影の描き方や影色の選び方を知ろう!「影の描き方」(前編)
2025.10.14
ばななふぃっしゅさんによる『影の描き方【初心者必見】』の動画をもとに、影の描き方をご紹介します。
前編では、影の基本的な原理を解説しました。
中編は様々なシチュエーションでどういうふうに影色を選べばいいかを解説した、より実践的な内容となっています。
▼目次
影色の作り方
 彩度・明度
 通常レイヤーで影色を作る方法
 乗算レイヤーで影色を作る方法
シチュエーション別の影
 ①青い空/芝生・草原
 ②砂浜や運動場
 ③海の上
 ④雪の上
 ⑤夕方
 ⑥森の中
今回は周囲の環境の色に着目して、様々なシチュエーションで影の色がどう変化するかを詳しく解説していきます。
イラストでよく登場する場面を解説しますが、今回の考え方を使えば他の状況でも応用が可能です。
影の色について前回ご説明したことは「影は空の青の影響を受け、色合いが少し青に寄った色になる」ということと、

「地面からの照り返しの光によって、物体の下の方は地面の色の影響を受ける」ということでした。

この理論から分かることは、影の色を選択する際に大切なことは周りの環境だということです。
周りの環境に合わせて影の色を選択すると、キャラクターと背景が馴染んだリアリティのある絵になります。
それでは周囲の環境が変化すると影の色はどう変わるのか、様々なシチュエーションで見ていきましょう。
まずは実際の写真の影の色を見てみましょう。
色の変化が分かりやすいよう、周りの色が反映されやすい白色の部分に着目してみます。
この猫は青空の下にいるので、影が青みがかっています。

【出典:Pixabay https://pixabay.com/ja/】
2枚目の写真を見てみましょう。こちらの猫は森の中にいるので、影が黄緑がかっています。

【出典:Pixabay https://pixabay.com/ja/】
このように、周りの多くを占める色に合わせて影の色味は変わります。
では次に、イラストを使って実験をしてみましょう。このリンゴのイラストの周りの環境を様々な色に変えてみます。

まず、空を黄色に変えました。

この環境に合わせてリンゴの影も黄色味がかった色に変えてみます。

そうすると、リンゴが背景に馴染んだ絵になったのではないでしょうか。
影部分の色相を周りの色に近づけるというだけでなく、影の濃さや暗さに関しても「影の色を周囲の色に合わせる」という理論が使えます。
周りが明るい場所のときには影が薄くなり、

暗い室内にいるときは影が濃くなります。

このように、周りの環境を見て影の色を選択することで、キャラクターと背景に統一感が出てリアリティが増します。
ただし、あえてキャラクターや物体が背景から浮いて見えるようにするとかっこいい表現になることもあります。イラストで何を表現したいかによって使い分けるようにしましょう。
ここまでで影の色がどうなるかを見てきました。
今度は自分でイラストを実際に描いていくときに、どのように色を作ればいいのかをご説明します。
まず色味は周囲の環境の色に近づけるようにすると説明しましたが、影の彩度と明度はどうすればいいでしょうか。
影をつける時の色の選択に関して「カラーサークル上で元の色よりも右下に移動させる」という理論をよく耳にするかと思います。

カラーサークルの四角形は、右に行くほど鮮やかな色になり、下に行くほど暗い色になっていきます。
影の部分の色は、元よりも暗く、彩度の高い色を使うようにしましょう。
色を作るときには大きく分けて2パターンのレイヤーの使い方があります。通常レイヤーを使う方法と、乗算レイヤーを使う方法です。はじめに、通常レイヤーの方から説明します。
まずは、影を元の色の色相はそのままで、彩度を上げ、明度を下げた色にします。


これでリンゴの影が暗い赤色になりました。
今度は背景の色をスポイトし、不透明度を下げたエアブラシなどで影の上から塗り重ねます。

背景が黄色なので、黄色をスポイトツールで拾い、リンゴの影の上に薄く黄色を塗りました。こうすることで、ブラシで塗った部分が少し黄色みを帯びた色になります。
新しくできた色をスポイトし、影全体をその色にすると、「影色が黄色みがかっているリンゴ」が出来上がります。

そして、照り返しの光を作る時も同じようにスポイトし、不透明度を下げたペンで塗り重ねると色を作れます。

地面の緑色をスポイトツールで拾い、リンゴの影に薄く緑を塗り重ねました。
ペンの不透明度はお好みですが、大体50%くらいでいいでしょう。
また、下地混色をしながら塗れるペンツールを使っても同様のことができますので、お好きな方で描いてください。
それでは次に、乗算レイヤーを使って色を作る方法の説明です。
こちらはかなり簡単なのでおすすめの方法です。
まず、背景の色をスポイトします。この背景は非常に彩度の高い黄色ですが、色相はそのままで彩度を落として「グレーに近い黄色」を作ります。

作った色を使い、乗算レイヤーでリンゴに影をつけていきます。

これだけで、黄色みを帯びた影の色を作ることができます。
ただし、彩度がゼロで完全にグレーになった色を使って影を塗ってしまうと黄色味のある影にはなりません。必ず、ある程度の彩度を持たせたグレーを使いましょう。

カラーサークルの四角形は、左に行くほど彩度が低くなって灰色に近づきます。四角形の左端は色が全くない完全なグレーになってしまうので、選択する色は左端ではなく少し中央に寄せましょう。
それでは次に、よくある背景とそれに伴う影の色の種類をまとめてみました。空の色や地面の色が変わると、影の色がどうなるかを見ていきましょう。
まずは青い空と芝生や草原などの組み合わせです。

影は青みがかっていて、下から緑色の反射光が照り返しています。
次に、地面を白に近い黄色にしてみます。これは海の砂浜や運動場などに近い環境です。

下からの照り返しが白に近い黄色になりました。
そして海の上、もしくは海で遊んでいる時に近い環境です。

照り返しは青色や水色っぽい色になります。
次は雪の上のシチュエーションです。

これまでと同様、影の色は青みがかっています。ただし、地面の白は光を反射しやすいので照り返しがかなり強くなり、影が薄くなっています。
空を夕方にしてみましょう。

背景が夕方になると、光の色はオレンジ色に近づきます。そのため、リンゴの光の当たって明るくなっている部分の色もそれに合わせてオレンジ色に近づけました。
そして、夕方の空は太陽と反対側が紫がかっていて、夜の色に近づいています。周囲の環境の色が紫がかって暗くなるため、影の色は紫色を帯びて暗い影となっています。
最後に、背景を森の中に変えてみましょう。

そうすると、影全体が緑がかった色になり、照り返しも緑っぽくなります。
以上がよくある背景の種類です。他にも色々な環境があるので、それに合わせて影の色を選択していきましょう。

理論としてはどのような背景でもこのように影の色を作ることが可能ですが、実物の写真を見て研究するのもおすすめです。
それでは、次回後編ではキャラクターのメイキングで、どのように影や照り返しを使って人物と背景を馴染ませるかをお見せしますので、よろしくお願いいたします!
こちらの動画では、実際に描き込む過程と詳しい解説を聞くことができます。より理解を深めたい方は是非ご覧ください。
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