「何かがおかしいけど、どこを直していいのかわからない」ということありませんか? 一人で勉強しているとなかなか気づきにくいものです。
今回は顔をテーマにご紹介します。自身で気づいてなかった箇所を見つけてみましょう。イラストを描く際の簡易的なものとしてご参考ください。
▼目次
デフォルメされた骨格を考える
人物は骨格から想像して描くとバランスがとりやすいです。
しかし、現実の人間の骨格のままでは、アニメ絵のようなデフォルメされたキャラクターには対応できません。骨格からデフォルメする必要があります。
例えば、目が大きくデフォルメされているならば、骨格も合わせてデフォルメしていきます。
骨格を想像するときに、ディテールまでこだわる必要はありません。絵にしたときに分かりやすく影響する部分だけ考えてみました。
A|頬骨は出っ張っている
B|歯は奥に向かってカーブを描いている
C|額は目の位置からくぼんでいる
D|額は上に向けて広がっている
A|歯は出っ張っている
B|鼻の付け根は凹んでいる
C|首の骨は耳の後ろから生えている
デフォルメされた筋肉を考える
筋肉は大小合わせて無数にあります。それを全て把握するのは困難なので、筋肉も骨格と同様に、絵に関わる部分のみピックアップして考えていきます。機能も簡略化して説明しています。
額・眉間・鼻に関わる筋肉
まずは、前頭筋(ぜんとうきん)や皺眉筋(しゅうびきん)、鼻根筋(びこうきん)などの額・眉間・鼻に関わる筋肉です。
この筋肉群によって、
- 眉間を横に縮める
- 額・鼻を縦に縮める
といった動作が可能です。
目に関わる筋肉
次に眼輪筋(がんりんきん)という、目に関わる筋肉です。
この筋肉によって、
- 目を開く
- 目を閉じる
という動作が可能です。
ここで注意するのが「目は基本的に上まぶたが動く」ということです。つまり、閉じた状態の目は下まぶたの位置に描きましょう。
顎に関わる筋肉
次に側頭筋(そくとうきん)や咬筋(こうきん)といった顎に関わる筋肉です。
この筋肉によって、
- 顎を開く
- 顎を閉じる
という動作が可能です。
ここで注意するポイントが2点あります。1つは「顎は耳の位置を起点に、回転する形で開く」ということです。真下には動きません。2つ目は、「顎を開くことと、口を開くことは別」ということです。顎と口は別物として覚えておいてください。
口に関わる筋肉
次に、口角下制筋(こうかくかせいきん)や口輪筋(こうりんきん)などの口に関わる筋肉です。
この筋肉群によって、
- 口を閉じる
- 口を開く
という動作が可能です。
口の筋肉は、動きに制限のある他の筋肉と違って、かなり柔軟に曲げ伸ばしができます。この柔軟さが様々な表情を作りだします。
首に関わる筋肉
最後に、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という首に関わる筋肉です。図の青い筋肉(僧帽筋)は肩などを動かす機能を持つ筋肉なので、今回は説明を省いていますが、首を描くときに重要な筋肉です。
A 首を左右に傾ける
B 首を前後に傾ける
C 首を左右に回転させる
という3つの動作が可能です。
この3つの動きは単独だけでなく、組み合わせることで様々な首の動作を作りだせます。また、頭は耳の後ろ部分を支点に回転します。
影のつけ方を考える
頭の凹凸を覚えることで、影がつけやすくなります。図の赤い部分を「おまんじゅう」だと考えてみてください。赤い部分は出っ張っています。
額は目の位置から盛り上がっています。×マークの作例のようにならないように影をつけましょう。
※光源は正面やや上想定。
顔の比率やバランスを考える
頭のパーツの比率をご紹介します。頭のパーツの配置・サイズはキャラクターによってさまざまなので、普遍的な部分や、イメージに関わる比率をピックアップしています。
顔の比率について
基本的に目は頭部の1/2の位置です。この位置から下げると幼く見えます。子供や女性を描く時は、1/2より下げて描くと良いでしょう。
目の比率について
よほどデフォルメされた目でない限り、左右の目は、3分割で配置されます。丁度、左右の目のあいだに、ひとつの目が入るイメージです。この比率は眼の細いキャラクターでも、目が大きなキャラクターでも変わりません。
目と目の間隔によるイメージの変化
目の3分割を踏まえた上で、次は顔に配置してみます。顔の面積に対して、目が占める割合が低いと大人っぽく、高いと幼く見えます。
目と口の間隔によるイメージの変化
目と口の位置が近いほど、幼く見えます。
顎の形状によるイメージの変化
下顎骨(顎の骨)の形状によって、見た目の幼さが変わります。鋭角だと大人っぽく、鈍角だと幼く見えます。
横顔をバランスよく描くポイントまとめ
その他の普遍的なポイントをご紹介します。
A|顎から首は基本的には一直線。肉がつくとたるむ。
B|耳のサイズは、目~耳の長さと同じ
C|耳は垂直についているのではなく、斜めについている
D|背面の首と頭の付け根は、だいたい鼻の穴の地位
E|首は垂直についているのではなく、斜めについている
F|首の付け根(喉)の位置は、だいたい鼻の付け根~耳の1/2の位置にある
著・画 ゼロモモ
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参考文献
『スカルプターのための美術解剖学 -Anatomy For Sculptors』著:アルディス・ザリンス、サンディス・コンドラッツ
『モルフォ人体デッサン 形態学による人体を描くための新テクニック』著:ミシェル・ローリセラ