いちあっぷブックスで好評発売中!の『DL同人、はじめてみたらこうだった 成功者の実体験から学ぶ自分らしい稼ぎ方』の第2弾が刊行されました!
イラストレーターがマネタイズをしていく取り組みのひとつとして、ネットで漫画を描いて稼ぐという手段が台頭している昨今。「どうやって作品を生み出しているんだろうか」「SNSを上手く使うにはどうしたらいいか」など様々な視点で大ヒット作を生み出している著名作家の皆さんへインタビューを行いました!
本記事シリーズでは『DL同人、はじめてみたらこうだった 成功者の実体験から学ぶ自分らしい稼ぎ方2』から内容を1部抜粋し、著名作家の御三方の成功例を元に、同人誌で稼ぐ秘訣を紐解いていきます!
第3回目は、商業作家としての活動を経て、2023年に発表した『入り浸りギャルに●●●使わせて貰う話』で一躍同人作家としてのスターダムに上り詰めた、サークル「甘噛本舗」のまんの先生にインタビューしました。
商業での経験の活かし方や作品の販売戦略、個人作家としての戦い方など、DL同人活動を成功に導いたノウハウやこれから漫画を描き続けていくにあたっての考え方について伺いました。
ヒット作品を生み出す方法や効果的な作品分析方法を知りたい!という方は特に参考にしていただきたいお話です。
※本記事は『DL同人、はじめてみたらこうだった 成功者の実体験から学ぶ自分らしい稼ぎ方2』(著:いちあっぷ編集部、構成・執筆:いしじまえいわ)から一部抜粋したものです。WEB向けに一部調整しているため、本書と内容が一部異なります。
■目次
インタビュイー:まんの先生 同人作家。『入り浸りギャルに●●●使わせて貰う話』で一躍同人作家として活躍。
兼業作家。デビューするまでの道のり
――まんの先生は学生時代から漫研に所属し同人活動をされていたと伺いました。元々イラストや漫画などのクリエイティブ系の勉強をされていたんでしょうか?
まんの先生:
いいえ、高校は普通科でしたし大学では理学部でした。元々はアニメや漫画やライトノベルが好きな消費者側で、漫研に入ったのも単純に空いたコマに部室で漫画を読んだりゲームをやったりできるからだったんです。
たまたま同期の友達や先輩に絵や漫画がめっちゃ上手い人が複数いて――彼らの多くが今も漫画の世界で活躍しているんですが――それに触発されて自分も描いてみようと思った、という感じです。
――同人活動やプロ作家としての活動もその流れで?
まんの先生:
そうですね。コミケで『Fate/Grand Order』の同人誌を出したんですが、それがワニマガジンの編集者の目に留まって『コミック快楽天』という雑誌で商業デビューさせてもらいました。先ほどの先輩の件もありましたから、そこで縁を感じたというのもあります。
――ものすごく順調に作家デビューされたんですね。
まんの先生:
いや、実際はそんなこと全然なくて、ワニマガジンさんでは載せてもらうためにものすごい数のプロットをボツにされました。
それに専業作家ではなく、割とブラックめな商社で働いたり親の会社で事業を引き継いで工場の現場リーダーやったりしながらだったので、作業的にはそれなりにキツかったです。
元々オタク気質な僕としては商社の体育会系なノリもしんどかったですし、既に関係が出来上がっている親の会社に現場のことを何も知らないリーダーとしてポンと放り込まれるのも、大変ではありましたね。
――それは相当大変だったと思います。そういった経験を経て商業作家になったんですか?
まんの先生:
いいえ、経てというよりは、商業の後に同人で『入り浸りギャル』を出してシリーズ化して、というのと並行して普通の社会人としての仕事もやっていました。会社の事業を畳んで完全に作家業だけになったのはシリーズ4作目の頃なので、割と最近まで兼業だった感じですね。
キツい状況ではあったんですが、今思うとそういう状況だからこそ「こんなことを一生続けるわけにはいかない」「専業作家になって抜け出してやるぞ!」という意気込みにもなっていたように思います。
また、友人が専業漫画家として楽しそうに働いているのを見て「あんな風に自分の好きなことを仕事にしたい」とも思っていました。
専業作家になってからは時間的にも金銭的にも余裕ができました。
その分、いくらでもサボれてしまう環境になってしまったので、いかに自分を律して創作に打ち込むかということが課題になっていますね。
『入り浸りギャル』に見る成功法則
――人気シリーズとなった『入り浸りギャル』について、制作背景を教えてください。
出版社さんで描いている時に、一ヵ月くらいかけて練ったプロットをボツにされてしまい、悔しいからこれは同人で出そう、と思って再構成したのが『入り浸りギャル』でした。
――元はどういうプロットだったんでしょう?
