現役アートディレクターが伝授! 7つのレイヤー調整テクニック

現役アートディレクターが伝授! 7つのレイヤー調整テクニック

レイヤー調整に必須! レイヤー分け・リネームとは?

今回は現役アートディレクターが教えるレイヤー調整方法を伝授します。レイヤー調整で必須となる機能には「レイヤー分け」と「リネーム」があります。この2つの機能はデジタル絵では必須の機能なので使いこなしましょう! 
最初は初心者の方向けにレイヤー分けとリネームにご紹介します。

 

 

レイヤー分けって?

デジタル絵では馴染みが深いレイヤー機能。
レイヤー機能とは複数枚のシートを重ねて一枚の絵として表示する機能です。以下の図のようにデジタル絵ではレイヤーを分けて絵を描くことが多いです。


 

リネームって?

リネームとは名前を変えることです。

レイヤーを新規作成すると「レイヤー1」など自動的に名前が付けられます。このままだと、そのレイヤーに何が描かれているかわかりにくいため、リネームして管理しやすくします。

レイヤー分け・リネームのメリットとデメリット

必須機能であるレイヤー分け・リネーム機能ですが、あまり使いこなさずにデジタル絵を描いてきた人がいるかも知れません。一度、機能についてメリットとデメリットを押さえてみましょう。

メリット

メリットは以下の3つです。

  • データが整理されていると調整や修正、色替えなどがしやすくなる。
  • 「レイヤー分け・リネームが丁寧=仕事が丁寧な人」という印象を持たれやすく、仕事を振りやすい。
  • 互換性のないソフト間でも、レイヤーごとに画像で書き出せばデータの移植ができる。

デメリット

デメリットは以下の2つです。

  • 慣れるまでは面倒だったり、余計にレイヤー数が増えたりする。
  • レイヤーフォルダの階層を深くしすぎると、ソフトによっては反映されなくなる。

実際にあったイラスト制作現場のトラブル

イラスト制作現場では制作物に調整が入ることが常日頃あります。レイヤー分け・リネームを怠った為に作業が遅れて提出できなくなることもあります。
例えば、

  • キャラとキャラが持っている武器が結合されている状態で、武器の向きに調整が入った。
  • レイヤーのリネームがされておらず、手を入れたいレイヤーを探すのに時間がかかった。
  • レイヤー分けが重要な案件なのに、レイヤー分けがされておらず提出ができなかった。

など、全体の作業に大きな支障をきたす場合があります。その結果、レイヤー分けやリネームができていないだけでお仕事が減ることもあります。

差分制作の依頼が来たときに使えるレイヤー分け・リネーム方法

イラスト制作で日頃ある差分制作の依頼を例にレイヤー分けとリネームを正しく行なってみましょう。
以下の画像が上手くレイヤー分けされていない例です。レイヤーが結合されており、調整が入った場合に大変な作業になる構造をしています。

 
そして、以下の画像は差分制作の依頼内容です。

 
さきほどのデータのようにレイヤーが結合されていると武器の描き足しなどの調整が入った場合、差分制作に1時間近くかかりますが、レイヤーが分けられていて調整が楽な場合、10分程度で差分を作ることができます。


 


レイヤー分けやリネームによる整理は、仕事絵ではとても大切な作業です。いくら絵が上手くても、データがぐちゃぐちゃだと仕事が振りづらいこともあります。また、調整だけではなく差分制作も効率良くできるので心がけましょう。

レイヤーの分け方・リネームの仕方

仕事絵はフォルダの中身も他人の目に触れるので、丁寧すぎて損なことはないです。他の人が見ても「どこに何があるか」がわかることを意識すると良いでしょう。
それではレイヤー分け方・リネームの基本からオススメテクニックをご紹介します。

基本の分け方

以下の3つがレイヤー分け・リネームの基本です。

  • パーツ、オブジェクトごとにフォルダ分けをし、その中でさらにベース>一影>ハイライト>テクスチャ効果などにレイヤー分けをする。
  • 分けたレイヤーは誰が見てもわかるレイヤー名にリネームする。
  • 線画などの重なるものはマスクで消すか消す前のデータをとっておき、いつでも復元できるようにする。

 
オススメのレイヤーの分け方・結合の仕方

以下の4つを押さえると誰が見てもレイヤーがどこにあるか把握しやすくなります。

  • 順番、規則性を守る(全てベース・1影・ハイライトで統一するなど)
  • 1レイヤー1色にする
  • 素材ごとに分ける
  • 同じ素材や同じ色で、描画位置が離れているものはなるべく結合する


 

ポートフォリオでアピールする方法

「仕事の丁寧さは仕事を請けてからじゃないとわからない」と思う方がいるかもしれませんが、ポートフォリオからでも丁寧さをアピールすることもできます。

説明やメイキングを交える

絵だけのポートフォリオではなく、説明やメイキングを交えたポートフォリオを作ってみると絵の情報量が増えて、審査員が判断しやすくなります。

 「整理されていそう」なデータを見せる

色替えなどの差分を作り、ビジュアルで「整理されていそう」なデータをポートフォリオにすると丁寧さが伝わります。


 

以上がレイヤー調整テクニックでした。
仕事絵では必須のスキルですので現イラストレーターや志望者の方は必ずマスターしておきましょう。