イラストを描く際、「その物体が何であるか」ということを一目でわかってもらうため、物質ごとの質感の差を表現することは重要です。
そこで今回は質感表現のコツ、特に金属の質感表現についてご紹介します。それぞれの素材の差をどうやって表現するの? とお悩みの方向けの講座になります。
それでは、身近な金属である鉄・銅・金に絞って見ていきましょう。
▼目次
鉄の質感表現メイキング
1. ベースを描く
表現したい色合いや環境光にもよりますが、青っぽいグレーを選ぶといいでしょう。
2. 光が最も反射する面(ハイライト)を描く
光源の方向と形を意識しつつ塗っていきます。
3. 側面を描く
反射光を意識しながら塗っていきましょう。
4. 少し曇ったような汚れを入れる
全体が単調な印象にならないように注意しつつ描き加えていきます。
5. ヘアラインを入れる
お好みでヘアラインを入れてもいいかもしれません。汚れやキズ、錆びなどを描くことで状況設定に合った金属の描写ができるので、積極的に活用しましょう。
銅の質感表現メイキング
1. ベースを描く
2. サビを入れる
今回は錆びのついた銅を表現するため、黒っぽく汚していきます。一番目立つ面には汚れにもメリハリをつけ、はっきりとした印象に仕上げていきましょう。
3. 側面を描きこむ
板のふちや角に明るめの色でハイライトを入れると、立体としてぼやけず、引き締まります。
金の質感表現メイキング
1. ベースを描く
金素材に関しては、少しオレンジよりの黄色を選ぶとそれらしくなります。
2. 光が最も反射する面(ハイライト)を描く
この後に暗い面を塗ることを考えつつ、この面が引き立つように塗っていきましょう。
3. 暗くなる面を描く
周囲からの反射光なども想像しながら調子をつけていきます。
4. 面取りを行う
面取りを行い、金らしくしていきましょう。
5.光の調整
追加で光を当てて調整し、完成です。
最後に
さらに今回、鉄、銅、金とそれぞれの質感の差を表現するために、立体の辺部分をそれぞれ異なる方法で描写しました(鉄は何も描かず、銅はハイライト入れ、金は面取り)。こういった小さな部分を意識することで、より質感表現の幅を広げることができます。
著・画 オオタカハシ
フリーランスのイラストレーター。漫画の色塗りなどもさせていただいています。