絵の見え方が変わる! 広角キャラと望遠キャラの描き分け術
2017.06.02
あなたはイラストを描いているとき、近いものと遠いものを意識できていますか?
おそらくあなたが知っているのは
までではないでしょうか?
実は3つ目のポイントがあります。それは「遠いものほど奥行きがつぶれる」ことです。
どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。ですが、具体的にその法則を理解する機会はあまりないかと思います。
今回はより皆さんの表現の幅を広げるために、その法則を教えます。
▼目次
おそらく下図の絵をよく見るのではないでしょうか。しかし、下図の絵は間違っています。
比較して見てみましょう。左が正しい絵で右が間違いです。どちらもパースラインはあっていますが奥行きが異なります。
正解の絵(左絵)は奥に行くにしたがって側面の面積が減っていくのが分かりますか? 横の辺も高さの辺も差が少なくなっています。
それに比べて、間違いの絵(右絵)は奥に向かっても、側面の面積がいつまでも変わらず見えています。横の辺と高さの辺の差の比率もあまり変わっていません。
まだピンと来ていない方もいると思います。どうして奥行きが減っていく絵が正しいのでしょうか?
真上から見た俯瞰図です。緑が画面の端から端を繋いだ角度(画角)です。
同じ大きさの立方体がカメラマンの正面にむかって平行に並んでいます。
カメラから側面が見える範囲を線で繋いでみました。
奥に行くほど側面の見える角度の範囲は狭くなっているのが分かると思います。奥に至っては狭すぎて、側面がほぼ線です。
つまり、手前と奥に並んでいるものとでは、捉えている角度が違うということです。一言でまとめると「カメラとの距離が近いか遠いかで奥行きが決まります!!」
シルエットだけで説明すると、遠いものほど正面から捉えた角度に近くなり、立体感のない平面の絵になるということです。実際に体感して覚えたい方は箱を何個か並べて、平行に退いたり近づいたりしてみると違いが分かると思います。
ということで正解の絵のほうが現実に近い絵となるわけです。
どうですか?今見える世界が違って見えてきませんか?アニメ業界ではこのカメラに近い絵を広角の絵、カメラから遠い絵を望遠の絵とよく言います。
これがわかっていれば単純なシルエットの組み合わせでも画面全体に自然な奥行きを感じられると思います
広角と望遠はまだまだ奥深いです。
キービジュアルやコンセプトアートなどワンランク上の仕事を狙うためには必須の技術なのでぜひ習得してみてください!
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元アニメーターのMUGENUPイラストレーター。