描きたいモチーフはあるけれど、いざ描き始めるとどこから手をつけていいのかわからない……。誰しもそんな経験、ありますよね。
今回は真っ白なキャンバスを前にしても、何から始めればよいか分かる構図の作り方を、4つのステップを通してご紹介します!
▼目次
STEP1.イラストの主役を決めよう
イラストの主役は、画面上で最も目立つもの
主役になりえるもの
必ずしも人間が主役になるとは限らない
STEP2.画面サイズを決めよう
STEP3. 主役を配置しよう
三分割法と黄金比の利用方法
STEP4. 主役以外を配置しよう
目立たせたいものに序列を作ろう
モチーフに序列を付けた作品例
STEP1:イラストの主役を決めよう
イラストの主役は、画面上で最も目立つもの
キャンバスを埋め始める前に、まずどんな絵にしたいのかを考えておきましょう。考える内容は、主に以下の3つです。
- モチーフ(どんなモノを描きたいか)
- 印象(どのように感じてもらいたいか)
- 主役
1と2は作者の価値観や世界観が重要になるポイントなので今回は言及しません。お好きなものを選んでください。
それに対して、3の主役は技術的なポイントです。
この場合の主役とは、画面上で最も目立つ部分のことを指します。
たとえ、作者が「この絵の主役は、このキャラクターだ!」と考えていても、画面上で目立っていないのなら、見る人はそのキャラクターを主役だと認識してくれません。
主役になりえるもの
では、どうしたら目当てのモチーフを主役だと認識してもらえるでしょうか?人間が注目しやすいものには、以下のような特徴があります。
A:人間
やはり私たちが絵を見る上で注目しやすいのは人間(キャラクター)です。その中でも「目」が一番注目されやすいです。
B:コントラスト差が大きい部分
コントラストの差が大きい部分とは、「境目がくっきりしている部分」のことです。あいまいな部分より、白黒明確に分かれている部分に視線が集まりやすいです。
C:ピントが合っている部分
コントラストと同様に、ぼやけずピントがはっきりしている部分にも視線が集まりやすいです。
D:見たことがあるもの
人間は、見たことがあるもの、もしくは「それが何か分かるもの」に目がいきやすいです。
その絵に何が描かれているか判断するヒントになるものにも注目しやすいようです。
E:ディテールが細かいもの
ピントと同様に、細部まではっきり見えているものに目が行きやすいです。
必ずしも人間が主役になるとは限らない
これらの効果を考慮して、主役にするモチーフを決定しましょう。
人間が注目されやすいからといって、必ず人間が主役になるとは限りません。たとえば、人間にガウスが強くかかり、背景がくっきりしているなら、否が応でも背景に目がいきます。
このように、特徴の強度によっては、効果が打ち消されたり強調されたりするので、各特徴を足したり引いたり、組み合わせを工夫して主役にしたいモチーフを目立たせましょう。
STEP2:画面サイズを決めよう
主役が決まったので、次に主役を配置する画面サイズを決めましょう。
画面のサイズや形状は、丸や星形などの特殊タイプだったり、指定がある場合もあるので、自由に選んで構わないのですが、迷ったときは黄金比などに頼ってみましょう。
一般的に美しいとされる画面サイズは以下の通りです。
STEP3:主役を配置しよう
主役と画面サイズが決まったら、さっそくキャンバスに主役を配置していきます。画面サイズに引き続き、配置でも黄金比など美しいとされる基準を利用してみましょう。
主に以下の2つのどちらかを使用することもよいでしょう。
A:三分割法
B:黄金比(1:1.168)
三分割法と黄金比の利用方法
利用方法は主に以下の4つです。
A:交点
交点のいずれかに主役を置く方法です
B:線上
線上のいずれかに主役を置く方法です
C:塊
線をさけて塊を配置するタイプと、線上に塊を置くタイプがあります
D:ナナメ線
ナナメ線30°と60°がより美しく見えるラインなので、その効果を利用する方法です
ナナメ線も三分割と同様に、線上に主役を置くタイプと、斜め線を境界線にするタイプがあります。
STEP4:主役以外を配置しよう
主役を配置できたら、残りの空間を埋めていきましょう。
このとき、重要なのは序列を作ることです。
あくまで一番目立つのは主役であるべきです。人間の情報処理能力には限界があるので、主役を複数作ると目移りして、結果何を一番見せたかったのかわからない絵になります。
目立たせたいものに序列を作ろう
それでも、このキャラも目立たせたい!背景も重要になる!という場合もあるでしょう。
そんなときは、主役、準主役、脇役、モブ……といったように、目立たせ方に序列を作って対処します。
まず、各モチーフに序列を作ったら、そこから上記で紹介した主役になりえる要素を足したり引いたりして差別化していきます。
モチーフに序列を付けた作品例
例えばこちらのイラストの場合では「主役、準主役・脇役・モブ」に対して、以下のような狙いを持たせています。
主役
- ディテールを細かく描き込み、他との差別化を図る
- 一番濃い黒を使って、他よりコントラストを強くする
- 一番多くの色味(明度・彩度・色相)を使って仕上げる
準主役・脇役
- モブよりも濃い黒を使うが、主役よりは薄くする
モブ
- ディテールをかなり省略する
- コントラスト差をつけないように光と影の差を小さくする
……などなど。
いざ真っ白なキャンバスを前にすると、どうしてもどこから描き始めればいいのか迷ってしまいがちです。目的を意識しながら画面内を順序立てて設計していくことで、スムーズに描き進めていきましょう!
著・画 ゼロモモ
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