デジタルイラスト制作の必需品「ペンタブレット」。
近年ではECサイトを中心に海外メーカーから様々なペンタブレットが販売されているのを見かけるようになりました。
そのひとつがXP-PEN。一昔前では考えられないような高コスパでペンタブレットを販売しています。そこで今回の記事ではXP-PENのラインナップ商品のひとつである液晶ペンタブレット「Artist 15.6 Pro」をご紹介。キャラクターイラストや背景、3Dや漫画といった様々なクリエイティブを制作している方々にArtist 15.6 Proを体験いただき、レビューをお届けします。
▼目次
慣れの部分もあるが、液タブ経験がない人であれば違和感は覚えにくい
※本記事はXP-PENの提供でお送りします。
XP-PENとは?
中国深圳に最新のオフィスを構えるペンタブレットメーカー。
2005年からグラフィックタブレットの研究開発に取り組み始め、製品独自のデザイン、生産、販売とサポート力を持つメーカーです。2008年に台湾支社、2013年には米国カルフォルニア州にXP-PENテクノロジーを設立するなどアジア圏のみならず北米やヨーロッパでも販売されています。
海外メーカーですが、サポートは公式サイトから日本語でも受け付けており、丁寧なサポート対応を取り組んでいます。
▶XP-PEN 会社概要へ
Artist 15.6 Proとは?
Artist 15.6 Proは2019年7月現在、XP-PENがお届けする製品の中でも一押しの液タブ。
ディスプレイサイズは15.6インチ、解像度1920×1080ピクセル。筆圧感知は8,192レベルでペンの充電も必要なし。スペックを見る限り十分な作業環境が得られる製品です。
▶ スペックの詳細は公式サイトへ
用意するものはパソコンとイラスト制作ソフト
HDMIが接続できるパソコンと制作ソフトがあれば、すぐに制作が始められます。ペンの替え芯や描きグローブも付属されており、細かな配慮も嬉しいところです。
Artist 15.6 Pro体験レビュー
さて、ここからはArtist 15.6 Proのレビューです。今回はいちあっぷの運営元であるMUGENUPに所属するクリエイターの方々にXP-PENを体験いただきました。
■N.K氏(2Dアートディレクター)
2D専門のアートディレクター。キャラクターイラストを中心にディレクション業務(品質管理など)を行っている。会社では板タブ、家ではちょっと古めの液タブを使用中。
■K.Y氏(3Dアートディレクター)
3D専門のアートディレクター。最近ではVTuberを中心にモデリングをしている。体験ではZBrushを使用。日頃から板タブで制作している。
■S.S氏(元アニメーター)
元アニメーター、原画マン歴8年。今はゲームイラストの仕事をしている。会社では板タブ、趣味ではiPad Proを使用中。
■K.K氏(漫画家)
漫画家。最近、iPad Proでマンガ制作をはじめた。
■T.K氏(背景アートディレクター)
背景イラスト専門のアートディレクター。前職はアニメの背景美術担当。日頃から板タブで絵を描いている。
思った以上に普通に描けるし、絵を描くのが楽しくなる
―― 日頃からペンタブレットを使って絵を描いており、体験前は色々な先入観があると思いますが、はじめて触ったときの感想はいかがでしょうか?
N.K氏(2Dアートディレクター):
「あ、普通に描ける」というのが率直の感想です。
僕が自宅で使っている液タブは古めのモデルなので、画面の端っこ、例えば、閉じるボタンを押そうとするとペンと押したい場所がズレるんです。だけど、このArtist 15.6 Proにはそんなことがなくて「普通に描ける」な、と。
S.S氏(元アニメーター):
そうですね。普通に描けると思います。ただ若干、ペンのストロークに遅れがあるかなぁ。
N.K氏(2Dアートディレクター):
S.Sさんは元アニメーターだけあって、手も早いですしね。
K.Y氏(3Dアートディレクター):
自分はZBrushで2日ほど仕事で使いながら体験したのですが、問題なく描けると思いました。
日頃から板タブで描いているので、液タブだと直感的に描けるのがいいですね。ただ、ちょっと場所を選ばないと照明の明かりが画面に映っちゃうのが気になるところ。これはXP-PENだから、というか全ての液晶ペンタブレットに言えることかもしれませんが……。
K.K氏(漫画家):
液タブの特有の懸念点である、ペンと描写物の視差も気にならなかったです。普段使っているiPad Proと比較しちゃうと、iPad Proの方が視差が少ないですが。
T.K氏(背景アートディレクター):
僕は前職、アニメ業界で背景美術をやっていたので、その頃にアナログで描いていた時代を思い出しました。
今でも板タブしか使ったことがないので、ペンを置いた先にすぐ色が入ることに感動しました。絵を描いてるなって感じがあるので楽しいです!モチベーションが上がりますね!
▲動作環境はZBrush
慣れの部分もあるが、液タブ経験がない人であれば違和感は覚えにくい
―― 購入を考えている人が一番気になるのは描き心地だと思うのですがいかがでしょうか?
