“ゲームでよく登場する背景”をモチーフに、制作手順や描き方のポイントをご紹介するシリーズ 「ノベルゲーム背景イラスト講座」。ここでは空や樹木、植え込みなどの自然物、校舎や窓といった屋外人工物の塗り方を全5回でご紹介します。
前回は主に校舎などの屋外人工物に陰影を付けて立体感や距離感を表現していきました。今回は樹木、植え込みなど自然物を塗っていきます。描き込み量による遠近感の表現や、葉のまとまりや茂みのボリューム感の出し方を学びましょう。
左側植え込み・樹木の描き込み
樹木や植え込みのディテールを追加していきます。手前側の植え込みはシルエットで塗りつぶしただけなので、まずはベースより暗い色で陰影を付けます。
暗い色を2段階ほど入れた後に明るい色を加えていくことで、樹葉のまとまりを立体的に見せられます。
ベースのシルエットにクリッピングマスクを作成した追加レイヤーに、おおよその明暗を付けていきます。幹や葉先などの細かい部分は、通常のレイヤーを追加して描き込みます。
樹葉は一つ一つ描くと時間も労力もかかりますので、いくつかのまとまりを描くことができるブラシを用意するとよいでしょう。
葉のまとまりは球体をイメージしてください。手前で光が当たっている箇所は明るく、奥に行くほど暗くなります。
この例では光が左手前側から来ているように描いていますので、右下側にかけて徐々に葉の色が暗くなるように陰影をつけていきます。
低木の植え込みは、より手前に見えるように、上から明るい葉のまとまりを描き加えていきます。先に描いておいた線画に、無理に形を合わせる必要はありません。
花壇部分の描き込み
植え込みの下にある花壇は、レンガブロックを組み合わせたものです。レンガ一つずつを描くのではなく、まずは大きく面を塗り分けます。
正面・斜め・側面の3面それぞれに、明暗をつけて立体感を出していきます。
面を塗り分けたら、レンガの溝を描き込みます。そのあとに部分的にレンガブロックの色を変更して、表面に変化をつけましょう。
ここまでの状態
これら背景イラストは自著である『背景CG上達講座』(翔泳社)に詳しい解説がありますので、よろしければそちらもご参考下さい。
▼『背景CG上達講座』
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798137568
著・画 bcd
pixiv:https://pixiv.me/bcd
twitter:https://twitter.com/poskara
フリーランスのイラストレーター。専門はゲーム・アニメの美術設定、背景イラスト制作を手掛けています。イラスト制作業務のかたわら、専門学校で背景イラスト・アートワークの講義を担当。
著書に「背景CG上達講座」(翔泳社)。講師としては、岩崎学園横浜デジタルアーツ専門学校非常勤講師、専門学校東京ネットウエイブ非常勤講師、バンタンゲームアカデミー講師を勤めています。