画面が寂しいのはなぜ ? 近景・中景・遠景のポイントを押さえて魅力あるイラストを描こう

画面が寂しいのはなぜ ? 近景・中景・遠景のポイントを押さえて魅力あるイラストを描こう

仕上がった絵が、スカスカしていて寂しいなと感じることはありませんか?

 

例えば、このような絵です。どこか分からない、白い場所に女の子がポツンと一人立っています。

 

画面に華やかさ、情報量がもっと欲しいところですが、何を足せば良いのでしょうか。

 

足すものとして挙げられる選択肢のひとつとして、人物のいる絵に物体を描き加え、画面に「空間の奥行き」をプラスする方法があります。

 

今回は「空間の奥行き」を与えることを目的に、近景・中景・遠景を意識したイラストの描き方をご紹介します。

 

▼目次

空間に奥行きを生ませる基本:主役の前後にものを置く

身近な物をキャラクターの周りに描いてみよう

空間を意識した着色

 作業が便利になるレイヤー分けのコツ

 着彩時に注意するポイント

 近景や遠景にも見せ場を作ると画面がより華やかに

キャラクターの存在感を引き立たせる方法

画面に存在する物体の大きさを基準にして描こう

 

 

空間に奥行きを生ませる基本:主役の前後にものを置く

主役の前後にものを置くことで、自然と奥行きを持った空間を生まれます。

 

絵をうまく見せる方法

 

女の子の前後に、単純な箱型の物体と球形の物体が配置されているように描き入れました。

 

絵をうまく見せる方法

 

画面手前のものが奥のものを隠しています。当たり前のことですが、奥行き、物体の位置関係を表すためにとても重要なことです。

 

絵をうまく見せる方法

 

横からの図で確認してみましょう。

 

キャラクターの前方に描き入れた物体は近景、奥に描き入れたものは遠景です。今回の場合、近景と遠景に挟まれたキャラクターは中景の役割を果たします。

 

それぞれの物体間に距離をもたせると空間のあるイラストができます。

 

身近な物をキャラクターの周りに描いてみよう

ただの箱やボールだけではつまらないですね。次はより具体的な物体を画面に描き加えたイラストを作っていきましょう。
 

絵をうまく見せる方法

 

図は身の回りのものの一例です。

 

もちろん上記の以外でも、あなたにとって身近なもの、お気に入りのもの、描くのが楽しいと感じるものであれば何でも構いません。ただし、構造や大きさがしっかりと把握できている方が作画する際にスムーズです。

 

手元にあるものなら、あらゆる角度から見たときの形状を観察できるので、よりオススメです。

 

斜めに物体を描くのが難しければ全て正面を向いていても構いません。今はなんとなく自然に見えればOK。肩の力を抜いて気楽に描きましょう。

 

近景・中景・遠景のスケールを意識して空間を描く
 

絵をうまく見せる方法

 

中景の描画から開始します。

 

今回は例として、キャラクターをコンクリートブロックに軽く腰掛けさせた状態を作画しました。黄色女の子の身長をおおよそ160㎝程度と仮定し、コンクリートブロック縦20㎝前後としました。人物が立ち上がるとコンクリートブロック約8つ分の高さです。これらの大きさを基準とします。
 

絵をうまく見せる方法

 

続いて、近景となるものを描き入れました。右手前に花の咲いた低木、その奥にブロック、左にはバケツと植木鉢を置きました。

 

あくまでキャラクターを映えさせるのが今回の目的なので、キャラクターを大きく覆い隠すようなサイズのものは描写しないように気をつけます。

 

※フリーハンドで鉢や円筒状の物体を描くのが難しい場合は、対称定規や変形ツールを使うと歪みを少なくできます。

 

▼対称定規についてはこちら

 

絵をうまく見せる方法

 

さらに遠景にあるものを近景・中景にある物体を意識しながら描き入れます。

 

本棚や地面から生える草、ドラム缶、ほうき、植木鉢、ボロボロの木の塀などを足しました。近景と中景の物体により、塀と三角ポールなどの一部が隠れます。

 

