動きのある絵作りに使える!5つのテクニック

動きのある絵作りに使える!5つのテクニック

「動きのある絵」「躍動感を感じさせる絵」という表現がありますが、動きを演出するコツとはなんでしょうか?


実は定番のものをはじめ、様々な方法があります。今回は代表的で、なおかつ使い勝手が良い思われるものの中から5つを解説していきます。

 

<目次>
1. 動きのある構図作り
2. モーションブラー効果を応用する
3. 髪の毛や服を使って躍動感を出す
4. 次の動きを"予感"させるような仕掛けを作る
5. 複数のテクニックを組み合わせる

 

1. 動きのある構図作り

フレームの中には常に「バランス」が働いています。まず人物を中央に配置してみました。日の丸構図なので安定感がありますが、動きのある絵という感じではありません。はかりの中央に重さだけがのっている状態のような感じです。

 

なので右に少しずらしてみました。そうするとバランスが崩れ、画面右に重心が来る構図となります。はかりの右に重さが乗っている状態ともいえます。このバランスの傾きが躍動感をもたらしてくれます。


では日の丸構図を使いつつ躍動感を出したい場合はどうすれば良いでしょうか?一つは「斜め線」を取り入れる事です。人物の後ろに斜めの線を何本か入れるだけで動きがでました。

 

傾いた線は水平線、直線より動きを感じさせる効果があります。画面内に建物のパースライン等、斜め線を多く使えば動きが出ます。逆に水平線と直線だけで構成すれば安定感、重厚感が出ます。

2. モーションブラー効果を応用する

モーションブラー効果とは高速で動くものに働く効果です。"ぶれ"ともいいますが、速く動いてるものは像がぼやけ、線がぶれているように見えます。

 

試しに目の前で手を素早く振ってみてください。図のように像が横に伸びているように見えてくる筈です。この効果を絵に取り入れると、「速く動いている」という表現が可能になります。

線画で描く時にはこのように細かく短い線を多く描き込むことによって像がブレた感じを出し、擬似的にブラー効果を表現します。

 

これで勢いよく殴り掛かる拳の動きや高速回転するプロペラの動きの感じを出す事ができました。特に漫画ではよく使われるテクニックです。

3. 髪の毛や服を使って躍動感を出す

躍動感のある絵といえば「風なびき」を使うのは昔からの演出テクニックです。左の少女の服や髪をなびかせるだけでヒロイックな雰囲気が出ました。

 

例えば実写の撮影でも役者をかっこ良く見せたいときに風を起こして雰囲気を作ります。これは例なので誇張気味に描きましたが、ちょっと服や髪に動きを付けるだけでも十分な効果があります。

逆にこのように服の裾をまるで生き物のように大胆に動かすと異様な迫力が出ます。これは風の力というより人物の動きによって起こったというイメージです。

 

このような誇張した服の動きのつけ方は市販のフィギュア等も大変参考になるかと思います。

4. 次の動きを"予感"させるような仕掛けを作る

空を飛ぶカモメの絵を描いてみました。どうもこの絵にはあまり動きが感じられません。この絵にはカモメの動けるスペース、演技する空間がまったく無い為です。

なので右下にずらしてみました。こうするとカモメの演技する場が作られ、上の絵より躍動感がうまれました。

この絵を見る人の頭にはこのような羽ばたくカモメのイメージが浮かんできます。これが「次の動きを予感させる仕掛け」です。

 

一流の名画は静止画なのにまるで動いて見えるような錯覚を起こしますが、それはこの仕掛けが行われているからです。

この絵ではポージングによる仕掛けを行っています。「椅子を引いて座り終わるまでの動き」を予感させるように、体を傾けて腰を落とす瞬間を切り取ってポージングをつけています。
 

5. 複数のテクニックを組み合わせる

実際には二つ以上の効果を同時に使うとさらに効果的です。


例えばこちらの絵では髪の毛と服に動きをつけ、人物配置をやや右に配置、重心を傾け、動きを予感させるポージングをさせ、今回取り上げたテクニックを全て使ってみました。一つ一つ考えながら応用すればこうなるわけです。

 

ぜひ躍動感のあるイラストレーションを作る際に取り入れてみてください。

 

著:セーガン

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メーカー勤務。アニメーション、漫画、講座等の自主制作活動に日々励む。ライフワークは映像学。現在絵コンテの描き方を勉強中。