イラストテクニックが盛りだくさんな120分に密着! イラストレーター・漫画家 Anmiさんによるライブペイント&添削会レポート
2018.06.28
今回は去る2018年7月16日(土)、全国の総合学園ヒューマンアカデミーにて開催された『<全国開催>有名イラストレーターによるライブペイント&添削会』のレポートをお届けします!
ライトノベルの装画やゲームのキャラクターデザインなどを手がける、第一線で活躍中のプロイラストレーターを特別講師としてお招きし、ライブペイントや添削会を実施するこのイベント。プロの技術を“生”でみることができる、業界志望者必見の内容です。
イベントは全六回を予定し、第一回ではイラストレーター・漫画家としてご活躍しているAnmiさんがご登壇しました。Anmiさんのレポートはこちら!をご覧ください。
今回お届けする第二回の特別講師は、イラストレーターや小説家として活躍中のクリエイター・47AgDragon(しるどら)さんです。
影の塗り方といったイラストテクニックをはじめ、練習方法やイラストレーターとして生活していくためのアドバイス、ヒューマンアカデミーに通う学生の皆さんのイラスト添削会の様子をお伝えします。
《47AgDragonプロフィール》
イラストレーター、小説家。
『塵骸魔京』(同人ゲーム版)の制作を期に、ニトロプラスに入社。その後、シャーベットソフトで『リザイン』『制服天使』でチーフグラフィッカーを担当。現在ではゲームイラストや小説の執筆、ノベルイラストなどで活躍している。さらには、pixivの講座・添削の大手グループ「イラストうまくなりたい【講座・添削】」の主宰を務める。
▼目次
グリザイユ画法で描く、影の塗り方! 47AgDragonが教えるイラストテクニック
質問2:人脈を広げたいです。どのようにすればよいのでしょうか?
質問3:絵の道に進む際に親や先生から反対はありましたか? その乗り越え方とは?
総合学園ヒューマンアカデミーの次回イベントは9月23日(日)
※本記事はヒューマンアカデミー株式会社の提供よりお送りいたします。
△今回の47AgDragonさんにお越しいただいた会場は総合学園ヒューマンアカデミー横浜校。
ライブドローイングパートでは、47AgDragonさんに事前にご用意いただいたキャラクターイラストをもとに、グリザイユ画法を使った影の塗り方をご紹介します。
ご協力いただいたキャラクターはバーチャルメイドロイドの「ユイ」。ご興味がある方はTwitterやYouTubeチャンネルをぜひご覧ください!
さて今回のテーマとなるグリザイユ画法とは、下絵の段階でモノクロ(白~黒の濃淡)で陰影を描き、その上から色を乗せて仕上げる方法です。※今回はグレーではなく、セピアカラーを使っています。
それでは47AgDragonさんのライブドローイングからグリザイユ画法の手順を追っていきましょう。
まず、こちらが事前にご用意いただいたイラストです。配色まで済ませています。
そこから配色済みのレイヤーを外して、身体に陰影を付けていきます。この手法の良さのひとつとして、明暗を把握しやすい点があります。各所に合わせた影色を表現せずに済むため、立体感の表現に集中できます。
陰影を描き終わったら、配色済のレイヤーを上に乗せます。影の色に違和感がある際は、色調補正で色味を調整しましょう。
さらに、ハイライトを描くことで立体感がはっきりと出てきます。今回は限られた時間内でのライブドローイングですので、描写はここまで。
その後、完成まで仕上げたイラストはこちら!さらに色味を調整し、ライティングを追加して透明感を与えました。
続いて、事前に全国の総合学園ヒューマンアカデミーの学生・一般の方から募集した質問と回答の一部をご紹介していきます。
絵を上達させるためには知識と感覚、技術を分けて考え、分析することが大切だと思っています。
日頃からアンテナを広げて分析していると、一見、絵から離れた分野から学べることもたくさんありますよ。
例えば、食べ物。食べ物を写真に撮るなら、やっぱり美味しそうに見せたいもの。それではどうしたらもっと美味しそうに見せられるのか、いくつか方法を考える必要があります。それは被写体の構図だったり、ライティングだったり様々です。
こういった視点から日頃の資料集めを大切にし、作品が魅力的に見えるポイントを分析していきましょう。
勢いに任せて、回数を重ねることが大切だと思っています。人脈になるような出合いは運なので、どれだけ出会いを増やせるかが全てです。
SNS上だけでなく、出会えるところに出て、例えばセミナーやイベントに行き、隣の人を捕まえて話を差し込んでみましょう。世の中狭いので、それが結果的にいい出会いになることも多々あります。苦手だなぁという方も回数をこなすと慣れてくるので、まずは挑戦してみましょう。
自分はそっち系の家庭だったので反対されるということはありませんでした。
こういったときは、基本的に「でも結局やりたいなら家から出て、一人暮らししてでもやるしかないんでない?」と思っておくとあまり心配ないかなと。つまり、乗り越え方としては自立・自活していくことが解決の糸口だと思っています。
