リアリティが増す!室内背景イラストの描き方(前編)
2019.10.15
背景となる空間は床と壁の線だけあれば描けます。ただ、パースガイド線に沿って描くだけでは、どこか平面的で寂しくサッパリした印象です。より立体的な空間を描くのであればモノのディテールを理解して、表現に落とし込まなければなりません。
そのディテールを表現するポイントは「厚み」です。ドアや窓をはじめ、よく観察すると細かな厚みとなるモノがあります。今回は背景イラストを立体的に描く方法(前編)に引き続き、後編をお届けします。
▼目次
具体的に、各パーツがどのようになっているのか、どのように描くのかを見ていきましょう。
ドア・窓・床の描き方については下記をご覧ください。
天井面に何もないのは意匠的に美しいですが、見上げるようなアングルの場合は真っ白で寂しくなりがちです。しかし実際の天井をよく観察してみると、何もないわけではありません。
照明器具や報知器、点検換気口をはじめスピーカーやプロジェクター、吊下げた観葉植物、エアコン、マンションによくある天井梁(はり)、デコラティブな廻縁などもあります。
これら小さなパーツでもパースに沿って配置すれば、天井に接地感と奥行きを感じさせられます。天井の仕上げ材料も様々ですので、空間のイメージに合わせて素材も変えてみましょう。
これら複雑な立体物は、立方体でアタリをとってから描きますが、アタリに近い形のままだと平面的です。角張った形からポイントを押さえて抜け出します。
ソファなどはクッション一つひとつの丸みを意識します。
クッションがハード系、ソフト系かでも印象が変わってきますが、アタリの角だけ丸くするのではなく各パーツに分けて描くことが大事です。
イスは背もたれを垂直ではなく、やや後ろに傾斜させると堅苦しい感じがなくなります。座面も、平らではなくお尻を包み込むようにふっくらさせるとより上質な椅子になります。脚は垂直ではなく、四方に開く形にするか、後ろ脚だけでもナナメにすると安定感が出ます。
イスの形はこれ一つと決まっていませんが、曲線が多くなるとより座り心地が良いように見えます。
ぴっちり引き出しや戸が閉まっているのも美しいですが、実際は隙間なく扉がくっついていると開かないため、扉同士はほんの少々隙間が空いています。その隙間で生じた線を一本描き足すだけでグッと立体的になります。
壁に掛けた絵なども、それがポスターのような紙一枚なのか、ファブリックパネルなのか、額装されているのかなどはたった数本の線の有無で変えることができます。
三段ボックスや書棚など、扉がなくオープンな棚を描く場合のポイントは、中棚をほんの少し内に引っ込ませます。
さらに外枠の四隅もどちらかの辺を通すと本物らしくなってきます。45度で突き合わせた枠もあります。些細なことですが確実に画面の密度が変わってきますので、特にアップで描くときは気にしてみてください。
素材がやわらかいのか、固いのか、凹凸があるのかなどを意識するだけで引く線は変わってきます。まずは周囲の部屋や家具を観察してみましょう。
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