みなさんは4コマ漫画を描いたことがありますか?
ご存知だと思いますが、「4コマ漫画」とは、文字通り4コマのみの漫画です。
ストーリーマンガと違って4コマでキャラクターの登場から物語のオチまで、世界を完結させないといけません。
「4コマ漫画を作るなんて難しそう!」と思われがちですが意外にも身近で小さな着眼点から面白い4コマ漫画を作ることができます。
4コマ漫画の作り方やテクニックはさまざまですが、実はわかりやすい法則があります。今回はその一例として、ちょっとしたコツで簡単に面白い4コマ漫画ができる方法を紹介します。
STEP1:NG例から学ぶ やってはいけない4コマ
せっかく浮かんだ面白いネタもうまく表現できなくて台無し……そんな4コマ漫画ならではのよくある失敗例とその対策を紹介します。
①登場人物が多すぎる
沢山のキャラを1つのコマに入れようとすると、誰が話してるのかわからなくなります。
対策:基本は1コマにつき1~3人。2人くらいの進行が一番見やすいです。
②設定が複雑すぎる
特殊な世界設定のため、説明セリフでコマが埋まっています。その為、絵が全然見えなくなり、読む気も失せてしまいます。
対策:4コマは現代物や日常物が一番入りやすい設定です。
他設定の場合でも、なるべく説明をシンプルにするよう心がけましょう。
③セリフが長すぎる
4コマは基本、小さいコマなので長すぎるセリフは読みにくいです。
セリフはなるべく必要最低限の内容まで削りましょう。
フキダシの数、セリフの行数も基本は少なめが好ましいです。
このくらい削っても内容は十分伝わります。
④顔ばかりになっている
4コマは基本的にセリフの掛け合いで話が進むため、喋っているキャラの顔のコマばかりで展開できます。ですが、それだととても単調な印象になってしまい、面白みに欠けてしまいます。
対策:構図を変えたり、カメラワークを使い分けたりするなど見せ方に工夫をつけましょう。
※例外パターン…あえてNG例を使う上級ワザ
今回上げたNG例ですが、「あの人が描く4コマで凄く人が多かったけど?」
「顔だけの漫画もたまにあるけど?」と、4コマに慣れている作家さんや商業誌で見ることがあるかもしれません。
今回は初心者用ということでNG例としてあげましたが、上級者はあえてこの手法を使うことでいつもと違った印象やアンバランスな面白さとして使う場合があります。
なのでNG例を使ってはいけないということではありませんが、初心者の場合は避けたほうが無難なテクニックです。
STEP2:起承転結とは?知っている人も再確認!
4コマの基本は「起承転結」です。
漫画好きな人はよく聞く言葉かもしれませんが、どういう意味か正確に説明できるでしょうか。
4コマを制作する前に、改めてどんなものか再確認しましょう。
起
物語の始まり。どういう場所にどんなキャラクターがいて、どういうシチュエーションでストーリーが始まるかを説明します。
承
起のコマから話が少し進みます。キャラが出てきたり、話しかけられたり、問題が起こったりします。
転
起・承のコマからひと展開起きます。驚くようなことが起きたり、誰かが急に強い発言をしたりと波乱が生まれます。
結
転を踏まえて、オチをつけます。オチとはその話を上手くまとめて「面白く」終わらせることです。
この法則以外の展開も色々ありますが、特にこれから4コマを描きたい方はひとまずこのパターンから入ることをおすすめします。
STEP3:日常に「そんなばかな」を起こす
上記の起承転結から、3番目にあたる「転」を使った話作りをしてみましょう。
いかに不可解な言動や非日常な出来事を起こすかで考えると話をたくさん作りやすいです。
⑤ケースA:日常まんが
〔起〕自動販売機に行く
〔承〕お金をいれボタンを押した
〔転〕ジュースが出てきた
〔結〕おいしくて幸せ!
⑥ケースB:恋愛もの
〔起〕屋上で会う先輩男子と後輩女子
〔承〕先日の告白の返事を聞く後輩
〔転〕先輩OKの返事!
〔結〕晴れて恋人でハッピーエンド
これらはごく普通の日常シーンの流れです。このままでは特に面白みもないですね。
こんなシーンに「そんなばかな」の要素を入れてみましょう。
■ケースAの「転」に巨大なドラム缶が出てきた!
■ケースBの転に実は宇宙人なんだと先輩カミングアウト!
最初の特にひねりもないネタに比べて、意外性が出てきました。
他にもAの場合、「自動販売機から温泉が沸いた」「人が出てきた」、Bでは「告白した先輩が双子だった」「実は同性だった」……など前のコマからありえない流れを作る「そんなばかな」要素でまず意表をつきましょう。
STEP4:「面白い」オチをつける
「転」の部分に意表をついた展開をもってきました。その先は「結」で話にオチをつけます。でも先ほどの例ではいまいちオチが弱いです。
上記で説明した通り、オチとはただ終わらせることではなく「面白い終わり方」をするという意味です。先ほどの例はまだオチの面白さが弱いです。
転で話を動かしたあと、それをギャグとして決着をつけてみましょう。
■ケースA:「結」がオチきれない例
この転をそのまま受けとめただけのオチを、更に結で生かしてみましょう。
■日常にむりやりもどしてつっこみorシュールなオチに
つっこみ系
シュール系
このように一旦日常を壊しておいて、再び日常にむりやり戻すことでその違和感が面白さになります。
展開やセリフのやりとり次第で正統派なつっこみ漫画にも、シュールな漫画にもなります。
STEP5:「そんなばかな」をかぶせてカオスなオチに
■ケースB:「結」がオチきれない例
こちらも普通に流しただけのオチですが、今回は「転」に一度つけた非日常より、更なる「転」をぶつけてみましょう。
転で「そんなばかな」のある展開かと思いきや、更なる「そんなばかな」が待っていた。という衝撃をオチにもってきたパターンです。
このように、まずは日常や身の回りから題材を持ってきて、そこになにかしらの意外性を発生させるという法則なら比較的話が作りやすいです。
次は自分で描いてみよう!
4コマ漫画講座、いかがでしたか?
基礎がわかれば案外取り組みやすそうですよね。
他にも様々な話の作り方、パターンなどがたくさんあります。
まずは「起承転結」をしっかり押さえてから、自分に合った方法でいろんな4コマをどんどん作ってみましょう!
[著・画:両角潤香(もろずみじゅんか]
Twitter https://twitter.com/morozumix
漫画家、イラストレーター。主に角川系や電撃系の少年誌等で活動。ゲームやアプリのキャラデザインやイラストも多数手がける。
イラスト技法書制作やアミューズメントメディア総合学院講師も行っている。