影とシワの付け方 ~天城望先生こだわり作画テクニック~

影とシワの付け方 ~天城望先生こだわり作画テクニック~

Twitterやpixivなどに投稿されるたくさんのイラスト。誰しもが自分の描いた作品を大勢に見てほしいと願っていることと思います。では、多くの人の目に止まる「映える」イラストを描くには何が必要でしょうか?

 

映える作画の土台として、「作画へのこだわり」が挙げられます。こだわりを持って描かれたものは、見る側にもそのこだわりが伝わってきます。男性キャラへのこだわり、女性キャラへのこだわりが、あなたのイラストの魅力になっていくものです。

 

また、こだわりは「フェチズム」にも密接につながっています。胸やお尻、手といった、あなたのフェチズムを感じる部位を見つけてください。フェチズムは、その部位をもっと魅力的に描こうという作画へのこだわりにつながっていきます。


キャラの属性や部位へのこだわりが、あなたの強い武器になり、あなたの絵の個性となるのです。

 

ここでは、技法書レーベル「いちあっぷブックス」から、『映え作画~プロ100人が教える魅力的なキャラ作り~』より、著名クリエイターにこだわり作画テクニックをご紹介いただきます。

 

今回のクリエイターは、漫画家・イラストレーターの天城望さんです。


(図1)

天城望さんが描いた制作した上図の作品の制作工程を通して、同氏のこだわり作画テクニックを見ていきましょう。

 

▼目次
影のつけ方はラフの内に考える
服のシワでキャラの体型を表現する
 シャツの場合
 スーツの場合
 Tシャツの場合

 

映え作画

影のつけ方はラフの内に考える

映えるイラストを制作する上で、こだわっているのが「影」です。

 

影のつけ方には定石はありません。イラスト全体やキャラクターの雰囲気をいかに作るかに特化した影のつけ方が、イラストの映えに繋がっていきます。

 

それでは、影のつけ方について具体的に解説していきます。
ラフの時点で完成時の影を考えていきます。描きたいイラストのイメージを最初からしっかり持ち、そこから明暗を考えるのがコツです。

(図2)

上図はごく普通の影です。もちろん塗り進めていくうちに、必ずこういった箇所を影として塗ることになりますが、これだけではナチュラルな印象で止まってしまいます。キャラクターの立ち絵ではこのような影にしますが、イラストだとやや物足りないため、ボツにしました。

 (図3)

上図ではイラストの雰囲気を意識して影をつけました。今回は「気怠げな男性」を描きたいので、やや逆行気味に、キャラクターの目元に視線が向くよう大胆に影を入れることにしました。

(図4)

上図のようなキャラのバストアップイラストでは、影を大胆に顔にかけ、目の描きこみとハイライトなどで印象的な雰囲気を作れます。

(図5)

上図のような雰囲気重視のイラストでは、光と影の差をはっきりと作ったり影の面積を多くすることで、光の当たった部分に注目させることができます。

服のシワでキャラの体型を表現する

線画でこだわっているポイントは「服を着ていてもちゃんとキャラクターの体型が分かるようにシワをおざなりにしないこと」です。
シワのつき方は、衣服の種類によって変わります。

(図6)

細マッチョ系の上図をベースの体型として、服のシワのつけ方を考えていきます。

シャツの場合

(図7)

体の曲線、ポージングによってたわむ部分をしっかり理解しましょう。ボタンやファスナー、ステッチなどで引っ張られることもあるので、そこも意識します。

スーツの場合

(図8)

スーツはハリのある生地の上、芯が貼られていることがほとんどなので、シワがつきにくいです。ついてもやや硬質なシワになります。したがって、スーツの場合は体のラインを見せないように描くと良いです。体に沿った曲線だけをしっかり意識しましょう。

Tシャツの場合

(図9)

オーバーサイズのTシャツは体の曲線が表面に出にくいですが、布が柔らかい場合は動きにより体型が浮き出ます。布量が多く重いため、シワは重力で下に引っ張られやすいです。また、綺麗なカーブというより、少し変動的な動きをするシワになります。

(図10)

上記を意識して完成させた線画が上図になります。今回はシャツとスーツの両方が見えるイラストなので、二つの衣服の違いを考えてシワをつけました。

最後に

今回は影とシワのつけ方について解説しました。

 

影のつき方はイラストの雰囲気に大きく影響するものです。そのため、ラフの段階でイラストのイメージを考慮して影の入れ方を考えることで、映えるイラストの雰囲気づくりに繋がります。

 

また、線画において服のシワのつけ方には、衣服の種類による表現の違いを理解することが大切です。正しいシワのつき方を理解して描くことで、衣服の上からもキャラの体型を表現できます。

 

このイラストの制作工程についてもっと知りたい方は、『映え作画 ~プロ100人が教える魅力的なキャラ作り~』をご覧ください。

まとめ

  • 影のつけ方はラフの時点でイラストの雰囲気から考える
  • 服のシワのつき方を理解して、キャラの体型を表現する
     

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