T.K氏(背景アートディレクター):
S.Sさんが言ってたとおり、板タブを使っていた頃より、若干ペンのストロークの追従が遅れている感覚が少しありました。僕も背景を描くときの筆の動きが早いと思うので、そういった面もあるかも……?
N.K氏(2Dアートディレクター):
僕もストロークの追従が若干遅れている感覚がありました。だけど、慣れかなぁ~
S.S氏(元アニメーター):
確かに、慣れが大きいかなと思います。
他の液タブを使ってると、違和感を覚える要素になるかと思っていて、最初は違和感を覚えるけど使い続ければ馴染むのかなと。
N.K氏(2Dアートディレクター):
ですね。僕はアートディレクターの仕事でキャラクターイラストに朱入れとかしていますけど、そういうのであれば描き心地に関してはまず問題ないですね。
K.Y氏(3Dアートディレクター):
自分はストロークの遅れとかは気にならず、描き心地については全く問題なかったです。ZBrushで制作した上での感想ですが、この領域においては不満がなかったです。
▲動作環境はCLIP STUDIO PAINT
ディスプレイが綺麗。作業中であれば色味も気にならない
―― 液タブ、ということなのでディスプレイや色味も気になるところですがいかがでしょうか?
N.K氏(2Dアートディレクター):
ディスプレイ、とても綺麗でいいですね。
T.K氏(背景アートディレクター):
これで作業を進める分には問題ないと思います。ただ、最終確認になると他の人と色味をあわせる必要があるので、そのときはしっかりとしたディスプレイでチェックしたほうが良いかもですね。
ただ、これは仕事での考えなのでSNSでアップすること目的とした趣味イラストであれば気にすることではないと思います。
K.K氏(漫画家):
そうですね。SNSでのアップ目的であれば気にすることはないかと。ただ、趣味でも色味にこだわって同人誌を作るとかであれば、別のディスプレイでしっかり確認した方がよいかも知れませんね。色味の違いに気づけますので。
▲動作環境はPhotoshop
円形ダイヤルインターフェースが好評
―― その他に気になったところはありましたか?
K.Y氏(3Dアートディレクター):
自分は円形ダイヤルのインターフェースがとても良かったです!
普段はマウスのホイールを使っている身なので、円形ダイヤルで拡大縮小を素早く操作できるのがいいですね。マウスホイールをかなり使うので助かります……!
S.S氏(漫画家):
僕も円形ダイヤルで拡大縮小できるのが便利でした。
左手デバイスを日頃から使っている人であれば、目新しくもないかも知れませんが、Artist 15.6 Proの円形ダイヤルは物理的に触れて、回す感覚がしっかりあるので、しっくり来るんですよね。
▲円形ダイヤル
N.K氏(2Dアートディレクター):
あと、思っていたより本体が熱くならなかったです。ぬるいぐらいでした。スマホとかでもそうですが、精密機器って熱くなると危機的なものを感じるので安心感があります……。
K.Y氏(3Dアートディレクター):
普段、説明書を読まずになんとなくで始められるタイプなのですが、ケーブル周りや設定方法がパッと分かりにくいかなぁ……。
エクスプレスキーやディスプレイ、キャリブレーションの設定方法が説明書に記載されていないので、パソコン操作に乏しい人はちょっと躓く要素になるかも知れません。
いちあっぷ編集部の補足:Artist15.6Proの設定方法
Artist15.6Proのドライバをインストールすると「PenTablet」というアイコンがデスクトップ上に表示されるので、そこからキャリブレーションやモニタ設定ができます。
ディスプレイとエクスプレスキー設定画面です。色味や輝度、各ショートカットキーはこちらから設定できます。
趣味なら全く問題なく使えて、コストパフォーマンスが良い
―― ECサイトでは約45,000円(2019年7月4日時点)で売られています。最後に価格に対するパフォーマンスはいかがでしょうか?
S.S氏(元アニメーター):
はじめての液晶ペンタブレットとして、コストパフォーマンスが高い製品だと思います。価格帯が5万円を切っているのでまさに液タブ入門機かなと。
K.K氏(漫画家):
アナログでイラストを描いていた人は、板タブを買うとしばらくの間、違和感と戦うのですが、液晶ペンタブレットであれば、アナログで描いている感覚がそのまま活きるのもいいですね。
K.Y氏(3Dアートディレクター):
今の中高生だとスマホで描いていたりする人もいると聞くので、最初から板タブを使って違和感を覚えるより、最初から液タブを買って、本格的なデジ絵制作を試みるのもいいんじゃないでしょうか。高校生であれば価格的にアルバイトで届く金額だと思います。パソコンの準備は必要ですが、今では無料のペイントソフトもありますし。
N.K氏(2Dアートディレクター):
趣味レベルであれば全く問題ないと思います。ただ、仕事になると色とか見ないと行けないので別途ディスプレイが必要かなと。
T.K氏(背景アートディレクター):
やっぱり液晶ペンタブレットを使うと、絵を描く楽しさ、モチベーションがグンッと上がるのが一番の良さかなぁ。
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