例えば体育でサッカーをかじったぐらいで、進路選択の時期にJリーガーを目指すのは周囲を不安にさせますよね。だからこそ、周りの人を安心させる材料を作ってみましょう。その為にも、納得させるためのいろいろな選択肢を持っておくと良いと思います。
最後は作品添削会です。全国の総合学園ヒューマンアカデミーに在学中の皆さん・一般の方からのイラストを47AgDragonさんが添削する企画。たくさんの応募の中から抽選で選ばせていただきました。
ランドセルに見えるものがあるので、小学生という設定で添削しました。
どういったキャラを表現しようしているかはよく出ていると思います。あとは技術と知識の問題です。
添削ですが、小学生という設定なので、身体を縮めて小学生らしいビジュアルに調整しました。大人のキャラクターを並べると、頭身バランスが合わなくなると思いますので。
ズボンのサイズが左右違っていたりしているので、アウトラインを修正しつつ、ズボンもゆったりさせて元気感が伝わるようにしています。その他にも鎖骨や手のラインも手直ししました。
次にライティングです。
イラストの場合、特にそうですが、明るいところが前に見えて、暗いところは後ろに見える性質があります。
元絵を見ると、シャツの下部分が暗くなっており、本来は前に出ているはずが引っ込んでいるように見えています。腕も肘関節周りで影を切ってあげると、アウトラインが綺麗にでて、前腕が前に出ているように見せられます。
また、ランドセルの部分ですが、こういった既成品は形が決まっているので資料を見ながら描くと良いです。細かいところなのでユーザーも気づかないことが多いですが、ミリタリーなど、分野によっては見られるところです。こういったところに気をつけて描くと資料を見る癖が付くのでおすすめします。
これは、かなりもったいない作品だと思います。これだけ描き込んでいるのに、顔や剣など、目立たない要素が多いです。キャラに合わせて目立たせるべきポイントは、きちんと目立たせてあげましょう。
また、ソシャゲのキャラクターの場合だったら「このキャラがどういったキャラクターなのか」を一目でわからないといけない。造形を描く方に気がいってしまい、キャラの性格から造形ができていない印象です。作者の気持ちで描きすぎたかなと。
さて、添削です。体が細身なのもいいですが、武器が大きいのでもう少しガッチリさせてあげると良いかなと思います。さらに、顔が暗いので目立たせました。顔が暗いとそれだけでキャラが目立ちにくくなります。影を落とすなら、良くて片目半分ぐらいにしておくと良いでしょう。
最後に構図ですが、もう少しアップしたほうがキャラがわかりやすくなります。全身を描かなくてはならない課題であればしょうがないですが、せっかくオッドアイの設定もあるので、それを生かしてわかりやすく見せると良いです。
すごく頑張って描いたことがひと目で分かります。特に羽の模様を描くだけでも大変そう。ただ、頑張りすぎた結果、羽が主役になっていますね。それは描き込みの多さと画面の中央にあることが理由です。
そのためにもキャラクターを中央に配置するのがまず先決。また、羽が主役ではないはずなので少し小さくしてキャラクターが目立つように寄せました。さらに奥の羽には影をいれて前後感を出しています。
あと口が白いので赤くしました。口の開きが小さいときは歯の表現として白くてもいいですが、口を大きく開けているときは赤く表現するのをおすすめします。
以上、47AgDragonさんによるライブペイント&添削会でした。
最後は盛大な拍手とともに終わり、参加者にとって大変有意義な時間となりました!
その後、47AgDragonさんのTwitterアカウントではイラストテクニックについてのアドバイスを行っていたので、こちらも合わせてご覧ください!
絵は手段であって目的ではないので、表現にあった絵を模索してあげるといいと思います
— 47AgDragon(しるどら) (@47AgD) 2018年7月16日
そして表現は言葉などでもそうであるように「わかりやすく他人に伝える」のが基本になので、うまくいかない時は内容がわかりにくいか字を知らないんだなと思ってください
知らない時はまずひらがなにするのがコツ
※詳細はリンク先をClick!
全六回を予定している、『<全国開催>有名イラストレーターによるライブペイント&添削会』。全国各地の総合学園ヒューマンアカデミー校舎にて無料で参加することができます。
次回は9月23日(日)に開催!特別講師は珈琲貴族さんです。
<プロフィール>
フリーイラストレーター。『ロイヤルマウンテン』という同人サークルにて同人活動もしている。学園コスチュームをこよなく愛し、多くの女子高生イラストに定評がある。PNのイメージ通り珈琲は大好物。
9月23日(日)には珈琲貴族さんによる特別セミナーが開講!
また、11月にはlackさんが特別講師として登壇!こちらも無料イベントですので、気になる方はぜひ参加をお申し込み下さい!
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