材料や製法から考える!スイーツの描き方 ~パイ・ゼリー・ケーキ~

材料や製法から考える!スイーツの描き方 ~パイ・ゼリー・ケーキ~

可愛らしくて美味しそう、見ているだけで幸せな気持ちになれるようなスイーツの数々…。


一枚絵を彩る装飾として、また重要な小道具として、スイーツの描画を抑えればイラストをより魅力的に演出できるかもしれません。

 

今回は土台となるスイーツの材料と製法から、よりリアルな描き方を解説します。

 

要点を抑えて様々な食べ物への表現にも応用してみましょう。

 

▼目次
1. パイ生地のスイーツ
2. ゼリー、ムース(生菓子)
3. シフォンケーキとパウンドケーキ
4. まとめ

 

 

 

 

1. パイ生地のスイーツ

 

 

 

油(バター)と小麦粉の生地を交互に折り合わせるような形状のパイ生地は、焼くと生地と生地の間に隙間が発生し層ができます


水分が蒸発しやすい場所はより大きく膨らみ、層がはっきりと出ます。
水分が溜まりやすい場所は膨らみにくく層があまり現れません。

 

まずは単純な素体を描き出してから歪みを加えます。
まっすぐ綺麗な線で描いてしまうと違和感が出るため、歪みは過剰なくらい大げさに表現しましょう。


上に乗せる飾りは生地の上下関係、断面を意識して描きます。
重なり方が掴めない場合は上から三番目のイラストのように、単純な図面を作成してから絵の方に貼り付けてみましょう。


最後にフィリング、中身を描き込みます。
これも何が入っているか?どう詰めているか?どこで切断されているか?を考えながら大まかに線を引きます。

 

 

順番に色を置いていきます、焼き目の濃い部分の色から置いてみましょう。


次に生地の焼き目が薄い箇所を塗ります。生地の側面や飾りとして付けた溝の部分など、焼き目の付き難い場所に白っぽい色を置きます。


徐々に立体感が見えてくると思います、全体的に形を整えながら焼き目に手を加えます。
焼き目と白い箇所の境目をぼかしながら、ムラを作りましょう

 

 

全体が掴めてきたら細部に取り掛かります。


パイの特徴である"層"は、まずは薄めの色で生地の断面に描き込みます
全体的なバランスを見ながら線を濃くしてゆくのですが、この線は真っ直ぐ均等に引かないのがポイントです。

 

 

最後に焦げ目とツヤを描き足します。

焦げ目は斑点のように小さな円を描き込み、消しゴムなどで削っては描き込み調整します。


中心を決めて外側に拡散し薄れていくようなイメージで色を置いてみましょう。


ツヤも同じように斑点で表現しますが、焦げ目より色と色の境目をはっきりとさせてみましょう。

 

 

最後に色を調整して完成となります。

 

全体の彩度を上げすぎないように落ち着いた色味を置いたり、
あえて描き込みの手を緩めぼんやりさせたりすると絵にメリハリがつきます。

 


2. ゼリー、ムース(生菓子)

 

 

液体を固めたゼリーは焼き菓子と違って形が崩れることが少ないため、しっかりとした線画を用意します。


まずは光源とは反対側にエアブラシでぼんやりと濃い色を入れます。

角になる部分に影が沈殿しているようなイメージで色を置き、
光源の反対側からうっすらと光が抜けていくように明るい色を置いてみましょう。


立体物に光があたり影が出来ている、というよりライトが僅かに発光しているようなイメージで描き込んでください。

 

足りない立体感はツヤを描き込み補います。ハイライトはもちろんですが、照り返しによる映り込みが重要です。
この映り込みは近くにあるモノや光源に合わせて色を調整するとよいでしょう。

 

 

ゼリーと同じように液体を固めたものですが、生クリームを泡立てて作るためマットな質感になります。
画像は違いを表現するため大げさに描いていますが、つるりとした輪郭より多少ガタガタさせることを意識します。

 


3. シフォンケーキとパウンドケーキ

 

 

卵を泡立てて作るケーキ油分を多量に含んだケーキでは、もちろん特徴も違ってきます。

 

 

 

柔らかいケーキ、例としてシフォンケーキを描いていきます。
思い切って角を丸く削ぎ落とし、直線部分にもたるみを加えてみましょう。


輪郭はぼそぼそと毛羽立たせるように、断面には濃い色→薄い色を繰り返し重ねムラを作ったあと気泡を描き込みます。
気泡はみっちりと描き込む必要はなく、幾つかの点の集合体を隙間を空けつつ配置してください。

 

 

 

 

硬めのケーキ、例としてパウンドケーキを描いていきます。


柔らかいケーキとは対象的にごつごつとした石のような輪郭をイメージしながら描いていきます。
輪郭に毛羽立ちは少なく、角をしっかりと際立たせ硬さを表現しましょう。

 

 

 

角を丸く輪郭を毛羽立たせる岩のようにごつごつとさせ硬さを意識する。この2点がポイントとなります。

 

4. まとめ

 

一見様々な種類があるように思えるスイーツですが、似たもの同士でカテゴライズするとそれほど種類が多いわけではありません。
材料と製法に注目するだけで、抑えるべき特徴も最小限に減らせます。


それでいて組み合わせは無限大!要点を押さえ自分だけの可愛らしく美味しそうなスイーツに挑戦してみましょう。

 

著・画:ぼたん肉


Tumblr: https://botanmeat25.tumblr.com/