絵を描く人にとって、最大の難関パーツのひとつとして立ちはだかるのは「手」ではないでしょうか。
複雑な手の平、手の甲の構造に加え、自在に動く5本の指がさらに難易度に拍車をかけます。
しかも「キャラクターの手を見れば絵の上手さが分かる」と言われるほど描き手の画力がもろに表れるパーツです。
その分、手は物を持つだけではなく感情や性格などを表せる部位でもあります。覚えてしまえばキャラクターの表現の幅がより一層広がる楽しいパーツです。
そこで、本記事を通して各部位の形やサイズを把握し、手の描き方をマスターしましょう。コツを覚えてしまえば全体のクオリティアップとスピードアップにつながります。
手の比率
上記の図が基礎として覚えたい手の比率です。中でも特に意識してほしいのは親指の長さと、親指の付け根の幅です。人差し指〜小指をしっかり描こうとするあまり、親指がないがしろになることが多いので気をつけましょう。
手の平の構造
手を描くうえで指と同じくらい重要なのが、手の平の土台となる4つのふくらみです。
指のデッサンをするときに「指とこぶしの位置を決める」アタリの役割を果たし、難しいアングルの手を描くときにも大きな助けになります。
名前と詳細は以下の通りです。
- 「拇指球(ぼしきゅう)」:親指の関節にあるふくらみ
- 「四指球(ししきゅう)」:親指以外の4つの指の関節にあるふくらみ。ここでは「四指球」と呼びます
- 「小指球(しょうしきゅう)」:拇指球の反対側にある手の平の小指側のふくらみ
- 「掌底(しょうてい)」:手の平の下にある部分
その4パーツを使った手の描き方をご紹介します。
この描き方を覚えておくと、難しいアングルからの手も描くことができます。
まず拇指球と四指球で三角形を作り、それをもとに指を描いたあと、小指球を足して手の平を完成させます。アングルやポーズが変わっても考え方は同じです。
指は伸ばした場合、掌底から伸びるように描くと違和感が少なくなるので、掌底のアタリも忘れずに描きましょう。
指の描き方
ある程度曲がった指は、消失点を使って指の向きを揃えて描きます。
あまり特殊な手のポーズでなければ、それぞれの指は一つの消失点に向かうので、基準となる指を描き、その延長線上に消失点を描きましょう。それに向かってその他の指を描くと完成です。
手を上手くみせる2つのコツ
コツ1:「こぶし(第三関節のでっぱり)を必ず描く」
手の平と指を繋ぐ関節であるこぶしは、指の位置と太さを決めるアタリになり、手を描くうえでとても重要な役割を果たします。
特に女性の手を描くときにゴツゴツしてしまうことを嫌い、こぶしを描かない人もいますが、デッサンの安定にも必須なので必ず描きましょう。
コツ2:「指の開き方と閉じ方」
指を開いたり閉じたりする動きには規則があり、指は曲げると手の根元部分に向かいます。指と指が平行に閉じることはありません。
それぞれの指の骨は手の根元、手根骨から生えているのが理由で、握りこぶしや物を持つ手の場合なども同様です
まとめ
以上の点をまとめると、
- まずは手の比率を覚えよう。親指の土台の比率は意外に重要。
- 手の平の土台になる4つのふくらみを駆使し、手を描こう。
- ある程度曲がった指を描くときは消失点を設定しよう。
- こぶしは必ず描こう。
- 指を開閉する場合、指は掌低を基準に動く。
この5つに注意して手を描いてみましょう。より正確で、リアルな手が描けるようになると思います。
なお、もう少し詳しい情報は私の著書
『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』の方を参考にしていただければと思います。
詳細な手や指の描き方、物を持った場合の手の描き方、さらには手首の描き方など幅広く押さえてあります!
https://goo.gl/qmUsVo
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フリーランスのイラストレーター。
様々な絵柄を駆使し、カードゲーム「マジンボーン・データカードダス」「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」のイラストや、4コマ漫画「BIOHAZARD THE TOON」の執筆、小説の挿絵などを手がける。
また、絵の描き方本『デジタルイラストの「身体」描き方事典身体パーツの一つひとつをきちんとデッサンするための秘訣39』を執筆し、活動の幅を広げている。