パースってなんだっけ? ゼロから始める背景講座
2016.12.09
絵を描いている皆さんなら、「パース」という言葉をどこかで聞いたことがあるかと思います。用途によってニュアンスが異なりますが、今回の記事におけるパースとは正しい遠近感を把握するツールとして捉えてください。
パースを理解していると正しい遠近感を把握できるので、正しい立体表現ができます。つまり、パースを理解していないと現実世界の遠近感と異なった作品に仕上がってしまうのです。
今回は適切なパースでイラストを描くために、パース手法のひとつである「一点透視」の基本について、背景イラストレーターの有馬憲吾さんにご紹介いただきました。
記事の最後には動画解説もついているので、理解を深めるためにも是非ご覧ください。
「一点透視」を始めとした透視図法に入る前に、遠近感を描く手法について触れておきましょう。
まず、ここで指す遠近感とはなんでしょうか?
私たちの目では近くにあるものは大きく、遠くにあるものは小さく認識しますよね。この「近くにあるもの」「遠くにあるもの」という認識をイラスト(二次元平面上)で表現する技法が遠近感です。
他にもモノの大小だけでなく、遠景のモノは薄く、近景のものは濃く(空気遠近法)でも遠近感を表現できます。
また物体を重ね合わせることで奥行きを認識しやすくする手法もあります。
上の図のように、どちらが近くにあるもので、どちらが遠くにあるものなのか、判別が難しいときにひと目で判断することができます。
重ね合わせや空気遠近法はパースではないですが、このような手法を使うだけでも遠近感を出すことができるので知っておくと便利ですよ。
では、本題であるパースについて説明していきます。
パースには、
と呼ばれる、正しく遠近感・奥行きを把握するための手法があります。
まずは一番理解が簡単で透視図法の基本にあたる「一点透視」についておさえましょう。
一点透視で描くには、まず「アイレベル(EL)」を決める必要があります。
アイレベルとはイラストを写す、カメラの高さです。特にアイレベルの高さを意識していなければ、人の目の高さであることが多いです。
上図の場合、左の人物の目がカメラとなり、絵を写す視点となっています。この視線がアイレベルです。
では、一点透視図法を使って立体的な四角形を描いていきましょう。
まずは正面から見た四角形を描きます。
四角の4つの頂点から出る「辺」が収束する場所を設定し、それに沿って辺を描きます。
その四辺に垂直な線を入れると、パースによって遠近感のついた四角形を描くことができます。
この収束する場所に設定した点を「バニシングポイント(VP)」、または「消失点」と呼びます。このアイレベルと消失点の2つは必ず覚えましょう。一点透視のみならず、全てのパースで使う知識です。
今回の四角形はアイレベルよりも上にあります。すなわち、「底を見上げるような高い位置に存在する四角形」ということで底が見える状態です。
逆にアイレベルよりも下にある四角形であれば上の部分が見えるようになります。
簡単な応用として、一点透視と四角い箱を使うと簡単にパースのついた道・建物を簡単に描くことができます。
このように一点透視は、パースを知るうえでの基本として役立ちつつも正面から見た絵を描く際に適した、実用性がとても高い技法なのです。
続きは、本記事の元になった背景イラストレーターの有馬憲吾さんが教える。『ariの背景イラスト描き方動画』をご覧ください。実際の背景イラストをもとに一点透視図法の解説を行っています。
続きの記事はこちら。
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