサいと思ったり、カッコ悪いとされる空気は変えていきたいですね。

▲LINEノベル イメージムービー『未来想像記』。loundraw氏は監督・脚本・演出・キャラクターデザイン・総作画監督・美術を務める。

 

―― 未来のクリエイターへの提言が詰まった対談となったが、最後に二人が見据える未来のビジョン、野望について聞いた。

 

loundraw:

ひとつはやはり、FLAT STUDIOでのアニメーション制作を確立して、自分にとっても世にとっても価値のある作品を作ることが現実的な目標です。

 

もうひとつ大きなものとして、そういう活動を続けるloundrawが示す姿勢によって、「自分なんか……」と思ってしまう人たちに対して、「頑張ればなにかできるかもしれないんだよ」と勇気を与えられたら、僕が僕として、そしてFLAT STUDIOとしてやっていく意味があると思います。

 

石井:

現実的な目標としてはFLAT STUDIOとして新規性のあるプロジェクトを立ち上げアピールをしていきたいです。同じく所属メンバーであり小説家の佐野徹夜とも新たなプロジェクトの準備をしています。

 

そういった取り組みがloundrawの次につづくイラストレーターであったり、こういう活動を志す方々に向けてのメッセージになるといいなと思いますね。色々な才能も持った方と一緒にもの作りができたら嬉しいですし、リアルな話一刻も早く手伝ってほしいと思っています(笑)。

 

技術はまだ伴っていなくとも、意志と感性を持っている新たな才能には早く出会いたいです。僕らはいつでも待っているので、なにかしらアクションを起こしてほしいですね。実際今のFLAT STUDIOにいるメンバーにも、実績は全くなくて履歴書を書くためにはじめてキャラを描いたなんて人間もいます。

 

もちろんただやればいいわけではないですが、失敗にも価値があると思いますし、挑戦する人を肯定して、前向きな一歩を常に踏み出し続けることが大切ですよね。

 

そういう綺麗事を言っていたいですし、それを綺麗事で終わらせず実行していくことをFLAT STUDIOの姿勢を通して見せていきます。

 

(聞き手・取材:オグマフミヤ / 編集:いちあっぷ編集部)