「食べ物はとにかく美味しそうでなくてはならない」それは食べ物を描く上での必須条件です。今回は、より臨場感を作るためにわかりやすくほとばしる肉汁と油を描いていきます。
▽目次
肉の描き方
まずは、メインとなる肉のアタリを描きます。
繊維や凹凸がブレないように細かめに描いておきます。もちろん描き方は様々で、線画なしで色を重ねて作っていく方法もありますが、今回はシンプルに、最初にかたちを決め打ちして描いていきます。そうすると、途中で繊維の走り方などが不自然になってしまうのを防ぐことができます。
線画に色をつけます。線画が黒のままだと悪目立ちするので、肉の影色に近い色をおきます。
肉の塗り方
下塗りをします。おすすめは、面によってレイヤーを分けることです。境目がぼけて形が定まらない問題を回避できます。
肉の断面の赤みのレイヤーも作ります。できるだけレイヤーを分けておくと、迷子になりにくいです。
背景色ものせます。鉄板の設定なので、肉の影はかなりはっきり落ちますので、こちらもレイヤー別で色をおきます。
背景の暗い部分を落とします。こちらも好みですが、今回はグラデは使用しません。
グラデは安易に手を出しやすく、綺麗なグラデーションが作れますが、簡単ゆえに平面的になりがちで質感を出すのが難しくなります。できるだけブラシを使って広い空間を塗ることをおすすめします。
肉の赤い部分を描きます。
大まかに濃淡をつけたら繊維に沿って細かい濃淡をつけていきます。コツは、細かくスポイトツールで隣の色をとりながら、この時点では筆跡がおおざっぱにみえますが、気にせずこのぐらいで置いておきます
明るめの部分を上から描き込んでいきます。こちらもざっくりで構いません。ただし繊維の走り方には気を遣ってください。
赤い部分と焼けて茶色くなった部分の境目をぼかしていきます。様子を見ながら細かく色をのせていきます。
繊維の影が落ちている部分を再度起こしていきます。こちらはくっきりさせるという意味合いもあるので濃いめでガツっと描きましょう。
繊維の影が落ちている部分を再度起こしていきます。こちらはくっきりさせるという意味合いもあるので濃いめでガツっと描きましょう。
断面の焼けている部分を描いていきます。考え方は全て同じで、資料を傍に見比べながら質感に注意して描きます。
肉の上面を描きます。こちらは光が当たる部分なので油の照りが感じられると良いです。他の面よりかなり薄い色で描いていきます。
手前のもう一つの塊を描きます。強火で焼いて香ばしくなっている部分が手前になるので、ゴツゴツと荒々しく攻めていきましょう。
全体的にハイライトを入れます。
とはいえ、今回は画面全体が暗めなのでホワイトで入れてしまうとプラスチックのような印象になるか、そこだけ浮いてしまうので、肉色に寄った白に近い色で入れています。入れるときのコツは、筆はクッキリベタで、入れ方は繊細に。
鉄板に移ります。反射した影色を、よりリアルに近づけていきましょう。近い明度で少しずつ明るさを足していく感覚です。
鉄板の光が当たっている部分の、より明るい部分を塗っていきます。影と光の境目をはっきりさせることによって、油による照り感も出てきます。
次に、熱で煮立つ肉汁の泡を描きます。まずは大体の泡のシルエットをおきましょう。
次に、影の部分を描きます。泡一つひとつの形は光って割としっかりはっきりハイライトで見えてきます。
肉汁の固有色と、流れ出ている液体部分を上から被せていきます。こちらはふんわり、そーっと様子を見ながら……そして、ハイライトで締めます。
次に、飛び散る飛沫を描きます。勢いよく描きましょう。細かいので、ベタで存在感を出します。
湯気を描きます。まずは背景部分から、肉の下にレイヤーを作ってください。背景と肉の境目がくっきりして見やすくなります。
一番上のレイヤーに湯気を描きこみます。これで画面全体が一枚絵として馴染みます。湯気は、かたちがないようで案外しっかりと動きがあります。資料をよく見て仕上げていきましょう。
最後に全体の調整です。明度、彩度、コントラストなどで微調整して終了です。
以上が、美味しそうな肉の描き方でした。何より一番大切なのは、描きながら自分自身が美味しそうに思うことです。おそれず、攻めの精神でどんどん描いていきましょう。
著・画 なぎかわみん
フリーのイラストレーター。主に広告系イラストとソーシャルゲームイラストを制作させていただいております。
Twitter:https://twitter.com/mominagi