AVG(アドベンチャーゲーム)やノベル系のゲームなどで、キャラクターの立ち絵イラストはセリフとキャラのイメージを引き立てる重要な要素です。
そんなキャラに喜怒哀楽の表情をつけるとき、顔の中で表情を描写しているだけになっていませんか。
それだけだと、生き生きとしたキャラクター性を付けるには不十分です。
よりキャラクターの性格を伝わらせるためには、表情とポーズのマッチングが必要になります。
では、表情とポージングが感情表現にどれだけ影響を与えているか確認してみましょう。
表情とポージングで感情を表そう
まず、普通の女の子の立ち絵です。
次は、女の子の表情を変えたものです。
これらのふたつの絵を見比べると表情の変化はハッキリしていますね。
ですが、首から下は同じままです。 下の怒っている方の絵は、怒りをあらわにしている割にはおとなしいポーズで怒りが半減されてしまう結果に……。
せっかく腰から上まで描写しているのなら、顔だけではなく全身で表現することでより豊かな感情を描けます。
また、キャラクターの身体に動きをつけることでキャラクターに説明文をつけなくても性格をあらわすこともできます。
そんな風に、表情だけではなく首から下の表現も加えることで、キャラクターの感情をより豊かに表現しましょう。
キャラクターの性格を表すポーズ
まずこちらの女の子の立ち絵。活発そうな印象がうかがえます。
そして下の絵は上と同じキャラクターですが、表情とポーズによって性格の印象がかなり変わります。
こちらは気が弱そうで臆病なイメージです。
同じキャラデザインなのにどうして印象がこんなに印象が変わるのでしょう?
それは表情の変化だけでなく、全身のしぐさによって性格の変化を表すことで一層説得力が沸くからです。
このように表情だけでなくポーズも合わせるとキャラクターの性格や特徴を説明せずとも表現できます。
ポージングで伝わるキャラクターの性格
他にも、キャラクターの性格を身体で表現できる一例を紹介しましょう。
クールな優等生
持ち歩いている本(参考書)、眼鏡に当てた手、正しい制服の着こなしで真面目な性格、こちらに関心を向けたポーズとクールな視線で、スキのない堅いイメージを出しています。
けだるく無気力な女の子
先ほどのキャラと間逆な印象の女の子。
髪の毛は寝癖でぼさぼさ、肩は下がって無気力さが出ており、目をこする表現とあくびで眠さやだるさを出し、着崩れした制服でだらしなさが出ています。
強気でアクティブな男の子
上目遣いで攻撃的な視線を向けており、肩に力が入っているため上がっています。
ファイティングポーズをとることで強気で好戦的な表現をしており、軽装な服と動きをつけた生地の描写で身軽さを表わしています。
このようにポーズでキャラクターごとの性格を表現してみました。
顔だけでなく身体や動きもセットで考えたキャラクターデザインを心がければ一層魅力的なキャラを描けるようになるはずです!
実際に周りにいる人や、アニメやマンガのキャラクターを見て研究し、自分のイラストにも活かしてみましょう。
著・画:両角潤香(もろずみじゅんか)
Twitter https://twitter.com/morozumix
漫画家、イラストレーター。主に角川系や電撃系の少年誌等で活動。ゲームやアプリのキャラデザインやイラストも多数手がける。イラスト技法書制作やアミューズメントメディア総合学院東京校講師も行っている。2016年夏より月刊コミックアライブ(KADOKAWA刊)にて「クラウドヘブン-壊れゆく彼女-」連載中。