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配色センスは知識で身につく! 自分の思いを伝える絵を描く方法‐後編

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配色センスは知識で身につく! 自分の思いを伝える絵を描く方法‐後編

今回は「絵の魅力を出すには?自分の思いを伝える絵を描く方法 – 前編」の後編です。

絵の魅力を出すには?自分の思いを伝える絵を描く方法 – 前編

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テーマは「色」

イラストレーターの林檎坂マリコさんが、ご自身の絵を振り返りながらたどり着いた「良い感じの色の置き方」についてご紹介します!

 

 

色を選ぶときに考えること

皆さん、色塗りは好きですか?私は好きです。綺麗な色は見ているだけで楽しいですし、絵の完成度が上がっていくのは嬉しいからです。

 

しかし、この色塗りひとつで絵の魅力が決まるので、なかなか侮れないんですよね。

 

「配色センスってどうやったら身に付くの!?もう神絵師さんの腕をしゃぶるしかないよ……」と虚ろな顔をする前に、作品の魅力を伝えてくれる色の選び方を一緒に考えてみませんか?

 

配色のコツは色数を絞ること

この絵は、3年前(2013年)に本記事の著者である私、林檎坂マリコが制作した、オリジナルキャラのハロウィン子ちゃんです。前の記事ではこのイラストのデザイン、構図の考え方について解説しています。

林檎坂マリコ

今回課題とするのは「色」。

このキャラクターに使われている色の数は、約9色(オレンジ・赤・紫・緑・黒・グレー・黄色・蛍光ピンク・蛍光緑)です。

 

そして背景の5色も加えると、なんと14色。

色が多いほど「ポップでカラフルなイラスト」になる気がしますが、この絵を見ると、カラフルと言うより「なんかうるさい……」という印象しかありません。

 

この問題をなんとかするために、3年後の私が知恵を絞って描き直した結果が、この「NEWハロウィン子ちゃん」です。

林檎坂マリコ

 
上の絵と比べて、色数が大分減っていますね。

なぜ色数を減らしたかというと、単純に「意味のある色だけを使ったから」ということです。

 

では、色の採用基準は何だったのか、3つのポイントに絞って紹介します。

 

1.情報を伝えられる色を考える

まず、このハロウィン子ちゃんは「気が強い・名前の通りハロウィンがテーマ」という情報を持っています。この情報を的確に伝えるため、目に付きやすい一番面積の広いところに大事な色(メインカラー)を置きます。

 

  • 「気が強い」という情報を表現する→髪に赤を使う(赤は元気、情熱的の抽象イメージがあります)
  • ハロウィンモチーフという情報を表現する→服にオレンジを使う

このような具合です。

 

ここで気を付けたいのが、どの色を主役にするかです。

 

ハロウィン子ちゃんの場合、最も主張したい設定が「ツインテールが生きている」としているので、目立たせたい、そして面積の多い髪の毛を主役の色である赤にしました。赤は原色に近い色を使い、オレンジは主役より優しい色にして、赤の発色の邪魔をしないようにしています。

林檎坂マリコ

 
その他の小物は、

 

■ステッキのリボンとハートと瞳のピンク

 

  • 気が強いだけでなく、ちょっとは可愛げもありますよ、というのを表現
  • 次に説明する水色と隣接することが多いので、水色と馴染む色にしたかったから

 

■服のラインとガーターベルトの緑

 

  • かぼちゃ感を出す
  • ふとももを目立たせる

 

ラインとガーターベルトの存在感を統一することで、悪目立ちをさせない目的です。

 

2.補色の関係を考えよう

続いて、ハロウィン子ちゃんのニーソックスやリボンに使われている、水色の存在理由についてです。

 

これは、ヒロインであるオレンジをより綺麗に見せるため、オレンジの補色である青系の色を使いたかったからです。

 林檎坂マリコ

色相環

補色とは「色相環において、色aの反対側にある色b」のことを言います。

 

代表的な補色関係は、

・赤と緑
・黄色と紫

などですね。馴染みがあるキャラクターを例に挙げると、「マリオ(赤)とルイージ(緑)」・「ワリオ(黄色)とワルイージ(紫)」にも使われています。

 

補色の関係を使うと、要素を目立たせたり、発色を綺麗に見せてくれたりするので、アクセント作りに効果的なテクニックです。

 

