動きのある絵を作る5つのテクニック
2017.10.10
「絵のシルエットから考えると良い」という考え方がありますが、なぜでしょうか。
多くの人は絵を見るとき、画面全体を大雑把に観察し、そのあと細かい描写に目がいきがちです。人間の情報処理能力には限界があるので、一度に大量の情報は取得できないからです。
最初の印象で見る人に興味を持たせないと、せっかく描きこんだ細部まで見てもらえない可能性があります。
そのため、絵の大枠であるシルエットを考える時点で
をわかってもらう必要があります。
そこで今回はキャラクターのシルエットを考える際に、決めておくと良いポイントを5つご紹介します。キャラクターイラスト制作に役立てましょう!
▼目次
まず、「どんなアクションをしているか」がなるべくシルエットだけでわかるようにしましょう。
例えば、シルエットだけで、歩いている、腕を組んでいる、ころんだ――など、わかるように、よりダイレクトに伝わりやすい動きを模索してみましょう。
動きを決めるポイントは、こちらの講座もご参考ください。
次にシルエットだけで進行方向がわかるようにします。
これは、どうしても動きが固くなってしまう……といったときにも効果的です。人は直線には静止、斜線には動きを感じます。シルエットを傾けることで、躍動感のある絵に仕上げてみましょう。
もちろん、躍動感を出したくない場合は、シルエットの傾きは最小限で良いです。
上の画像は、どちらも歩いている絵ですが、右の絵の方が前に進もうとするイメージを感じられるのではないでしょうか。
シルエットにしてみるとわかりやすいのですが、右の絵は後ろ足の傾きのラインが強めになっています。左の絵は、動きのある絵にしてはバランスが整いすぎているのです。
このように、全体を、またはどこか一か所でも斜めのラインがあると躍動感のある絵に仕上がります。
進行方向がわかる絵とは、
でもあります。
静止を表現したい場合は除きますが、シルエットに傾きを加えてストーリー性のある絵にしてはいかがでしょうか。
進行方向を傾きで表現したくても、前に進んでいる、または後ろに進んでいるといった場合は傾きが利用できません。そんなときは、シルエットのサイズを変更することで対応しましょう。意図的に手前のものは大きく、後方のものは小さくすることで、前後感を表現します。
「どんなアクションかわかるようにしよう」と言っても、どうしてもシルエットでは表せないときもあるでしょう。
例えば、画像のように手前に向かって手を伸ばしているときです。
シルエットを重要視するならば、体の角度を変えるだけで解決します。しかし、手前に手を伸ばされるという威圧感、圧迫感など、本来表現したかったイメージが崩壊してしまえば本末転倒です。
こんなときは、黒だけでなく、白も使ったシルエットで考えてみましょう。注目ポイントである手前に突き出した手だけ、明度や彩度などを変えて浮き上がらせます。
他の細部と同じようなコントラストで描いてしまうと、シルエットに埋もれてしまうので注意しましょう。
上の画像を見てください。パッと見、右のキャラクターの方が、動きがあるように見えるのではないでしょうか。これは飛び出ているポイントが多いため、動きが大きく感じられます。
躍動感のある絵にしたい場合は、右のキャラクターで問題ないでしょう。
ただし、「右足から続く、大きな弓なりの曲線に注目してほしい」という制作意図を持っていた場合は、話は別です。
シルエットに出っ張りが多いということは、それだけ注目点が多いということです。右の画像では、大きな弓なりのシルエットに視線が行くのを、右手が邪魔しています。
どこに注目してほしいかを考え、不必要な部分はあえてシルエットで目立たせないようなポーズにするのも重要です。
大きなシルエットの流れは決まった……でも、シルエット上では目立たないけどこのアイテムにも注目してもらいたい……という場合もあるでしょう。
例えば、上の画像のように、大きな流れである傾いた体のラインを崩したくはないが、小道具でもあるナイフにも注目はしてもらいたい場合です。
そんなときは、メインのシルエットから少しだけ出っ張りを作ってみましょう。たとえ小さくても、人はシルエット上の出っ張りには敏感に視線を動かしてくれます。あまり大きくはみ出してしまうと、全体の流れが変わってしまうので、注意しましょう。
pixiv|https://www.pixiv.net/member.php?id=5764826
Twitter|https://twitter.com/zeromomo0100