色使いやぼかし方を覚えよう! 透明水彩で描く肌の塗り方
2017.02.15
今回は透明水彩画講座。「肌の塗り方」に続き、「目の塗り方」についてご紹介します。
肌を塗るときはふんわりした色を重ねることで柔らかさのある質感を表現しましたが、瞳は彩度を落としてハイライトを強調し、ガラス玉のようにキラキラとした仕上がりを目指します。
▼目次
まずは使用する色を紹介します。今回も肌とのなじみをよくするためにジョーンブリヤンNo.1を上手く使います。
それでは透明水杉の特徴を活かして目の塗り方をご紹介します。
線画の段階では黒目の輪郭を集中線のように描き、瞳の中心も軽く描く程度にしておきます。
0.2mmのシャープペンで目頭・目尻を締めるように少し濃いめにすると、印象がぼやけすぎず仕上がりがきれいです。雑誌などで見る女性のメイクを参考にするとわかりやすいかもしれませんね。
さてベースについてですが、瞳全体をデイビスグレーで着色し、生乾きの状態で目頭・目尻の粘膜部分にブラウンマダーとローズマダージェニュインの混色を置き、じわっと広げます。
このとき、筆で伸ばしたりせずに自然に滲ませるのがポイントです。
髪色を青緑系にする予定なので、瞳の色も緑がかったグレーにします。パーマネントサップグリーンとオリーブグリーンを薄く溶いたものを黒目の部分に乗せました。
地のグレーを潰さない程度の濃さになるよう気をつけながら、好みの色合いを作っていきます。
単純に緑系だけだと覗き込みたくなるような複雑な瞳に仕上がらないので、上瞼と黒目の境目にオペラローズを下瞼との境目にはネイプルスイエローを置きました。
原画のサイズだと目は1.3cmほどなのでよく見ないとわからないかもしれませんが、小さなこだわりがその人ならではの味になるので気を抜かずに理想を詰め込みます。
瞳を0.2㎜のシャープペンシルで縁取ります。縁取りの幅で印象が大きく変わるので、あっさり仕上げたいなら薄めに、お人形のように黒目がちに仕上げたいなら厚めに描きこんでいきます。
シャープペンシルの縁取りに沿ってインディゴとオキサイドオブクロミウムを薄く溶いたものを乗せます。
透明水彩では鉛筆などの粉が残ることはあまり好まれないのですが、あえて後からシャープペンシルで描きこみ馴染ませることで瞳の淵を強調しすぎず、柔らかく仕上げることができます。
上からジョーンブリヤンNo.1を載せて目全体をすこし黄色っぽくします。
白目を灰色や水色だけで塗る方も多いと思うのですが、私の場合はできるだけ重たい印象に持っていきたいのでどんどん濁らせていきます。
最後の仕上げです。
※少し色が濃くなりすぎたので黒目の下半分を三日月型に水で洗って色を調整してあります。
瞳の中心にハイライトを入れます。
前は白のボールペンなどを使っていたのですが、後から濡らすと色が消えてしまったり、乾く過程で薄くなるものがあったりするので、最近はミスノン(速乾性の油性インキ)を使うことが多いですね。
これは個人的なこだわりなのですが、瞳に星を入れるときには横並びに複数入れるようにしています。ひとつだけだと「瞳が光ってますよ」の記号に見える気がするので……。
勿論、丸い星をひとつ入れる方が映える絵柄もあるのですが、私の絵柄ならこの方が瞳の「きゅるん」感が出るような気がします。
白目と黒目の比率やアクセントに乗せる色などでかなり印象は変わるので、好きな目に仕上がったときは本当に興奮します。
今回のポイントは
以上の三点です。
瞳は人物の表情を決める大切なパーツなので、小さくてもこだわっていきましょう。
続きの髪の塗り方編はこちら。
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作家。透明水彩を使った少女画を得意とする。2014年より大阪・東京での展示を中心に活動。現在、絵に関するお仕事を募集しております。