西洋風の空間「らしさ」とはどんなところにあるのでしょうか。今回は西洋風の空間を描くための室内背景の描き方を解説します。
西洋風と一口に言ってもテイストや様式には非常に幅があります。中世の王宮から近代のラグジュアリーホテル、コンサートホールやビルなど、一般的に和の様式にはない空間を指すことが多くなります。
▼目次
西洋風の印象を与える背景の要素
一見したときの「西洋風だ」という印象を与える要素について考えます。まず、何もない空間に洋の要素を追加すると下のような絵になります。
大きく特徴を踏まえると
- 曲線が多く装飾的
- 高い天井
が要素になります。各パーツをさらに細かく見ていきましょう。
曲線が多く装飾的
丸い窓や彫刻が施された柱、窓、ドア枠。椅子の脚や取っ手などいたるところに曲線が見られ、また凹凸のある装飾を多数施し豪華な仕上がりです。
窓やドア枠の描き方
「格子状」や「上部を丸いアーチ状」にすることで豪奢(ごうしゃ)な宮殿やステンドグラスをはめた教会建築のような印象になります。また窓やドアの額縁の彫りを幾重にも重ねると豪華になります。
冬を快適に過ごせるように考えられた西洋建築は窓幅が狭く、縦長のシルエットが多いです。壁は厚いので額縁も厚めにしましょう。凝ったデザインのドア取っ手なども繊細で華美な印象にしてくれます。
壁・柱の描き方
彫刻や凹凸のあるモールディングは一気に装飾的にしてくれる要素です。陰影ができることを意識して描きましょう。しっかりとした立体感が生まれます。
細かくは様々な文化様式がありますが、柱はふくらみを持たせた円柱に、壁にはフレームを飾るように凹凸をつけると高級感が出ます。
家具の描き方
家具は特に曲線が多用されます。
背もたれや肘置きに丸みを帯びたシルエットを取り入れてみましょう。また、家具本体がシンプルな場合は、脚だけでも装飾的にするとクラシックな雰囲気になります。
装飾はメリハリを持たせたシルエットにし、「球」や「スッと伸びた円柱」を組み合わせてみましょう。丸と角を交互に並べるだけでも簡単です。
高い天井
日本の天井はコンパクトなものが多いのに対して、西洋ではゆったりした高い天井が多いです。もちろん天井が高くなくとも、内装の雰囲気で西洋風を演出はでき、必須ではありませんが、それでも大きなひとつの要素となります。
天井が高い要因は建築様式も絡み様々ですが、空間は利用する人間のサイズを基本に考えられます。西洋圏では身長が高い人が多いので、必然的に空間自体がやや大きめに作られました。
日本の住宅の天井高さは約2500mm(2.5m)が平均ですが、西洋の住宅では約3000mm(3m)以上で描くと西洋らしくなります。「見慣れた日本空間よりもやや天井を高く」を意識するといいでしょう。
その際、ドアの高さは変えません。開け閉めする扉はそのままです。扉の高さが高くなると実際には扉の重みで開閉が困難ですし、巨大空間に小人がいるような絵面になります 。
天井を高くするにあたって、一工夫すると画面密度もあがります。曲線を多用した装飾(メダリオンなど)をプラスしたり、一部分のみ一段高く描いてみましょう。ドーム状の天井などにすると、さらに荘厳な印象が強まります。
また天井高さを強調せずに、洋の雰囲気を表現する手段として「傾斜をつけて天井をナナメにする」方法があります。傾斜天井は和洋問わずありますが、西洋風にする場合はこの傾斜角度をキツくなります。
おわりに
以上、様式や時代を問わず「洋」を感じさせる要素をお伝えしました。モダンやクラシック、オーセンティック、クール、シンプルなどテイストによって装飾加減を変えて、様々な洋空間を楽しんでください。
著・画 mig
Twitter:@to_to_i