素敵な背景の絵が描きたい!でもどこから描けばいいのか分からない、背景をゼロから描くのは大変……。そんな時は、写真を用意してそこから背景を描き起こしてみましょう。制作スピードがアップしてとっても便利です。
だけど、その空間にない人物や小物、モチーフなどを落とし込むのが上手くできないことがありませんか?
人物が地面に立っているように見えない、どの程度のサイズで描くのが正解か分からない、何となく描いたけど人や物だけ空間から浮いている気がする……などなど!今回はその解決方法をご紹介します。
▼目次
なぜ、上手く描けないのか
背景に描き足した人物やモチーフが浮いてしまう理由はなんでしょうか?
絵を、カメラを通して覗いた像だと思ってください。フレームの中の風景は、立って真っ直ぐカメラを覗いた時は自分の目線の高さから見える風景です。
そのまましゃがんで、下から見上げて撮影したらフカンの絵になり、台やイスに登って、上から見下ろして撮影したらアオリの絵になります。
さてこの時、フカン、アオリになっているのはどこでしょうか? 正解は、背景も人物も小物も、カメラに映り込んでいる空間の全てになります。
つまり、人物や小物を後から描く時も、背景と同様のパース(遠近感)を付けて描かれている必要があります。背景のパースと人物のパースが大きくズレることで、浮いてしまう状態に陥ります。
と言うことは、空間のパースをすべて合わせて描く事が出来れば良いわけですね。
写真から背景を描き起こす方法
それでは、写真をトレースして背景を描きます。
写真の著作権は撮影者にあるので、自分で撮影したものがベストです。(Webなどから他者の撮影した写真を選ぶ場合は、必ず素材として使って良い事が明記されている物を活用しよう)
今回は屋内の写真を選びました。パース(遠近感)がわかり易くてオススメです。デジタルならパース定規を当てて、手描きなら長定規を当てて、写真を撮ったカメラの目線の高さを割り出します。
このとき割り出されるカメラ目線の高さを「アイレベル」と言います。
この写真のアイレベルは私がカメラを覗いた視線でだいたい床から140センチの高さです。デジタルならパース定規を当てると空間のほとんどの直線を引くことが出来ます。写真を元に、背景をトレースしましょう。
カメラの像や構造物にも歪みがあるので、調整しながら完成させます。
空間に人物を描きこむ方法
トレースした背景に人物を描き入れます。例えば身長170センチの人を描きこみたい時はどのくらいの大きさで描くのが正しいでしょうか。
参考にするのは、アイレベルです。
「アイレベル=カメラ目線の高さ」ということは、「140センチの目線で撮影された写真のアイレベル上にあるものはすべて床から140センチの高さ」ということです。逆に考えれば、背景に映りこんだ物の高さからアイレベルの高さを割り出すことも可能です。
これで、描き込む人物やモチーフのサイズ感が決まりました。次に、空間と同じ程度のパースを人物にも付けましょう。空間のパースを取ります。
手前ほど強くパースがつきます。奥手前の関係で人物が立つ絵の場合、手前の人物にしっかりパースを付けてあげるとかっこよく決まります。
著・画 あづさ
pixiv: https://www.pixiv.net/users/51906
Twitter:@12eeeeco
専門学校の講師として現在、マンガ・イラスト・アニメの学科を担当。
作画技法、背景パース、色彩学、各種制作用アプリケーションなどの授業を受け持ちます。
ジャンルを問わず作品の添削、ブラッシュアップのサポートも行なっています。