7つのステップで完成する!髪の塗り方講座
2016.08.17
服の塗りは髪や目と比べて、シンプルな塗りに見えますよね。ですが、肌や髪などの塗りのテイストとズレないように注意が必要です。
人物のベースを綺麗に塗っても、多くの場合は肌や髪よりも服の面積のほうが多いため、手を抜くと見栄えがガクッと悪くなります。ベースにあるテイストを崩してしまわないよう、服の塗りにも気合を入れて挑んでいきましょう。
では、服の塗り方の一例をご紹介します。
今回ご紹介する服の塗りは、
1.ベースカラー
2.光
3.1影(今回は光と1影の間に更に薄影レイヤーを挟みます)
4.2影
5.反射光
6.リムライト+ハイライト
7.オーバーレイ
のレイヤー構成を基本構成として塗ります。
あくまで基本構成ですので、金属や布の質感に合わせて臨機応変に効果や陰影を追加しましょう。
服の塗りに使用するブラシ設定はこちらと同様です。
立体感を表すために、服全体を形作る1影から塗ります。
1影を塗る際、まずはアニメ塗り調で色を大まかに置きます。服の立体を意識して陰影に緩急をつけ、凹凸を表現しましょう。
アニメ塗り調に大体の陰影の配置を決めたら、使用ソフトがSAIの場合は水彩筆、それ以外のソフトの場合はエアブラシなどで一部の輪郭を伸ばし、塗りをベースカラーと馴染ませます。
体のパーツ毎の円柱を意識して、色を伸ばす部分と伸ばさない部分をつくり、完全にぼんやりとしないように注意しましょう。
今回は布の質感を上げて、イラスト全体をリッチな仕上げたい為、1影レイヤーの下に薄影レイヤーを作りました。
この薄影レイヤーは1影に使用した色をそのまま用いて、レイヤー不透明度を50%まで落として、1影よりも薄い、より繊細な陰影を描き込んでいったものです。
基本的な手順は1影と同じなので省きますが、コツとしては1影のようにしっかりと見える必要はなく「よく見れば、そこに影がもう1段階ある」といった雰囲気でOKです。
不透明度を下げた上で、エアブラシで削ったりして控えめに仕上げましょう。
また、「ベースカラーのベタ塗りの面積を減らさなければ……!」といった義務的感覚で陰影を追加し過ぎると、本来、シワが出来ないであろう部分にもシワを描き込んでしまい、服がヨレヨレになるので注意が必要です。
この薄影レイヤーは、お好みで追加するレイヤーなので、なくても問題はありません。
1影や2影を塗り終えた時、ベースカラーが露骨にベタ塗り状態で残ってしまい立体感が、チグハグになるといった悩みをお抱えの方におすすめな方法です!
1影で作った陰影をベースに重みを追加するため、1影よりも濃い色でもう一段階、影を落とし、全体にメリハリをつけます。
この1影より濃い色の影を2影と呼びます。
1影の輪郭に沿うように色を置くと影の内側が明るく光りに照らされているように見え、反射光を演出できます。また、1影の中にある影の描き込み情報量を増やします。
ここでリボンの落影やズボンの内側などが、2影をベタ塗りしている部分が色の濃さも相まってイラスト全体をずっしりと重くしすぎてしまいました。
今回は白髪で儚げな女の子を描きたいので衣服に重量感を減らし、全体のコントラストがあまり高くなり過ぎないようにしたいです。
そこで、色のバランスの様子を見て、陰影が重くなっている原因の「2影のベタ塗り部分」に暖色寄りの灰色で反射光を挟みました。すると画面全体に、陰影が主張をし過ぎない淡い印象を与え、複雑な塗りの仕上がりを演出することが可能です。
しかし、この反射光を全ての2影の内側に入れすぎてしまうと、影や光源がゴチャゴチャになるので、色味を調整するための演出として捉え、過剰に使い過ぎないように注意しましょう。
この段階だと陰影などの全体のバランスを見たときに、大元のベースカラーの色が暗い色の為、あまりパッとしませんね。
ベースカラーが濃い色の場合、陰影で表現できる明度の幅はとても狭く、不十分ではありませんが立体感に欠けてしまいます。
そこで1影よりも下に光レイヤーを追加し、エアブラシなどの軟らかいペンでぼんやりと光を追加することで、1影に以降の陰影に干渉せず色味だけを調整できます。この光を入れると、濃い色と明るい色の幅が広がり、立体感を演出できます。
今のままだと、布同士が重なり合っている股下の部分や後ろのマントを塗ったときに輪郭がぼやけてしまいますね。
そこにリムライトを入れることで、パーツごとの輪郭をハッキリさせ、それまでの塗りの良さを更に引き出すことができます。
しかし、リムライトは重なっている部分を切り離してみせる効果もあるため、輪郭全てを光らせると一体感がなくなり、パーツ毎に浮いているようにも見えるので要所々々に入れましょう。
あとは仕上げです。
エアブラシで光の当たっている部分を大きめになぞり、オーバーレイレイヤーでグロー効果をかければ完成です!
オーバーレイを入れることにより、陰影の中にもグラデーションが入り、重い印象を軽くできました。
これでひとまず服の基本の塗りは完了です。
基本的には他の服のパーツの塗りも同じです。
その為、ダイジェストで他のパーツの塗りの工程をお送りしていきます。
細かい補足をします。
金装飾は他の布の材質よりも硬く、光と影のコントラストが高く目を引くのが特徴です。
材質を表現する為、ハイライトと陰影の輪郭を他より硬く描き、金属の流れを意識しましょう。
また、金色を際立たせるために、オーバーレイではコントラストの高い黄色をかけました。
タイツの様に、肌にぴっちりと張り付いているパーツは、肌の塗りと相違の無いように気をつけながら、肌の色の透け感を表現するため、赤みを帯びた色でオーバーレイを掛けるとよりタイツっぽく仕上がります。
以上で服の塗りの工程は完了です。
今回は全体的に厚手の服でしたが、ワンピースやブラウスのような薄手のものでも衣服の厚みや皺の入り方の違いさえ意識すれば塗り方は同様です。
あくまで塗りの一例ですので、この塗り方が全てというわけではありませんが、一般的な塗りのレイヤー構成の一つとして、このメイキング講座を通して皆様が自分の塗りを見つけるきっかけになれれば幸いです。
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2015年1月からフリーランスで活動を始めた駆け出しイラストレーター。
どこまで行ってもゴールなんて無いお絵描きというジャンルにやり甲斐を感じています。