今回は絵を描き始めた方向けに人体を描くために役立つポイントをご紹介します。
当たり前のことかもしれませんが、知識として再確認していくとまた違った見え方がするかもしれません。なにかしら皆様のイラスト制作のお力になれれば幸いです。
▽目次
棒人間で骨と比率を意識しよう
人体をバランスよく描く上で抑えておきたいのは骨と比率の把握です。棒人間でおおまかな骨と比率をみていきます。
体全体を側面からみると、重みが背骨と骨盤を軸に、胴体は前方へ、脚は後方へとバランスを取っています。脚の骨はまっすぐではなく、太ももの骨である大腿骨は骨盤から内側を向いて伸びています。
この頭身の場合、比率は四等分目がちょうどお尻になり、お尻を二等分にしたあたりからふとももが始まって、踵(かかと)までが脚になります。
さらに脚の二等分が丁度膝の位置にあたります。腕は三等分にすると頭身2、3の境が肘になります。
これは成人の人体比率で年齢が変わるごとにこの比率も変化していきます。乳児から成年にかけて大きく変わる比率は頭身と脚、胴体の比率で、成年に近くなればなるほど脚の割合が大きくなります。
ここまでの比率は一例で、成人をデフォルメして6頭身や3頭身するのも自由だと思います。自分の目指したい絵柄に近い頭身を作るときの参考になれば幸いです。
プロポーションの注目点
棒人間に筋肉をつけて肉付きを把握していきます。まずは筋肉です。簡単に表面だけを描いてみました。
内側から詳細に重なっていますが、目に見えるのは表面だけなので個人的にはそこまで把握する必要はないと思います。
(※図鑑を参考に描いていますが、間違いがある可能性もあるので他のサイトやアプリ、書籍などで確かめることをオススメします…)
筋肉にローポリゴンのような感じで皮を覆ってみます。
最初から筋肉一つひとつを描こうとするとパーツごとの形に囚われやすいので、おおまかに腕、腰、ふとももなど塊として捉えることから始めるのもありです。
プロポーションの注目点は重複するものもありますが、以下の6つがあります。
- 二等身目が乳頭になり、三等身目にへそがくる
- 腰のくびれのラインが大体肘の位置(男女で違いがあります)
- 股下のラインが手首の位置
- 膝から下のふくらみは外に向けて上がっている
- 側面を縦二等分すると胴体が前方へ、脚が後方へバランスをとっている
- 背骨はS字
横断面も大体の形を捉えておくと描くときの参考になります。
真ん丸な形はほとんどなく、一つの部位といっても台形や楕円など様々です。
ここでは女性を例に進めていますが、男女でプロポーションの差があるので色々観察してみてください。
関節の可動域
可動域を確認していきます。(手指と足指は省略します)
あまり角度の数値は気にせずこれぐらいの可動域があるんだな、とふんわり受け取っていただければ幸いです。
ポーズを描くときのポイント
空間に人体を置いてみます。パースがつくので奥行きが出て、比率が手前ほど大きく、奥にいくほど小さくなります。
今度はキャラクターを置いてみます。
棒人間で骨のアタリを取り、ざっくり肉付けをし、それを元に形をとっていきます。
人体は胴体から四肢が生えているので、空間に置く時は胴体の位置を明確にしておくと他の部位が考えやすいかもしれません。
骨は棒状ですが、一直線な骨はありませんので、腕や脚は若干弧を描くようにすると柔らかさが出しやすいです。
よく忘れがちになるのですが、背骨はみぞおち付近から骨盤の回転の力の影響を受けることです。背中を曲げる時はみぞおち付近を骨盤からのラインよりも強めに曲げると自然に見えます。反るときも同様です。
色々なポーズに挑戦
ポーズ集などを参考に色々なポーズをスケッチしていくと、肉の重なり方などの発見が多くとても勉強になります。ぜひ挑戦してみてください。
詳細な筋肉や骨を調べたい時にオススメのアプリを紹介します。
■ ザイゴット3D人体解剖
WEB版:https://www.nankodo.co.jp/r/r_zygote_web/(※2020年5月31日現在改修中)
iOS版:https://www.nankodo.co.jp/r/r_zygote_ios/
少々お値段は張りますが、筋肉や骨、血管のみだけの表示ができたり、人体の自由な部位をスライスしてみれるとても勉強になるアプリです。
ご興味のある方は是非ダウンロードしてみてください。
自分自身まだまだ勉強中ですが、人体と仲良くなって素敵なキャラクターを産み出してください。
ありがとうございました!
著・画 米野ヌキ
絵の勉強をしながらお仕事をしています。