1UPクリエイターセレクション vol.3 - 山代 政一
2016.07.26
今回はゲストライター、山代政一さんが特別に執筆した記事です!
それではどうぞ!
前回書いた記事「理論派イラストレーターの貴方へ、透視図法で簡単に描ける影のかたち - 点光源編 -」に味をしめての第2回は「線光源が作る影の描き方」です、山代です。
前回記事が脳ミソにねじ込まれている前提で、色々すっ飛ばして書いておりますので、未読の方は以下のリンク内容を先にねじ込んできて頂けますと幸いです。
若干ややこしい展開になったりもする今回のエントリー、要忍耐。
以下のイラストは名状しがたい棒状の発光体、いわゆるライ◯セイバーのようなものを持った人のいる部屋です。
その棒状の発光体は発光している部分が一点ではなく線状になっているので、「点光源」ではなく「線光源」となります。
影の形を割り出すロジックは、「光源直下の点」から「影の伸びる方向」を、「光源位置」から「どこまで影が伸びるか」を割り出す前回と全く同じ方法です。
今回は光源に幅があるので、「線光源=連続した点光源が作る影」のイメージで描いていきます。
とは言っても、無段階に並んだ無限の点光源から無限の影パターンを生成するのは果てしなく不毛ですので、線光源両端の2点から影を描いていきます。
まぁ、それでもめんどくせえですが、一緒にウンザリしてくださいますと幸いです。
前回の点光源編では天井から垂れ下がった電球という、光源直下の位置が求めやすい例だったのですが、今回はヒトが持ってる線光源ですので厳密な直下点を求めることがわりかし困難です。
そこで光源から真下に伸ばした直線上から「ココでしょ」っていう直下点を感覚で決めます。
線光源両端の2点のうち持ち手に近い方の直下点を点A、先端部の直下点を点Bとします。
この例のような、人物が光源を携えてる絵を描く場合に直下点がイメージしにくいようでしたら、描いてる人物と同じようなポーズをとったりしてみるのも良いでしょう。
光源の真下がなんとなく判るかと思います。
微妙にズレた2つの影パターンが出来上がりました。
重ねるとこうなります。
この2つの影が重なるエリアが暗く強い影を作り、外側へ向かって次第に明るくなっていきます。
以下が清書したモノになります。
コレが光源から距離をとるに従って影がボケていく理屈です(多分)。
そう解釈して絵を描くと、いくらか説得力が上がります。
影をボカさない系のタッチの方はグラデーションの中間点辺りをおさえるとソレっぽくなるでしょう。
これができるなら、コイツ(人物)の影もできるじゃねーか!
……そうなんです。
ですが人体のような複雑な形状の物体が落とす影を全て計算で求めていくのは果てしなく不毛です。
先ほどと同様に線光源の始点と終点の2点から影を作って重なったトコが一番暗くて……とかやっても良いのですが、ココはざっくり以下の図のようにAB2点の中間位置にある点光源(C点)として処理します。
良く言うと応用です。
そして、間接など形状の要所となる部分の影が落ちる場所を求めて、細かいところは想像力を使ったりなんかして補うのが良いでしょう。
コイツの場合では各関節を要所に全体の影を描いていきます。
各関節部分にポイントをつけました。
光源同様に各ポイントが設置する点についてもそれぞれ感覚で設定していきます。
このままだと点と線で散らかるので、上半身と下半身で分けました。
そして、これまでの理屈通りに光源と対象間を結ぶ線を引きます。
「光源と対象を結んだ直線」と「それぞれの直下点を結んだ直線」が交わる箇所が、影の落ちる場所です。
更に各交点を抽出します。
体の各部位の影が床面のどこに落ちるかお分かりになりましたか?
この交点を目安に影のカタチを描いていきます。
ここで想像力の出番です。
光源に近い位置にあるモノほど大きな影を落とします。
この場合、アタマと右手の影面積を大きめに取りましょう。
以下が清書したモノです。
理論でイラストを語る前提で始まった本シリーズ、今回は想像力も使えとかいう身も蓋もない結論になりましたがいかがでしたか?
ボクの記事から良いとこ取りできそうなところをかいつまんで「いちあっぷ」していただけますと救われます。
この理論を是非イラストに活かしてみてくださいね。
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京都生まれ東京都在住のイラストレーター及びデザイナー。
引きこもりの幼少時代に養った卑屈な精神を、どうにか生産的なものに転化するため美術に目をつける。学生時代Photoshopでデザインを始めたと思ったら いつのまにかMAYAで画を描いていた。3Dソフトで静止画を描くという歪んだ制作スタイルは、見る者に一定の混乱を与えることに成功している。虫が苦手(描くのは好き)。