物体を描画する際、光沢を描き込むことでツヤを出したりします。イラストの完成度を高める際も、光沢表現は非常に有効な手段のひとつです。
しかし、描いては見たが、どこかおかしい、またはどうやって描いたらいいのか、どこに入れるべきなのかわからない、そういう方もいるかもしれません。
今回の講座はそんな方のために、光沢を描く際に役立つ、光のとある現象について少し解説していきます。
▼目次
理科の授業で学んだことが、イラスト制作に
理科の授業で、光の性質について勉強したことがあるかと思います。入射や反射、屈折などについて、実際問題これを習って、どこで使うのだろうと思いながら試験勉強をしていた方もいるかもしれません。
ご安心ください、絵を描くときは光の挙動についての学習は大いに役立ちます。
フレネル反射について学ぶ
フレネル反射、またはフレネル効果という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 3DCGソフトに親しんでいるなら名前は聞いたことがあると思います。これは水や金属を表現するのに非常に役に立つ効果です。
光が、とある物質から屈折率の違う他の物質に入射する際、屈折してそのまま進むものと反射するものの二つに分かれますが、この二つの光の比率がこちらからの見え方に影響を与えています。
サーフェス(表面)に対して垂直に近い角度で入射すると反射が少なく、屈折して進む光の割合が多くなります。反対に平行に近い角度の場合、反射する光の方が多くなります。
池の水を想像してください。その水面に対して真上、ほぼ90度の角度で覗き込むと水は透き通り、底が見えます。しかし、ほぼ真横に近い角度から見ると周囲の光や景色が写り込んでいるのが見えます。これがフレネル反射です。
この変化は物体のレンダリングをする際にも使えます。例として球体で考えてみましょう。
球体の真ん中部分は視線の入射角が垂直に近く、反射が弱いのであまり光沢がありません。反対に、球の外側にいくほど視線の入射角は平行に近づき、反射が強まりツヤが見えてきます。
※鉄などのツルツルした金属素材の場合は、入射角に対する反射率の変化が少ないため、全ての部分が光沢になり、周囲の光景が映り込みます。
それを踏まえ、フレネルを意識して球のレンダリングをしてみましょう。
フレネル反射を意識した光沢の入れ方
1.ベースの円を描く
2.光源を決め、影をつける
3.反射の強まる縁にハイライトを入れる
4.さらに光を入れて完成
フレネル反射(効果)を考慮して描写することで、より「それらしい」質感を表現することができます。イラストの光沢表現に悩んでいる方は、ぜひフレネルを用いてみてください。
著・画 オオタカハシ
フリーランスのイラストレーター。漫画の色塗りなどもさせていただいてます。