イラストレーター、同人作家、アーティストを経て - イセ川ヤスタカ(前編)
2015.10.30
クリエイターインタビュー第3弾はイラストレーターのイセ川ヤスタカさんです。
『重力迷宮のリリィ』(著/金子跳祥 電撃文庫)や『TRPGしたいだけなのにっ!』(著/おかゆまさき 電撃文庫)の挿絵をはじめ、『拡散性ミリオンアーサー(Vita版)』(スクエアエニックス)などのゲームイラストも手がけています。
に続いて、インタビュー後編では、イセ川さんがイラストを上達させた秘密を探ります。
をご紹介。これからイラストレーターを目指す方にとって重要なポイントが盛りだくさんです。
絵の技術は予備校時代が一番伸びました。予備校ではデッサンはもちろん、受験で点を取るメソッドを元に配置や構図などの絵を描く上で必要な知識と技術が学べます。特に立体の試験用に習った点数を取るためのメソッドは、作品をデザインする際に今も役立っています。幼稚園のときに、丸がうまく描けなくて丸を描く宿題を出されたくらい絵が下手くそだった僕の画力を、絵でご飯を食べられるレベルにまで底上げしてくれました。
切磋琢磨する雰囲気は、ゲーム会社でも同様に経験しました。例えば予備校で仲の良いクラスメート達と受験前の限られた枠を取り合う独特の殺伐とした空気や、受験合格という共通の目標に向かって努力する姿勢は、ゲーム会社で働いていた頃に売上で「他の同僚や上司を超える」や「期限までに何枚仕上げるか」などの目的を掲げて努力する姿勢と共通しています。このように厳しく高めあう環境が、イラストを上達させる要素のひとつになると思います。
自分の作品は「カトキハジメ×『ご注文はうさぎですか?』」のように、要素を足して2で割るような感じで進めます。
という手順を心がけています。
映画は色味や背景美術など様々なものを吸収できる為、よく見ています。最近見たオススメの映画は『レゴ(R)ムービー』ですね。
社会人として人の話を素直に聞く姿勢、自分から動く行動力は仕事をする上でも非常に重要です。僕は国公立の芸術大学に入学できるぐらいの実技能力と筆記試験能力があるのが理想だと思い、基準としてきました。イラストレーターは技術だけではなく、教養も必要だと思います。
学校に入学したら早い段階で進路と目標を定める。そして、そこに行くまでにどういった過程を必要とするかを具体的に認識して、思い立ったらすぐに行動することを心がけましょう。特に目標とするクリエイターを決めて、真似ていくことが大切です。イラストレーターを目指すのなら、模写から始めてテイストやクリエイターの意識的なものまで真似ていけるといいですね。
同時にどうやってお金を稼ぐかについての明確なビジョンと戦略も意識する必要があります。ひとつの戦略として、名前を売っていくことが大切だと思いますね。商品の宣伝で著名人を起用するように、イラストレーターも知名度を高めることでお金や機会が多く集まってきます。『pixiv』の上位ランカーになることはひとつの知名度の上げ方ですね。好きとか嫌いなどの感情以上に、どうやったら稼げるかをしっかり考えられるかが重要だと思います。
―― ただ技術だけを高めるのではなく、幅広い観点で自らを高める必要があると語るイセ川さん。職業としてのイラストレーターにしっかり向き合ってきたからこそ紡がれる言葉は、あなたのイラストに新しい観点を与えてくれるかもしれません。
イラストレーター、アーティスト、京都芸術デザイン専門学校非常勤講師。京都市立芸術大学卒。『重力迷宮のリリィ』(電撃文庫)、『TRPGしたいだけなのにっ!』の表紙及び挿絵担当。ゲーム関連では『拡散性ミリオンアーサー(Vita版)』(スクエアエニックス)、『城姫クエスト』(GREE、KADOKAWAアスキー・メディアワークス、AZITO)、『ミリオンチェイン』(サイバーエージェント)などでイラスト数点を手がけている。アーティストとして2015年にグループ展『プラレシオ』(アンテナメディア)、2014年に個展『マジックプラリズム』(アンテナメディア)、個展『ネコソギグラフィカ』(三条祇園画廊)の活動。現在はアーティスト活動を休止しているが、イラストレーターとして精力的に活動中。