線画に満足できたら、着彩です。

 

空間を意識した着色

作業が便利になるレイヤー分けのコツ 

まずは近景、中景、遠景ごとにフォルダ分けをし、そのフォルダ内に線画、塗りのレイヤーを入れると編集が便利です。

 

着彩時に注意するポイント

 

絵をうまく見せる方法

 

基本的には画面内で隣接する物体同士の色が被らないよう色を置きます。近しい色が隣り合うと左の図のように背景と同化してしまい、シルエットが分かりにくくなるからです。これは明度や彩度、色味などではっきりと差をつけることで同化を防げます

 

類似色を背景にしたい場合は、右図のようにキワをなぞるように間に異なる色を置く方法もあります。

 

近景や遠景にも見せ場を作ると画面がより華やかに

上記のポイントに気をつけながら着彩した絵がこちらです。
 

絵をうまく見せる方法

 

ドラム缶を錆びつかせたり、バケツに水を入れ、空を反射させるなど、線画のときにはなかった情報が着彩により追加されています。キャラクターがメインであることを前提に、脇役である近景、遠景にも程良く見せ場を作ってあげると画面が華やかになります。

 

また、奥にあるものほど陰影や塗りの密度を軽くすることで、奥行き感を増します

 

キャラクターの存在感を引き立たせる方法
 

絵をうまく見せる方法

 

仕上げに、キャラクターの存在感を引き立たせるため、今回は中景以外にガウスぼかしをかけてみました。遠景は軽く、近景の中でもバケツより低木の方が手前にあるので、物体が何か判別できる程度の範囲内でぼかしを強めにかけています。

 

※上記は必ずしも必要な工程ではありません。近景を描き込みすぎて、キャラクターから主役の座を奪ってしまったときに小技として使える方法のひとつです。

 

今回は全て目測で物体を描写しましたが、パース定規、補助線などを利用すると、パースの狂いを抑えたり、作画のスピードを上げられます。特に人工物の多い場面で役立つので、使い方を覚えて損はありません。

 

画面に存在する物体の大きさを基準にして描こう

ここまで人工物メインに描いてきましたが、描いているうちに「ここにもう一人、人物を足したい」、「生き物が描きたいな」と思われた方はぜひ描き加えてみてください。

 

生物も基本編と同様、画面に存在する物体の大きさを基準にして描画します。
 

絵をうまく見せる方法

 

△女の子と猫、雀を追加

 

手前のブロックの上に、シャボン玉を吹いている幼い女の子、棚の中段に野良猫、塀の上に雀を描きました。

 

動物は人体とは骨格が異なるので勉強が必要になりますが、ご自宅でペットを飼われている方はプロポーションや魅力的なポーズを実際の目で観察できますね。ご自分のペットをイラストに登場させてみるのも楽しいですよ。

 

以上で静物、人物、動物が配置され、賑やかな画面になりました。

 

まとめ

人物は描けるのに、その背景を描こうとすると一向に手が進まないといった方は多いのではないでしょうか。

 

たしかに、立派な洋館の室内、雄大な自然の風景、人の溢れる街並みなどをイメージすると悩んでしまいますよね。

 

しかし、人物の前後に、私たちにとって身近なもの、好きなものをひとつずつ置いてみるとすれば気楽に挑めるのではないでしょうか。さらにひとつ、ふたつ、みっつ……と描き入れると、どんどんと空間が生まれていきます。

 

描き入れたものによって、人物だけでは表現できない情報を加えられます。キャラクターを描くのと同様、とても楽しい工程です。

 

本記事が、あなたのキャラクターを映えさせる、魅力的な画面作りへの取っ掛かりのひとつとなれば幸いです。

 

著・画 PORI


PORI

フリーランスのイラストレーター及びデザイナー。ソーシャルゲームやPBWを中心にイラストのお仕事をいただいており、書籍の表紙デザインなどにも携わっています。趣味は読書、推理小説をよく読みます。菌類、昆虫などの色々な図鑑を見るのも大好きです。

 

pixiv : https://www.pixiv.net/member.php?id=1649221

 

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