首はあまり注目される部分ではありませんが、キャラクターを描くうえで最重要となるパーツである「顔」の安定感を担う、隠れたキーパーツです。さらに、全身を描くとなると頭と胴体のバランスを考える必要があるので、意外と気を使うべき箇所です。どんな頭身のキャラクターでも首の位置は共通なのでそこだけ徹底して覚えてしまいましょう。
▼目次
首の構造
首は大きく分けて3つの筋肉で構成されています。首のメインパーツになる胸鎖乳突筋、首に浮き出た筋として全体の立体感を出すためのパーツである胸骨舌骨筋、肩幅や身体の大きさを表現する僧帽筋です。本当はもう少し複雑な構造なのですが、首を描くうえではあまり必要な知識ではないので、この3つだけ覚えてしまってください。
首の比率に関しては、頭の幅:首の幅は2:1が標準的です。デフォルメされたキャラクターや、女性の場合はもう少し細くても問題ありません。あまり細すぎてしまうと宇宙人のようになってしまうので気をつけましょう。首は筋肉、骨だけでなく、食道や気管など様々なものが詰まっています。それを考えて首を描くことも重要になります。
また、首は横から見ると若干斜めになっています。理由としては背骨がS字に曲がっていることが関係しており、垂直だと首が折れているように見えてしまうので気をつけましょう。さらに、あまり首を傾けすぎると猫背になってしまうので、これも同じく気をつけましょう。
首の描き方
首の描き方についてはアタリが重要になります。省略せずにしっかり描きましょう。顔のラフはあらかじめ済ませてしまった方が首のデッサンが楽になります。
まずは背骨のアタリに沿って首を描きます。斜め向きの人物を描く場合はアタリが首の後ろ側に来るように描きましょう。先ほども述べましたが、首には食道などが詰まっているためです。
次に肩のアタリを元に鎖骨を描きます。胸の中心から左右対称になるように同じ長さで描きます。それが終わったら僧帽筋を描きます。これの大きさによって身体のたくましさが決まるのでお好みで描いてしまいましょう。
最後に首筋の立体感を出す胸骨舌骨筋の線を描きます。この線は耳の下から鎖骨の中心にかけて描きましょう。男性の場合は喉仏を描いて完成です。
コツ「首の位置」
首は頭に挿すイメージで、顔より後ろの位置に描きましょう。首の骨(脊髄)は脳の後部に繋がっており、前のスペースには気管や食道、眼球、口(口腔)、鼻(鼻腔)があります。
あまり首を前に描いてしまうと、脳や目や鼻が潰れてしまい、構造的に不自然な形になってしまいますので気をつけましょう。
まとめ
以上の点をまとめると、
- 首を描くのに必要なのは胸鎖乳突筋、胸骨舌骨筋、僧帽筋の3つの筋肉
- 首にはいろいろなものが詰まっていることを常に意識
- 首は斜めに付いている
- 頭に挿すように首を描く
以上のことに気をつけて描いてみてください。
なお、もう少し詳しい情報は私の著書
『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』の方を参考にしていただければと思います。
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フリーランスのイラストレーター。
様々な絵柄を駆使し、カードゲーム「マジンボーン・データカードダス」「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」のイラストや、4コマ漫画「BIOHAZARD THE TOON」の執筆、小説の挿絵などを手がける。また、絵の描き方本『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』を執筆し、活動の幅を広げている。