反射で見極めて攻略! 質感の違いによる塗り分け方

反射で見極めて攻略! 質感の違いによる塗り分け方

今回は「イラストメイキング 詳細ラフ編」に引き続き、イラストレーターのHAK.さんが、イラストにおける質感表現方法をメイキング形式で徹底解説。前回の講座を見ていない方は下記リンクからどうぞ。

物体にはそれぞれ質感の違いがあります。例えば金属と布だと、反射の仕方も違いますし、柔らかさも大きく変わってきます。それをイラストで説明できるようになったら、スキルとしてとても心強い武器になります。

 

今回は布や金属など、イラストにかかせない素材の描き方も具体的にご紹介。質感表現について考えていなかった人や、やり方がわからない人は是非参考にしてみてくださいね。

 

▼目次

光の反射による質感表現の違い

立体感を生む陰影の塗り込み方法

ハイライトを使って質感の違いを出していく

キャラクターに立体感を生むテクニック「まわりこみ」と「反射光」

テクスチャを使った質感の出し方

 

 

光の反射による質感表現の違い

正反射と拡散反射

光の反射には大きく、

  • 正反射
  • 拡散反射

の2種類があります。この2種類のどちらかの強弱で質感の違いが生まれます。

正反射とは一方向な光の反射で、拡散反射とは様々な方向へ散る反射のことを指します。照らされている物体の表面によって、反射の種類が変わります。人間が物体の色を見るときは拡散光を見て認識しています。

服(布)の質感を描くポイント

布はマットで、あまり光の反射の影響を受けません。というのも、繊維や密度が粗く、拡散反射する光(拡散光)が強いためです。

金属の質感を描くポイント

金属の質感を描くポイント

一方金属は正反射光が強く、ツルッとした質感が特徴的です。そういったものは「光の反射率が高い」と言ったりします。金属以外にも、つやつやとした質感のプラスチックも正反射する光(正反射光)が強い物体と言えます。

 

ただし、金属にも拡散光が強い物体が存在します。例えば、「南部鉄器」は鉄でできていますが、表面がザラザラとしているので拡散光の強い物体と言えます。サビついている金属も同じように見えるはずです。また、身近なもので言うと、MacBookの外装部分が挙げられます。サラサラとした外装は、とても細かな凹凸のあるアルミで作られているため正反射を妨げ、拡散光が強く見えるのです。

立体感を生む陰影の塗り込み方法

大切なのは光源を意識して塗ること

塗りの工程で忘れてはいけないのは、前回配色の工程で決めた光源を意識することです。質感は光があって初めて視覚的に認識できるので念頭に置きながら塗り込んでいきます。

立体感を生むコツは影から描くこと

立体感を生むコツは影から描くこと

「光源を意識しながら塗る」、ということで、明かりの当たっている部分から塗り込みをしたくなりますが、まずは影から塗っていき、全体の立体感を出していきます。

ハイライトを使って質感の違いを出していく

影の塗り込みがある程度終わったら明かりの当たっている部分を作っていきます。ここからは先程の質感の違いを意識しながら塗り込んでいきましょう。

ツルツルとした物体にはハイライト

正反射光の強いツルツルとした物体には、光源の明るさにほぼ近い「一番明るい部分」ができます。これを「ハイライト」といいます。キャラクターの目などにもハイライトを入れることが多いですが、これは眼球が水分で守られていてツヤのある質感になっているためです。

布にはハイライトを入れない

布などはマットな素材が多いため、ハイライトはほとんど見られません。ハイライトを付けると恐らく、ビニールやなめし革のようなつやつやした質感になってしまいます。

 

今回メインキャラクターの着ている衣服のほとんどが反射率の低いざらざらした布で作られている衣服をイメージしているので、ハイライトは入れずに明るい光の部分だけで表現していきます。

布にはハイライトを入れない

またこのハイライトの違いで生まれた、明るい部分と暗い部分ですが、これらのコントラストを強調することで、より正反射光の強い、表面がつやつやした物体や固い物体を表現できます。

キャラクターに立体感を生むテクニック「まわりこみ」と「反射光」

立体感を生むテクニック

さらに物体に立体感や奥行き感を付けるため、光源を意識した明かり以外の光を当てていきます

 

前回の記事で少し取り上げた「まわりこみ」の光は物体より奥の空間から、光がまわりこんで見える部分を言います。このイラストで例えると主に、キャラクターの上半身~大腿脚の裾部分に見られます。

まわりこみ

このようなまわりこみの光は、曲線的なものによく見られます。円柱をイメージすると恐らくわかりやすいと思いますが、キャラクターなどを描く際は、まわりこみを応用する形で描き進めると、立体感や奥行き感のあるイラストに仕上げられます。

 

ただし、多用してしまうとハイライト同様、光源がわかりにくくなってしまい、立体感が失われてしまうのであくまで”引き立て役”として描き込んでいくことが重要です。

テクスチャを使った質感の出し方

布にはたくさんの種類がありますよね。例えば、絹のようななめらかな布から、麻のような粗い布まで質感は様々です。それは布を構成している糸の細さや編み方によって違ってきます。

テクスチャブラシを活用して質感を出す

テクスチャブラシ

今回、メイキングイラストで多く使用したブラシはこちらの4種類です。質感の違いによって使い分けています。

 

ブラシを変えることによって質感に変化を出して、見応えのあるイラストに仕上げていくことが可能となりますが、必ず使い分けなければいけない、というわけではなく、あくまで質感の違いを表現するためのテクニックとして捉えて頂ければと思います。

キャラのイメージに沿って質感を考えていく

今回のメインキャラクターは、絹の衣服を所持しているほど裕福なイメージがあまりなかったので粗めの繊維を使った布素材を想定して塗っていきます。ただ、麻まで粗いものだと通気性があり、厚着をしている意味があまりなくなってしまうので綿のような、もう少し細かめのものをイメージしています。

キャラクターイメージでに沿って質感を考えていく

ドラゴンの皮膚はヘビのようなツルッとした質感をイメージしていましたが、ベースカラーが白なので、ハイライトが目立ちにくくなっています。その場合は無理に影を濃くしてハイライトを強調しようとせず、「白色」が映えるような質感にあわせていきます。

ハイライト

少しだけベースカラーを青紫寄りに調整し、所々にハイライトを入れてみました。ハイライトが少なくても明るい部分が目立っていれば、それだけでも十分質感の説明になります。むしろ、ハイライトは少ない箇所に限定して入れるからこそ質感の説明をしてくれる役割を果たしてくれます。というのも、ハイライトを沢山の場所に入れてしまうとハイライトを入れた全ての箇所が明るく見えてしまい、立体感や奥行き感がなくなってしまうからです。

ハイライト

さらに描き込みと、全体を鮮やかに魅せるために別レイヤーで色の補正を行い、人物キャラ、ドラゴンに関してはほぼ完成となります。(この時点で右足の位置が気になったので、調整をしました。)完成に近づいていたとしても、最後まで客観視は忘れないことが大切です。

 

次回より背景とエフェクトの描き込みをしていきながらイラストの完成を予定しています。

参考

KONICA MINOLTA - 楽しく学べる知恵袋 

著・画: HAK.(はく) 

WEBサイト|https://www.artstation.com/artist/yamato3298
絵描いてます。

 

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