ここで気を付けたいのが、補色はあくまで主役の色を輝かせる脇役です。主役の色より目立つor同等の量で使うと、何が主張したいのかわからなくなります。

補色の量を少なくするか、補色の色を淡くするなどをして対策を取りましょう。

 

3.最強の味方?白と黒

3年前の絵と現在の絵を比べて、一番目立つものが変わっているのがわかりますか?そうです、背景の色を彩度の高い赤茶色から黒に変えました。

 

なぜ、黒を背景に選んだのかというと、

 

  • ツインテールの赤を発色よく見せたかったから
  • ハロウィンのダークなイメージを出したかったから

 

の二点です。

 

黒という色は、白とグレーと同様に無彩色に分類されます。

無彩色とは彩度を持たない色なので、彩度のある色と組み合わせると、彩度のある色をよりくっきり綺麗に見せる効果があります。ちなみに緑や赤など、彩度を持つ色は有彩色と呼ばれます。

 

■黒の注意点

無彩色であるのに、黒は全色の中で一番目立ちます。ですから、カラフルな画面において、主役以外に黒を使用する場合、主役の最も重要な部分である「顔」の近くや、背後に置いてしまうと、顔よりも黒の強さに目が行ってしまい、主役が目立たなくなってしまうこともあります。

 

これは私もしくじり経験によって理解しました。(モノクロの画面の場合は、逆に視線が集まってかっこいいと思います。)

 

■黒と白の使い分け

同じ無彩色ですが、黒と白でイメージが大きく異なります。

 

私の場合、黒と白を以下のように使い分けています。

 

黒:夜っぽさ・暗い・怪しさ・セクシーさ・ギュッと籠った密度感を出す

黒は、悪魔の羽、ゴスロリ、悪役のメインカラー・セクシーさをアピールする化粧品のパッケージetc……と、CMやその他のメディアでは、黒はこのような使われ方をしていますよね。


白:昼っぽさ・明るい・爽やか・清楚・風通りの良い抜け感を出す

白は、天使の羽や、清楚キャラの白ワンピ、風に揺れる白いレースのカーテンetc……と、メディアなどではピュアで柔らかいイメージに合わせて使われています。

 

そして、白には抜け感も出せるので、今回の絵では水色のニーソックスとステッキが重たく見えないように、白とのボーダーを組ませました。

 

色合いの確認方法

せっかく色を綺麗に選んで塗ったのに、画面がぼんやりしたり、何だかもっさりしているな……と感じたとき、私はそのイラストの彩度を0にして、明度がハッキリしているか調べます。

 

こうすることで、彩度の情報に惑わされず、濃淡のみの画面が見られます。

 林檎坂マリコ

3年前の絵の彩度を0にしました。メリハリがなくぼんやりとした印象です。


そして、リメイク後の絵の彩度0にしたのがこちらです。

 林檎坂マリコ

黒が良い仕事しているのが一目瞭然ですね。また、服の濃淡もはっきりしているので、画面がボケている印象がなくなりました。

 

彩度0で濃淡のみの画面でも、彩度ありの画面と変わらないクオリティを維持していれば、色が付いてもボヤけた画面になることはないです。

 

最後に

色選びについて、私が考える重要なポイントは

  • 伝えたい情報にマッチした色を使う
  • 捕食をワンポイントに加える
  • 無彩色を有効に活用する

以上の3点です。

色塗り工程でも、その色を使う意味はあるのかな?と考えて選ぶことで、画面をコントロールしやすくなり、心の余裕が生まれてきます。

 

イラストだけでなく、ファッション関係や花、雑貨や商品のパッケージなど綺麗な色は身近にあるので、これは!と思った色やその組み合わせを、頭のパレッドに記憶しておけば、より魅力のあるイラスト制作が可能になるので、オススメです!

 

ここまでお付き合いくださって、本当にありがとうございました! 

 

[著・画]林檎坂マリコ

林檎坂マリコ 

Twitter|@mariko_0913

Pixiv| http://www.pixiv.net/member.php?id=6199553

専修大学、人文・ジャーナリズム学科卒。最近増えた夢は、スタイリストの山本あきこさんに服を選んでもらうこと。一番好きなアニメキャラは、つり球のジョージ・エース。中高の部活は吹奏楽部で、担当楽器はトランペット。

 


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