今回のテーマは「立体的に見せる服の描き方」です。ただシワを描くだけでなく、服と人物との関係を重視して考えていきましょう。
題材である「パーカー」を例に、サイズ感を変えた3パターンを通して布の動きや重み、シワを考えていきます。
▽目次
線画における服の立体表現
参考例として手足、頭のバランスに注意して同じ体型の三人の人物を描きます。
立体的な衣服の描き方の例としてパーカーを着させました。
左から、
- 平均的なサイズのパーカー
- オーバーサイズのパーカー
- ぴったりサイズのパーカー
です。人物の仕草をもとに線画で立体感表現されるポイントを見ていきましょう。
■平均的なサイズなパーカー
ポケットに両手を伸ばして突っ込んでいます。腕で服を伸ばした分、布は左下に向かって伸びています。服の回り込みも意識しましょう。
■オーバーサイズのパーカー
ぶかぶかなので体のラインは出てきませんが、中にちゃんと人体が入っていると意識します。服が体を包む筒状であることであることを捉えると良いでしょう。さらに、大きいパーカーであるので、重力で下に引っ張られやすいです。
■ぴったりサイズのパーカー
ぴったりなのでほぼ体のラインが見えています。腕を曲げたたるみ、ポケットの膨らみなどにシワを描き込むなど、ワンポイント的にシワを入れるとぴったりとした服の立体が表現できます。
着彩における服の立体表現
より立体感を表現するために、着彩をしていきます。
まずは赤色で下塗りをしました。
続いて、一段階濃い色を塗ります。
特に真ん中はオーバーサイズなので影の落としところが分かりづらいと思いますが、面取りの要領で影を拾っていきます。
中の人体を意識しすぎると、布が張り付いて見えてしまいますので、ストンと落ちた布にしましょう。
もう一段階暗い色を塗ります。
明るい色と影のキワに、より暗い色を入れると立体感が見えやすいです。
ここで一つポイントです。
明るい部分と暗い部分の境目を細かく描こうとするとぼんやりした印象になり、形の説得力が弱くなります。思い切ってガツっと影色を落としましょう。
ハイライトを入れます。
光の方向を固定して、逆方向に入れないように注意しましょう。これに関しても思い切りが大切です。入れすぎるとギラギラして布の質感が変わってしまうので、光の方向のキワを中心に精査しましょう。
以上が、立体的に見せる服の描き方になります。色々なサイズ感の服にチャレンジしてみましょう。
著・画 なぎかわみん
フリーのイラストレーター。主に広告系イラストとソーシャルゲームイラストを制作させていただいております。
Twitter:https://twitter.com/utauta721