イラストへの応用を考える! スタジオ撮影のライティング方法をもとにしたハイライトの考察

イラストへの応用を考える! スタジオ撮影のライティング方法をもとにしたハイライトの考察

今回はスタジオ撮影のライティング方法をもとに、イラストでも扱えるハイライトの入れ方を考察します。

 

スタジオ撮影の環境を踏まえることで、より説得力のある描画にチャレンジすることができます。ぜひご参考ください。

 

▼目次

撮影のライティング方法を意識したハイライトの入れ方

 例1:ソフトボックス+レフ板

 例2:オパライト+ソフトボックス

 

撮影のライティング方法を意識したハイライトの入れ方

ライティングの考察

スタジオ撮影には様々な撮影方法がありますが、簡単なものとして、斜め上からメインの光を当て、補助で下からも光を当てる方法があります。

 

例えば、ストロボにソフトボックス(※1)という撮影機材をつけて斜め上から光を当て、下側にレフ板(反射板)を置いて反射光を補助光として利用します。「斜め上からの光」がメインの光ですが、これだけだと鼻の下や顎などに大きく影が落ちてしまうので、それを防ぐために下から補助光を当てます。

 

※1:ソフトボックスはストロボに箱をつけて半透明なシートを通すことで柔らかで大きな面光源を作るライトです。

ライティングの考察

これらの光源が目の表面に写り込んでいることを考えて、ハイライトを入れてみましょう。

 

光の強さによりますが、光は完全な白ではなく、透明性のある写り込みなのでレイヤーの不透明度で調整したいところです。なので、「上側の光源の写り込み用」と「下側の光源の写り込み用」の2種類のレイヤーに分けて光を描くと、不透明度の調整が個別にできるのでバランスを取りやすいです。

 

それでは具体的な例で考えていきます。

例1:ソフトボックス+レフ板

ライティングの考察

スタジオ撮影で人物の上側からソフトボックスという大型の光源で光を当て、人物の下からレフ板で反射光作って補助光として利用する場合を考えます。

 

大きなソフトボックスが目に写り込むと、かなり大きい四角形のハイライトが入ります。しかし、目は球面なので球面に沿うように湾曲して描き込みます。これだけで目の立体感がかなり上がります。ベタ塗りなどで大きめに塗った後、消しゴムで削って整形すると形を作りやすいです。

 

レフ板も同じくらいの大きさの四角いものを使ったことを想定すると目の下側に同程度の四角いハイライトが出来ます。ただし、直接光の写り込みではないのでソフトボックスの写り込みより不透明度を下げておきます。こうすることでリアリティもアップしますし、角膜が虹彩に対してドーム状である表現もしやすいです。

例2:オパライト+ソフトボックス

ライティングの考察

オパライトは丸いライティングツールです。細かい説明は省きますがソフトボックスと少し違ったライティング演出を狙う光源です。

 

オパライトは丸い光源なので目の写り込みに注目すると、ハイライトが丸く写ります。これも単に丸や楕円を描きこむのではなく、白い丸を目の球面に沿うように乗せるつもりで描くと良いでしょう。

 

オパライトは構造上中央に暗点が出来ますが、そこまでこだわらなくても良いとは思います。下からの補助光にソフトボックスを利用した場合、レフ板と違って強く光らせることができるので、よりはっきりした光の写り込みを描いても良いです。ただし、下側の光源が強いとオバケ写真のような怖い写真になるので通常あまり行わないです。なのでやはり下側は薄めに入れておくと自然ですね。

著・画 なご哉

フリーのイラストレーター、フォトグラファー

スタジオでの写真撮影、レタッチの延長線上でイラストを学ぶ。アナログ、デジタルの両方のイラストを制作。

Twitter : https://twitter.com/ngyillust