ステップ式で学ぶ!うな重の描き方メイキング講座

ステップ式で学ぶ!うな重の描き方メイキング講座

今回は食べ物メイキングシリーズ。これまでお送りしたカツ丼の描き方、ラーメンの描き方を通して食べ物を描く基本をまとめつつ、応用を含めながらうな重の描き方をメイキング形式で紹介していきます。

 

 

▼目次

1.うな重のラフ(下書き)の描き方

2.ペン入れ

3.下塗り

4.出っ張っている部分を明るく塗る

5.影①(乗算)

6.影①

7.影②(乗算)

8.焦げ目とタレ

9.ハイライト①(スクリーン)

10.ご飯のハイライト(スクリーン)

11.ハイライト②

12.反射を描き込む

13.仕上げ

14.オーバーレイで仕上げ

15.  湯気を描き加える

 

1.うな重のラフ(下書き)の描き方

うな重の描き方

形の難しいものではないので資料写真を見ながら配置を決めざっくりと下描きします。

2.ペン入れ

うな重の描き方

ペン入れは以下のことに意識すると上手に表現できます。

  • 強弱をつける、線を閉じない = 柔らかく見える
  • 均一な線 = 固く見える

なので、食べ物の線はきっちり清書しすぎずにラフさを残して柔らかさを表現します。反対に食器類は均一の線にすると食べ物との質感の違いを表現できるので直線ツールを使って描きました。

3.下塗り

うな重の描き方

食べ物を描くときは「赤味つよめ」「彩度高め」の選ぶと美味しそうに見えます。

 

左側の色は資料写真からスポイトしたものですがイラストにすると濁って見えます。普段選ぶ色より少しだけ赤く彩度を高く意識してみてください。

4.出っ張っている部分を明るく塗る

うな重の描き方

下塗りレイヤーのうなぎに明るい色を入れます。うなぎの形や光源を考えてから色を置く位置を決めましょう。

 

この後の工程でガイドにするので写真を見たり、立体を思い浮かべたりして明るくする位置を理解しながら塗ると後々の作業が迷わずにできます。

5.影①(乗算)

うな重の描き方

ベースに近い色を選んで塗ります。灰色系の色を選ぶと下塗りでせっかく彩度を上げた意味がなくなるので注意が必要です。

 

明るいところとは逆に、凹んでいるところはどこかを考えてから影を塗っていきます。


この後の工程でぼかして行くので、この段階ではくっきり塗ります。ぼけ過ぎにならないよう固いブラシを使用してください。

6.影①

うな重の描き方

色混ぜ系のブラシを使ってぼかします。

 

やりすぎると柔らかくぬるぬるした質感になるので、元のラインが分かるように残しましょう。

7.影②(乗算)

うな重の描き方

更に暗い部分を塗ります。やりすぎないようにポイントを絞りましょう。

 

影①と同じように元のラインが分かるようにぼかします。

8.焦げ目とタレ

うな重の描き方

彩度の高い茶色で塗ります。真っ黒を使うと濁ってしまうのでこげ茶色がオススメです。

 

焦げ目を描いてからタレでもOKですが、今回は色がとても似ているのでまとめて塗ってしまいます。

 

焦げ目は筆跡を残します(ガサガサしているイメージ)、タレは滑らかなので強めにぼかす(ぬるっとした感じ)とそれらしく見えます。

9.ハイライト①(スクリーン)

うな重の描き方

はじめに明るい部分を描いた時と考え方は同じです。出っ張っている部分に明るい色を置きました。

 

店内の照明を反射しているという想定で黄色系を選びます。イラストのシチュエーションに合わせ(屋外屋内時間帯)光の色を変えるとなじみが良くなります。

 

食べ物の絵はハイライトが一番大切です!

 

影と同じように筆跡を残しながらぼかしますが、またハイライトを描き込みぼかして……と繰り返し自然な凹凸にみえるまで描き込みを繰り返します。

 

大変ですがこの工程を丁寧に行うと絵のクオリティが上がります。

10.ご飯のハイライト(スクリーン)

うな重の描き方

米粒ひとつずつにハイライトを入れました。ぼかすとどろどろになってしまいお粥にみえるのでエッジの立ったブラシで描き込みましょう

11.ハイライト②

うなぎは凹凸が多く、タレで表面が覆われているのであちこちに細かいハイライトが入ります。それを表現するために真っ白で細かいハイライトをたくさん入れました。

 

出っ張っている部分は多めにハイライトを入れるようにしていますが、タレは液体なので思いもよらない場所に溜まっている事もあり不規則です。あまり厳密に考えずフィーリングで入れてください!

12.反射を描き込む

うな重の描き方

てかてかした表面には周囲の色が写り込みます。タレの滑らかさを表現するために白で映り込みを描き透明度を下げて馴染ませました。

 

細かく描きすぎるとエナメル素材のようになってしまい質感が変わってしまうので、強すぎると思ったら透明度をもっと下げてみてください。

 

お米や葉にも同じようにハイライトを入れました。どちらも光沢はないのでうなぎに比べて控えめです。

13.仕上げ

うな重の描き方

最後に仕上げです。まずは器を塗ります。

 

また、塗っている内に色がくすみがちなので調整しました。今回はカラーバランスで赤を強くしましたが、

  • 全体にくすんで見える→カラーバランスで赤を強める
  • メリハリが弱くなった→コントラストを上げる
  • 灰色っぽい(渋い)→彩度を上げる

など完成したイラストの印象に応じて使い分けてください。

14.オーバーレイで仕上げ

うな重の描き方

オーバーレイレイヤーは下の色が透けます。色が濁らないので色の調整や描き込みすぎた場所の調整などいろいろな用途で使用できるレイヤー効果です。

 

この効果を用いて

  • ごはんの粒が目立ちすぎたので、出っ張っている部分にエアブラシで白を吹いて白飛びさせた。
  • 葉っぱが平坦に見えるので中央に黄緑色を吹いて明るい部分を作り立体感を出す。

といったことをしました。

15.湯気を描き加える

うな重の描き方

暖かい食べ物には必須の湯気!これがあるだけで一気に美味しそうに見えます。

 

さらに一緒に水滴っぽい点々を入れると瑞々しくなります。フルーツや冷たいお菓子には大げさに入れ、今回のように暖かいものには湯気の一部程度に控えめに入れましょう。

 

うな重完成です!

著・画 珠樹みつね

イラストレーター。ソーシャルゲームのカードイラストを中心に、3DS用ゲームの背景や食玩のオマケイラストなどジャンルを問わず活躍。Webのイラスト講座なども多数手掛ける。

 

ホビージャパンより著書「CLIP STUDIO PAINT キラキラの描き方 宝石・鉱物・金属などを輝かせる塗り絵テクニック」好評発売中。

 

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