まんの先生:
自分の性癖として「女神のような、自分のことを相手にもしないような上位存在的なヒロインに服従したい」というものがあって、そこから「男の方は必死に●●●●●しているのに全然気にせずに漫画を読んでる女の子」というイメージが浮かんだんです。
それをより具体化して「学校のカースト上位の女子に漫画を貸す代わりに使わせてもらう」というシチュエーションができた、という感じです。
「漫画の代わりに使わせてくれる女子なんかいるわけないだろ」って思われるかもしれないし、実際そういう子がいたら俗っぽいヒロインになると思うんですが、僕としてはそういう常識に捕らわれないところに超常性というか女神的なものを感じるんですよね。
それに、たとえば主人公キャラクターの顔が元々いいとか、相手のためにすごく努力した結果女の子と●●●●ができる、みたいな現実的なプロセスだと、僕を含め読者の多くを占めるであろう不遇な男性は「そんなの俺には無理だ!」と思ってしまうと思うんですよね。
――読者の感情移入を促すために、敢えて現実的でない設定にした、ということですね。
まんの先生:
後から言えばそういうことになるのですが、描いている時の僕の気持ちとしてはもっとシンプルに「こんなことがあったらいいな」くらいの感じです。
――そういったコンセプト的な面以外で、『入り浸りギャル』がヒットした要因についてどのように分析されていますか?
まんの先生:
1つは、読者が漫画に期待する絵柄が描けていたのかな、ということです。一僕は絵が上手い方では全然ないですが、読者が求める絵柄を描けていたのかな、と思います。
――随分お上手だと思いますが……
まんの先生:
そう言っていただけると本当に嬉しいですね。売れた理由がもう1つあるとすれば、タイトルや表紙の分かりやすさです。
一般漫画の場合、作品の宣伝は編集者の方がやってくれますし、他の作品目当てで雑誌を買って「この雑誌に載っているということはこの漫画もきっとそれなりに面白いんだろう」と思って僕の作品を読んでもらえることもあり得ます。
ですが同人の場合、名前も知らないような作家が描いた何の権威もない漫画を、表紙だけを見て買ってもらわないといけません。そのためには、表紙は極力分かりやすいものでないといけないと思うんです。
――確かに。表紙やタイトルが宣伝を兼ねている必要があるわけですね。
まんの先生:
そうです。たとえば『入り浸りギャル』の1巻の表紙はそれ自体が作品のシチュエーションを表しています。
また、『入り浸りギャルに●●●使わせて貰う話』というタイトルも、「入り浸っている」というフレーズで作中のシチュエーションを、「使わせて貰う」という言葉でヒロインと●役の関係性を想起できるようになっています。
――そうすることで、買う前の段階で作品の中身を知ってもらい、買うかどうかの判断にしてもらっているんですね。それにあたって注意点などはありますか?
まんの先生:
そうですね、クリエイターあるあるなんですが、タイトルにカッコいいオシャレなのを付けてしまいがち、というのがあります。前述の通り、商業作品であれば編集が宣伝してくれるからそれでもいいんですけど、同じことを同人でやると作品の中身が何も分からないわけです。
なので、同人の場合はどちらかというとライトノベルの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』やなろう系の『盾の勇者の成り上がり』のように名が体を表しているタイトルにした方がいいし、自分の作品が売れた理由があるとすればそこも大きいのかな、と思います。
――確かに、なろう系は分かりやすいタイトルにすることがセオリーになっていますが、その成功法則は同人にも適用できるわけですね。
まんの先生:
出来ると思います。それと、もう1つ1作目が売れた理由があるとすれば、値付けの問題かなと思います。
今、DL同人のトレンド的には、1000円前後で70ページくらいあるような高価格でボリュームが多いものが主流になってきています。
FANZAやDLsiteのランキングは売上順、つまり単価×販売部数になっているので、高単価な方がランキングに乗りやすいからです。
一方で、僕が最初の『入り浸りギャル』を出した時は全くの無名でしたし、そんな得体の知れない奴の本を買うのは勇気がいりますよね。
なので25ページで価格を500円に設定したんです。500円なら知らない奴の本でもお試しで買ってみようかな、と思えるんじゃないかと思ったんですよね。
――そういった様々な工夫があったおかげで37万部の売上になったんですね。
まんの先生:
まあページ数は当時はそこまで考えていたわけではなく、商業で描いてたのが20ページくらいのものだったので自然とそうなっただけなんですけどね。後から考えると最初はそれがよかったのかな、という感じです。
――こだわって描く際は、自分のこだわりと読者の求めるもの、どちらを重視するんでしょうか?
