肌の塗りは1影を極めろ! 肌の塗り方講座

肌の塗りは1影を極めろ! 肌の塗り方講座

肌の塗りは髪や服の塗りとは違い、キャラクターやイラストの「質感」そのものを左右します。

 

男性の筋肉質で硬そうな体、女性の肉感的でやわらかそうな体の魅力を引き出すのも、この「肌の塗り」の段階で行います。

 

今回は女性キャラのやわらかい肌の質感を表現する方法をメイキング形式で解説していきます。

キャラクターに合った塗りをし、より魅力的なイラストを目指して塗ってみましょう!

 

 

肌を塗るために知っておきたいレイヤー構成

 
肌

今回ご紹介する肌の塗りのレイヤー構成は、下から順に

 

1.ベースカラー

2.1影

3.2影

4.チーク

5.オーバーレイ

6.光

のレイヤー構成を基本構成として塗っていきます。

 


肌の塗りはレイヤー構成こそ単純ですが、塗りのテイストや塗りこみ加減によってクオリティが格段に変わってきます。

慎重且つ丁寧に進めていきましょう。

 

今回肌の塗りに使用するブラシ設定はこちらと同様の物を使用していきます。

肌塗りの質は「1影」で決まる

肌の塗りは1影が全てと言っても過言ではありません。


体の凹凸や肉感など、立体感を表現するのは全てこの段階ですので気合を入れて挑みましょう!

 
肌

まずは光源を決め、輪郭の柔らかいブラシでアニメ塗り調に影を配置していきます。

顔は平面的に、身体は深めに影を入れてみよう

影は後からどんどん加筆するので、この時点ではあまり塗り込む必要はありません。

 

また顔は立体感よりも可愛さを重視したいので、前髪から落ちる影や表情の陰影を軽く描く程度で、平面的に仕上げましょう。

 

反して体はより肉感を表現するため深めに影を入れ奥行きと肉体の形状を表現します。

陰影の輪郭をぼかしてみよう

次にSAIであれば水彩筆その他のソフトであればエアブラシなどを使って先ほど入れた陰影の輪郭の要所をぼかしていきます。

これをすることにより、やわらかさ肌の透明感を出していきます。

 

顔の陰影は後で足していくので下手にぼかさずシンプルな塗りを保ちます。

 
肌

陰影をぼかす際体のパーツごと円柱を意識して伸ばし、顎やうちわやその他衣類などから落ちた影は輪郭を保って伸ばし過ぎないように注意しましょう。

 

落影をボカし過ぎないようにすること陰影にメリハリが生まれ、距離感や奥行き、立体感を分かりやすくします。

 

大まかな陰影のベースが出来たところでエアブラシを使ってさらに1影を加筆していきます。

 

ベースの陰影に更に立体感を追加するため、肌の輪郭の色をついていない部分に薄っすらと色付けていくようなイメージでまんべんなく色を置き、筋肉の筋などの細かいところにも色を置いていきます。

 

肌

このとき一度に描き切ろうとはせず、輪郭の軟らかい不透明度を下げた消しゴムなどを使って削っては描き足すという工程を何度も繰り返しながら理想の形を作っていきましょう。

顔にグラデーションの影を入れて魅力を高める

次に顔の1影に更に魅力を加えるため加筆していきましょう。

 
肌

やはり顔の陰影は薄めのまま、ベースカラーがむき出しのままにならないようにグラデーションなどを使って薄っすらと色を付けてあげましょう。
これで1影の作業は完了です。

「2影」で立体感を補う

1影で補えなかった部分立体感2影で補っていきます。

 

赤みがかった彩度の低めな色前髪の生え際、首の付け根、脇の下、服の落影など特に濃く影が出る部分を表現していきます。

 
肌

このとき2影を置くのは必要最低限にし、せっかく塗った1影を潰してしまわないように注意しましょう。

 

また彩度の低い色を選択しているため広範囲に塗りすぎると肌全体がくすんで見えます。

 

前髪や首の落影の様に1影の形に沿って2影を置いている箇所はエアブラシなどで薄っすらと削り、下の色を出すことでグラデーションを付けましょう。

チークで女の子らしさを追加しよう

今回は女の子らしさを追加する為、頬にピンク色でチークを付けます。

 
肌

普段使うよりも不透明度を下げたエアブラシでうっすらと目の下の高い位置の頬赤みを入れます。

 

色を濃くしすぎておかめの様になってしまわないよう注意しましょう。

「オーバーレイ+光」で立体感をつける

このままでは色味が若干暗く感じてしまうので赤みがかった色でエアブラシを使ってオーバーレイを掛けます。

肌

オーバーレイはまんべんなく全域に塗ってしまうのではなく、光があたる場所を中心に広げ、影に干渉するような形でかけていきます。

また、その上に新規レイヤーを作成し、ハイライトリムライトを描き込んでいきます。

 

リムライトとは被写体の立体感やディテイルを強調する為の半逆光的な光です。

今回は初期に設定した光源の反対側から照らす様なイメージで配置しました。

 

ハイライトを乗せ過ぎたり、輪郭全てをリムライトで光らせてしまわないように注意することがポイントです。

リムライトをつけるだけで一気に立体感が出るため嬉しくなって全ての輪郭につけがちですが、リムライトにも光源がありますのできちんと光の方向を意識して塗りましょう。

 
肌

基本的な肌の塗りは以上です。

更に強い光源がある場合

夏の炎天下の日差しなど、最初に設定した光源以外に強い光源がある場合、先ほどまでの塗りに加えて、乗算でさらに濃い陰影を落とします。この濃い陰影を今回は3影とします。
 

肌

今回はリムライトの光源とは反対側半逆光的なライティングをしていきたいのでキャラクターの斜め後ろから光があたっていることを想定して大きく陰影を落としました。

 

3影レイヤーはハイライトやリムライトのレイヤーの下に配置します。また、3影は1影と同様に、立体を意識しながらも強い光によって生まれる濃い影なので影の輪郭をぼかし過ぎないようにします。

 

更に斜め後ろから差し込む光が強いものであることを強調するために人物レイヤーを統合し、人物レイヤーに新規レイヤーをクリッピングし逆光を追加します。

 

リムライトを塗るときと同様に、輪郭全てを塗りすぎてしまわないよう光源の向きを意識しながら線画の上から塗っていきます。

 

夏らしさをプラスするために追加しました。

 

肌

仕上げに逆行レイヤーの上にエアブラシでオーバーレイのグロー効果を描き足して完成です!

まとめ

いかがでしたか?


肌の塗りひとつでキャラクターもイラスト全体の印象も変わってきます。


今回の記事で肌の塗りは陰影を塗るのと同時に、体の立体をより詳細に描いていくものだということをご理解いただければ幸いです。

 

 

  [著・画:漆原六花(うるしばらりっか)]

pixiv http://www.pixiv.net/member.php?id=12221016

Twitter https://twitter.com/Ul_rica

2015年1月からフリーランスで活動を始めた駆け出しイラストレーター。

どこまで行ってもゴールなんて無いお絵描きというジャンルにやり甲斐を感じています。