CLIP STUDIO PAINTにおけるマンガ制作手順 ネーム制作・下書き編
2019.11.14
今回はマンガ制作手順を紹介した講座です。これまでに本シリーズではCLIP STUDIO PAINTを使用していましたが、今回は筆者の取り組み方法をベースとしているので、ペン入れ編はアナログ作業で紹介します。
さて、ペン入れは線画という漫画制作における主役級とも言える作業です。ここではつけペンを用いたペン入れ作業を追っていきます。
デジタル作業アナログ作業を効率よく合わせていきましょう。デジタルで線画をする方はそのまま線画を進めてください。
▼目次
ここではトレース台を使う方法を用います。
トレース台を使う利点は以下の2つと考えています。
トレース台がない場合、前回解説したネーム及び下描きは目安程度になります。原稿用紙に鉛筆あるいは色鉛筆で直接下描きを描き入れていきましょう。
筆者が使用しているものの一例です。
線画に入るための原稿用紙の準備をします。
CLIP STUDIO PAINT上で作成した下描きを印刷します。光で透かすので見やすいように線画は黒で印刷してください。
印刷した下描きを原稿用紙に貼り付けます。
印刷されたトンボに従い、位置合わせ用の目印を入れます。自分が使用するためだけのものなので自身が分かればどんな形でも結構です。ページ番号も入れておくと後の管理が楽です。
いよいよ線画作業に入ります。
筆先用の水は、インクと修正液を薄めるのに使うので、直にペン先を突っ込まないようにしましょう。また、インクは出しすぎないようにします。
また、紙には極力素手で触れないようにしましょう。指先の油分が紙に染み込みインクを弾くことがあります。弾いてしまうとその部分は描けないので、断ち切り枠内は極力素手で触れないように作業します。
ペンを持つ利き手側も紙に触れてしまうので、手の下にティッシュを敷いて触れないようにします。手袋を使う作家さんも多いです。
筆者の場合、フキダシはミリペンで描くため一番最初に描き入れます。何枚かまとめて先に描き入れておくと、ペンの持ち替えなど省略できてスムーズです。
右利きの場合は左上から、左利きの場合は右上から順番に描いていくと擦れなどの事故が減ります。十分に乾くまでは一度描いた線は絶対に触れてはいけません。
ペン先の上のインクも描いている間に乾いていってしまうので、時間経過で描き味が悪くなります。時折ペン先を水で洗って拭い、インクを付け直しましょう。ペン先自体も使う毎に開いていくのでインクを拭っても描き味が悪くなったらペン先を新しいものに交換してください。
一通り描いて線画は終了です。
カケアミなどの効果もこの時点で描き入れます。場合によってベタと順番が入れ替わることもありますがやりやすいようにしてください。
インクが乾いたら筆やペンなどでベタや書き文字などを入れます。今回の原稿ではベタ部分がほぼないのでツヤベタの過程は別のカットで解説します。
毛先などはベタで描き入れるので、流れだけをかいつまんで簡単に線画を描きます。
筆を使って髪の毛に墨入れをします。
筆を抜きやすい方向に紙を動かしながら毛先から流れを意識して入れていきます。
線画と同じようにできるだけ、左上→右下の順に毛先の線を引いていきます。
立体を意識しながら、生え際からも線を入れます。
髪を塗る過程です。
ツヤベタはこのような過程で終了です。
多少濃淡ついてしまっても補正でどうにでもなるので気にせず進めます。
先ほどの原稿に戻り……。
必要であれば修正液でホワイトを入れます。乾けば上から再び描くこともできます。
これで線画作業は終了です。次回は「線画の取り込み」と「画像補正」を解説していきます。
イラストレーター・漫画家です。
Web:http://kalce.strikingly.com/
Twitter:https://twitter.com/kyceef