まんの先生:
まずは自分が描きたいことを重視しますね。読者の希望を叶えることを第一に、とはしないかな……そのかわり、自分が表現したいものがどうすればより読者にダイレクトに伝わるか? ということについてはこだわって描いています。
感情を大切に。作品分析の方法
――先生も他の方の作品を読んで分析することがあると思うのですが、その際、どのような観点で分析されていますか?
まんの先生:
漫画を読んだ時の感想は概ね3つに分かれると思います。それは「何だこれ全然面白くねえ!」か「まあ普通……」か、たまに「すげえ、メッチャよかった!」なんですが、このうち一番勉強にならないのが真ん中の普通のやつです。普通だと何も感想が出てこないので。
一方、「クソつまらん!」と思った漫画に対しては「何がつまらなかったんだろう?」と、その理由を考えることができますよね。無駄なセリフが多いとか1ページ内にコマが多すぎるとか、コマの流れが分からないとか、そういうやつです。
このように、つまらないと感じた理由を言語化することで、自分が漫画を描くときに同じことをしないよう気を付けることができるようになります。
ストーリーについても同じで、たとえば「どうしてこの主人公、カッコイイことを言ってるはずなのに逆に白けるんだろう?」と思ったとして、そこから「あ、このキャラは過去が不明瞭だからセリフが薄っぺらく感じたんだ」という原因が分かれば、「じゃあ自分が描くときは過去を描くのが大事なんだな」と反面教師にすることができます。
「メッチャ面白い!」と思った時も同じで、どこがいいと感じたのかを言語化することで「俺、こういう話が好きだったんだ」ということが分かったり、エロさやエモさの読者への伝え方が見えてきたりします。
このように、自分が感じた感動を言語化することで作品の良し悪しが見えてきますから、それが分析の第一歩になっているように思います。
――世の中で流行ってても自分にとっては「普通かな」ということもありますよね。そういう場合はどうでしょう?
まんの先生:
自分がいいと思わない要素を自分の漫画に取り入れるかに関しては、漫画を描く目的によると思うんですよね。「漫画を描いて売れたい! 儲けたい!」と思うのであれば、流行りを取り入れられた方がいいでしょうから、自分の好みに関係なく取り入れるよう頑張るべきだと思います。
逆に自分がいいと思うもの、最高だと思うものを表現したいということが目的なのであれば、いいと思えないものを他人がどう評価してるかは見なくていいし自分の漫画にも取り入れなくていいと思います。
僕自身に関して言えば――これは逆の考えの人を批判する意図はなくあくまで僕自身はどうだという話に過ぎませんが――僕は自分がいいと思うものを描きたいと思っていますし、自分が面白いと思わないものが流行ってるのを見るとムカつくので見ません(笑)。見せられても「何だコレ」って切り捨てちゃいますね。
ただ、繰り返すようですが、目的が「売れたい」ということであれば流行っている漫画から得られるものはあると思うので参考にするのも手だと思います。
――自分があまり好みではない癖やシチュエーションの作品だけど漫画としては面白い、みたいなこともあると思うのですが、そういう場合はどうでしょう?
まんの先生:
自分の好きなジャンルの外の作品でも、いち読者として面白いな、上手いなと思うことは普通にあります。けど、そのジャンルの漫画を面白いと思うことと自分が描きたいと思うことは別なので、いいと思ったからといって自分も同じジャンルで描くかというと、そういうことはほとんどないですね。
著:いちあっぷ編集部
構成・執筆:いしじまえいわ
続きは、『DL同人、はじめてみたらこうだった 成功者の実体験から学ぶ自分らしい稼ぎ方2』より御覧ください。
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