透明感を演出するテクニック10選

透明感を演出するテクニック10選

水晶のように透き通ったきらめく瞳、日の光に照らされて透ける髪の色、ガラス製品や液体の透け感…。キラキラした輝きや透明感を容易に表現できるのが、デジタルイラストの魅力の一つです。

 

今回はそんな「もっと絵に透明感を加えたい」と思った時に使えるテクニック10選をご紹介します。テクニックをひとつ追加するだけでも、絵の雰囲気がガラッと変わると思います。

 

 ▼目次
透明感とは
 ① 暗い部分にハイライトを当てる
 ② 境目に彩度の高い色を置く
 ③ 全体の彩度を下げる
 ④ 線画をなじませる
 ⑤ 周囲の色を重ねる
 ⑥ 薄い色でフチを潰す
 ⑦ 異なる色でグラデーションをかける
 ⑧ 濃い部分を作る
 ⑨ 反射光を描く
 ⑩ 影の濃さを使い分ける

 

 

透明感とは

透明感を出すテクニックについて考える前に、まず透明感とはどんなものか、どんな絵を目指すのかを決めておきましょう。人によって透明感の定義は変わると思いますが、この講座では…

  • 透き通った感じ
  • 濁りがなく明るい

といった感じを目指します。
 
今回は、リアリティよりパッと見の透明感を優先しているので、現実ではありえない表現も含みます。リアリティを重視したい場合は、素材の反射具合や光源の種類に沿って色を置いてください。


① 暗い部分にハイライトを当てる


ハイライトを当てると透明感が増します。ハイライトは明るいところに置くより、暗い部分に置いた方が目立ちます。そこで、透明感を出したい部分はあえて彩度・明度を下げて暗くして、ポツンとハイライトを置いてみましょう。

本来はあまり強いハイライトが入らない素材の場合は、ハイライトの明度を少し下げると自然な透明感を演出できます。


② 境目に彩度の高い色を置く


光と影の間に彩度が高い部分(緑の➡の部分)を作ると透明感が出ます。本来は素材や光源によって色は決まりますが、例えば肌の色でも赤系を入れた方がまとまりが出る場合や、青系の方が濁りが少ない場合などあるので、絵の方向性に合わせてさまざまな色を置いてみましょう。


③ 全体の彩度を下げる


あえて全体の彩度を下げて、一部だけ彩度を上げると透明感が出やすいです。彩度が高い部分を少なくすることで、逆に彩度の高さが際立ちます。彩度の差で、光と影のコントラストを作る感覚です。
 
上の画像もぱっと見はわかりにくいですが、前髪や花以外の彩度を落としています。

 
④ 線画をなじませる


線画がくっきりしていない方が透明感を出しやすいです。線画に明るい色を追加してみましょう。ただし、光と影の明暗がしっかり取れていない状態で線画を薄くすると、図形の形が崩れるので注意しましょう。
 
線画のくっきりさを残したい場合は、シルエットを象る線画だけ残し、内側の線画の彩度・明度を上げてみてください。

 
⑤ 周囲の色を重ねる


周囲の色を重ねて、後ろの物体が透けて見えるように演出してみましょう。髪や薄いシャツなどが効果的ですが、薄くない物質で行っても絵が馴染むので効果的です。

 

どこまで嘘の演出をOKとするかは、描きたい絵の方向性に合わせて決めましょう。

 
⑥ 薄い色でフチを潰す


空気遠近法とも反射光とも取れる曖昧な技法ですが、目立たせたいものの周囲を薄い色で潰すと透明感を演出できます。③と似た効果です。

 

カラーは絵に合わせて選びますが、迷った時は薄い青を選びましょう。絵を落ち着ける効果があります。


⑦ 異なる色でグラデーションをかける


グラデーションをかける場合は、同じ色相ではなく、色相環をずらした色を選んでみましょう。同じ色相だと単調ですが、他の色を足すことで鮮やかにする効果や、周りの色が反射しているような演出ができます。

 

画像では、服の部分に赤系の影とは別に水色のグラデーションを入れています。


⑧ 濃い部分を作る


透明感と言えば淡い色を想像することも多いかと思いますが、あえて濃い色も用いることで淡い部分を強調させましょう。

 

全体的に淡い色のモチーフの場合は、あえて一部だけ影を濃く入れるなどしてメリハリをつけましょう。


⑨ 反射光を描く


反射した色という想定で色を追加して透明感を出します。物体と同系色じゃないほうが効果的です。特に背景などを想定しない場合は、自由に色を足してみましょう。

 

嘘の演出になりますが、反射しにくい素材にも少し色を足すことで絵全体の透明感が増します。

 
⑩ 影の濃さを使い分ける


濃い部分は濃い影を置き、薄い部分は薄い影を置くと、澄んだ印象が強くなり、透明感が演出しやすいです。


上の画像は、左がテクニックを追加する前、真ん中が5つだけ追加したもの、右が全て追加した絵です。それぞれだいぶ印象が違うかと思います。これらのテクニックは絵柄にも影響を与えるので、自分が目指す絵柄にマッチしたテクニックを取捨選択してください。

 

科学的な知識も重要ですが、時には嘘の演出を混ぜることで面白い効果を発見できることもあります。ぜひ色々試してみてください。

著・画 ゼロモモ

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