衣紋(えもん)の抜き方で変わる! 和服を色っぽく描くポイント
2015.04.07
着物は男女問わずに人気の衣装。普段着る機会は少ないので資料などを片手に描くことが多いと思います。
ですが、資料をもとに描いてもしっくり来ない経験はありませんか。それは着物の構造を理解していても、着物を着た人物の見せ方まで把握できていないのが考えられます。
そこで今回は男性キャラに絞って、着物の見せ方や魅力の出し方をご紹介します。
▼目次
着物は男女によって着付けが異なります。特に間違えやすいのが、首後ろの衿部分である衣文(えもん)と帯です。
男性:カッターシャツのように首にピッタリしている
女性:拳ひとつ分ほど首との間に隙間がある
この衣文をゆったりさせることで女性らしい着付けになります。分かりやすい例を出すと花魁がセクシーな着付けですね。普段着の場合だと、抜きすぎなので注意しましょう。
衣紋の表現についてもっと学びたい方はこちらをご覧ください。
男性:前下がり、後ろ上がり
女性:前後水平
の位置に帯を巻いています。
また、結び目の位置も男女で異なっています。
男性:真ん中よりやや横に結び目を作る
女性:お太鼓(結び目)を真ん中に作る
これらは帯の太さや使う装飾も異なってくるので描き分けに気を付けましょう。男女で帯の結び方も種類があるので探してみると見識が広がります。
男女の着付けについてもっと学びたい方はこちらをご覧ください。
線画を描く際は、あまり細かいシワの描写はしないことをオススメします。細かくシワを描き込み過ぎると着崩れしたように見えます。
また、着物は上半身部分にシワが大きくでき、下半身部分にはあまりしわができません。これは帯に布がひっぱられているためです。
通常の着付けを崩すことで、アウトローな感じを演出できます。例えば、女性向けコンテンツの男性キャラクターだと、色気を出すために着崩していることが結構ありますよね。衿を広げて、はだけさせることでセクシーさを出しています。
このようにキャラクターや目的に合わせて着物やアイテムをアレンジしてイラストの魅力を引き出していきましょう。
着物姿に合わせて時代感のあるアイテムをもたせると、キャラクター性がより引き立ちます。
今回は煙管(キセル)と扇子を例に上げます。どちらもキャラクターに持たせること「粋」「余裕」「優雅」などの印象を付けられるアイテムです。
煙管は持ち方によって職業や身分を表現できます。例えば、歌舞伎がそうです。
かっこいい見せ方にしようとして、上を向く吸い方がありますが、現代の紙タバコのようにフィルターがないので、吸殻が落ちてきます。その為、演出には気をつけましょう。
※煙管の吸い方について参考
https://www.youtube.com/watch?v=8e3QnJ1SXS0
本来、扇子は下から扇いで、風は自分にしか当たらないようにすることが本来の扇ぎ方です。
また、持ち方は普段使いや舞踊のときなど、たくさん持ち方があります。今回は割愛しますが、能などの舞台では様々な持ち方や動きをされています。キャラに美しく持たせたいときにはいい資料になるのでオススメです。
構図があまり浮かばないときはキャラクターの性格や仕草、持たせるアイテム、シチュエーションを掘り下げてみるのがオススメです。現代では身近にないモチーフでも映像や資料を集めることで創作しやすくなります。
資料には時代物の漫画やドラマ、舞台などが良いです。時代考証がきっちりしているものだと、人物の所作も時代や身分に合わせてあるので、よりリアリティのあるイラストに近づきます。
和ファンタジーなど設定に合わせて、アレンジしていくのもいいですが一度資料を集めたり、調べるたりすると全体的なクオリティアップに繋がるのでオススメです。
ここまで細かい知識を多めに紹介してきましたが、個人的にはかっこいいやきれいなど、キャラクターを魅力的みせることが一番だと思っています。正しく着こなすことも大切ですが、イラストの意図やキャラクターの魅力を演出する記号として参考にしてください。
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2015年12月からフリーランスのCGイラストレーターとして活動。(関西在住)
乙女系コンテンツを中心にスチルやカードイラストを担当。
2016年11月「ツキウタ。 THE ANIMATION」イラストコンテストにてツキプロ賞を受賞。
2017年第3回ピクボイスコンテスト 優秀賞受賞
いちあっぷでは中級者向けにメイキングや解説講座を、これまでに10回ほど執筆。
2017年5月以降のスケジュール空いておりますので、何かございましたら、上記メールフォームまでお願い致します!
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