スケール感のある室内背景が5つのステップで描ける! 三点透視図法を用いた背景の描き方
2019.08.09
パースルールに則れば、非常に正確な絵が描けます。しかしもっと自由な構図にしたいと思ったことはありませんか?
そこでパースルールを理解した上で一歩先に進み、ルールに沿いながらも自由度を高める手法をご紹介します。
▼目次
おもしろい画面を作る代表効果として、「レンズを覗き込んだように歪んだ絵」が描けるレンズ効果があります。
これはパースの天地左右すべてを球体ベースに沿わせる手法です。
ガイドラインを引くと上図のようになります。
赤点線:縦横線のガイド
黄点線:消失点に向かう奥行線のガイド
このレンズ効果は完全球体のガイドに沿うため、使用シーンが限られてくる側面もあります。
そこで、パースルールをベースにしながらも一部に自由さを取り入れ、不思議な効果を与えることのできる手法があります。
今回紹介するのはレンズ効果を応用し、パースの一部を任意のラインに沿って歪ませる手法です。
この絵は三点透視図法をベースにしています。しかしよく見ると、消失点3に向かう高さ方向の線のみ消失点に集まっていません。
消失点1、2に向かう線はきちんとパースの基本通り(ガイドに対して角度がついて建っている建物はこの限りではない)ですが、消失点3に向かう線は、消失点に近づくほど湾曲しています。
この消失点に向かうガイドは通常直線ですが、これを自由(任意)なラインに変えてしまうというものです。
例えば本来見せたい部分がパースルールに沿って描くと見切れてしまう……ということがあります。この構図では画面内に収まらないなどを防ぎ、少し渦を意識したライン取りをすることでググッと絵の世界に入り込むような求心力を持つ構図にできます。
また、キッチリとし過ぎない線取りなのでフリーハンドで描いても自然となじみます。
まずはパースに沿ったガイドラフを描きます。
通常三点透視を描くように消失点やアイレベルを設定します。
ガイドを自由なラインに変形させます。変形はツールを使ったり、フリーハンドで描いても大丈夫です。この絵の場合はフリーハンドで描かれています。
このガイドラインは取り方によって絵の印象が変わってきます。
球型:本講座で使用しているパターンです。足元に向かって円を描いています。不自然にならない程度におもしろみが出ます。
回転渦:全体的に渦を巻いたようなガイドラインです。目が回るような効果が出ます。
波型:縦方向のみ波打っているようなガイドラインです。ムンクの「叫び」ような、揺れる感情を表したり、非現実的な印象を持たせたいときなどに活用してみましょう。
三方向全て球型:全体にやや曲線を取り入れるとポップな印象に仕上がります。消失点がどこにあるのか分かりにくくなるので、ファンタジー色が強い画面に向いています。
これらは一例です。描きたいイメージに合わせてパースガイドも自由に変更してみましょう。
最後に、ガイドラインに沿って点景を描き込みます
人物や不整形の物体を描く場合は、立方体を描いてからその中に収まるようにすると描きやすいです。
このような手法を使うと、遠近感も出てメリハリの効いた絵になります。球体レンズほど極端に歪めず、レンズ風に描きたいときにも使えますよ。
一番見せたいモチーフを効果的に見せられるよう、デフォルメする気持ちで描いてみましょう。
Twitter:@to_to_i