部位の誇張やアイテムで差別化しよう! キャラクターを描き分ける方法 その2
2017.05.29
どのキャラクターを描いても同じ顔になってしまう……。
キャラクターを描き分けられない……。
同じキャラを再現できない……。
こんな悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
今回は、「なぜ描き分けが必要なのか?」という疑問から出発して、いろんなキャラクターに応用可能な「描き分ける方法」を全5回の講座を通してご紹介します。
この講座では、主に「既存デザインがあるキャラクター」の描き分け方法を紹介していますが、そのままキャラクターデザインにも応用できる内容です。
▼目次
※今回は「顔」を描き分ける方法のみ扱っています。
まずは最終目標である「キャラクターを描き分ける」とはどういう状態であるかを確認しておきましょう。
キャラクターの描き分けの成功とは、絵を見た人に特定の「あのキャラクター」だと認識してもらえる状態のことです。
描き分けができないと、同じ顔のキャラクターしか描けない、特定のキャラクターだと認識してもらえない、という事態に陥ってしまいます。
さらには似たような顔のキャラクターや特徴のない凡庸なデザインのキャラクターしか生み出せません。
「描き分けの成功」がどんな状態か確認できたので、さっそくキャラクターを描き始めたいところですが、ここで問題になるのが「絵柄」の存在です。
そのキャラクターをデザインした本人が描くのであれば、問題ありません。本人が描いたのですから、似て当たり前です。
しかし、絵柄は十人十色です。絵柄が違えば、絵の印象はガラリと変わります。つまり「描き分ける」とは、たとえどんな絵柄で描いても同一のキャラクターだと認識してもらわなければならないのです。
この特定のキャラクターだと認識してもらうために、元のデザイン(または、モデルになった人物など)をそのまま真似たのであれば、模写になってしまいます。また、そのまま真似ただけでは、自由に動作をつけることもできません。これは、自分でデザインしたキャラクターの場合も同じです。一度目は勢いで描けたが、二度目は上手くいかないでは困ります。
解決するには、そのキャラクターの「最低限必要な特徴」を見つける必要があります。最低限必要な特徴とは、他が違っていても「それさえあれば、そのキャラクターに見える部分」のことです。最低限必要な特徴は、デフォルメ(ちびキャラ化)することで見つけられます。
補足としてデザインと絵柄は別物です。キャラクターデザインは、そのキャラクターの特徴を決定するものですが、絵柄は作者の癖や好みによって異なるものです。
アニメーションなど、作者の絵柄を全面に出してはいけない場合を除いて、自分自身が培ってきた絵柄は大切にすべきです。自分の絵柄は崩さず、いろいろな特徴を持ったキャラクターを描き分けられるように、「最低限必要な特徴」を見分けられるようになりましょう。
デフォルメとは、対象物を変形して表現することですが、今回はちびキャラ化に限定して利用します。
ちびキャラ化とは、特徴となる部位をより誇張し、不要な部分をカットしてキャラクターを表現するデフォルメの一種です。対象キャラクターを縮めて描くため、複雑で細かいデザインを描き込むことができません。
ちびキャラ化する際に残った特徴こそが、キャラクターを描き分ける時に必要な「最低限必要な特徴」です。
では、ちびキャラ化のときに、「残る部分」と「排除される部分」を見分ける方法は何でしょうか?それは「キャラクター設定がわかるかどうか」です。
キャラクターデザインに大切なのは、シルエットの美しさ、カラーリングなど様々ですが、特に大事なのが「キャラクター設定を反映しているか」です。
たとえば、幼い男の子という設定を持つキャラクターなのに、見た人が幼い男の子だと判断してくれないのであれば、大問題です。(もちろん、中身は幼い男の子だけど、見た目はおじさん、といった特殊設定がある場合は別ですが)
たとえ、絵柄が違おうと、ちびキャラ化されようと、キャラクター設定だけはぶれてはいけません。この最低限のアイデンティティーがぶれてしまえば、それはもはやまったく別のキャラクターです。これでは描き分けは失敗です。
そこでキャラクター設定(=描き分けポイント)に優先度を付けてみましょう。
この「描き分けポイント」さえ押さえていれば、あとは好きに細かく描き込んでも、ポーズを変えてみても、絵柄を変えても問題ありません。失敗を防ぐには、ラフや下書きをする際、必ず最初に描き分けポイントを描写し、それからその他の要素を追加していくといいかもしれません。
キャラクターを描き分けるとは、「キャラクターの必要最低限の特徴を探し出す」ということです。この特徴を把握さえすれば、絵柄を変えて描くことも、ちびキャラ化することも、アクションやポーズを変更することも可能です。
キャラクターを描くときは、どんなキャラクターであれ、最初に「キャラクター設定がわかる部分」を探してから描いてみましょう。そうすることで、老若男女、異種族、さまざまなキャラクターを自由に描き分けることでできるでしょう。
残り4回の講座では、今回紹介した「描き分けポイント」の詳しい説明やチェックポイントを紹介します。
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