イラストで生計を立てるには? イラストレーター 珈琲貴族さんによるライブドローイング&添削会レポート
2018.10.12
全国の総合学園ヒューマンアカデミーにて大好評開催中のイベント『<全国開催>有名イラストレーターによるライブペイント&添削会』。これまでにプロイラストレーターとして活躍しているクリエイターの方々にご登壇いただきました。
2019年度の第一回はカズキヨネさんにお越しいただきます。ライブドローイングをはじめ、イラストレーターを目指す方々が気になる質問にもお答えいただきました。
《プロフィール》
イラストレーター・原画家
『薄桜鬼』や『緋色の欠片』シリーズなど、人気ゲームやアニメのキャラクターデザインを手掛ける。また、『華鬼』や『ヤタガラス』など、小説の挿絵も担当。圧倒的イケメンキャラが人気を博し、幅広く活躍している。重度のツノフェチ。名前の区切りはカズキ/ヨネ。
△今回のイベントに集まった総合学園ヒューマンアカデミー秋葉原校の参加者。女性参加者が一段と多く、カズキヨネさんが女性層から強く支持されていることを感じる。
▼目次
総合学園ヒューマンアカデミーの次回イベントは7月6日(土)!
今回のライブドローイングはカズキヨネさんの代名詞である「角×イケメン男性キャラ」をテーマに、限られた時間の中でイラストを描いていただきました。参加者からのいただいた質問とあわせてライブドローイングのハイライトをお届けします。
△ライブドローイングで描かれたイラスト。
―― 普段、キャラクターデザインをする作業時間はどのくらいですか?
デザインはすぐにできるときとできないときがありますね。早いときだと下描きから完成までで1日。長いときだと2週間ぐらい考えています……。
デザイン部分で考えている時間はさておき、実作業を工程別に見るとラフより塗りに時間がかかっているケースが多いです。さらに背景ありだと、なお時間がかかりますね……苦手意識がありまして。
苦手なので、先に背景作ってからキャラクターを描く手段をとったりしています。あの頃は工場の背景を描くために取材しにいったりしました。
△顔の塗りメイキング。ベースカラーを決めて、ライトと影を落としていく。(gif動画)
――キャラクターデザインのコツやポイントはありますか?
基本的にお仕事はクライアントさんから依頼内容に合わせて描きますので、頂いた指示にあわせて提案するかたちで描いています。
コツみたいな視点とはちょっと違うかも知れませんが、私は和服系の仕事依頼があったときは神社やお寺などの建築物に出向いてよく観察していました。建物の細かなデザインを衣装デザインにも参考にできればなと。ちょっと遠くて出かけられないときはインターネットで資料を探したりしています。
そんな感じに実際のデザインを参考にして、デザインの説得力を上げられればなと思っています。
あと、キャラクターデザインで意識している点について考えると、魅力的に見えるかどうかを重要だと思っています。パッと見で印象に残るようなキャラ作りを心がけていますね。
△目のメイキング。目のベースカラーを元に、ライティングがいくつも入っている。 (gif動画)
――男女の描き分け方、特に手の描き分け方を教えてください。
男女の手の描き分けですと、男性はゴツゴツ、女性は流れるような曲線を意識すると良いと思います。さらには、女性は爪先を長くしてあげる。男性は爪を平っぽくしたり、指の関節や手の甲の骨の描写をしてあげたりしましょう。
△シワの表現。最初に大まかに体の立体をとる影を描き、その後にシワを柔らかいブラシで描く。シワの影は伸ばしたり消したりすることでバランスを整えている。
――絵を上手くするためには、質と量どちらを優先するのが良いのでしょうか?
どちらかといえば、質より量だと思っています。たくさん描くことが大切です。ただ描くだけなくて、「絵を完成させるまで」ってところまでやりきり、完成させるまでの経験をたくさん積むのが大切です。途中で諦めたり、投げ出したりしないようにしましょう。
▲ライブドローイング後に仕上げていただいたイラスト。
最後は作品講評会です。全国の総合学園ヒューマンアカデミーに在学中の皆さん・一般の方からのイラストをカズキヨネさんが講評する企画。たくさんの応募の中から抽選で選ばせていただきました。
カズキヨネ:
かわいらしくていいですね。オレンジが美味しそうです。
フリルの動きや影が立体的に描けていると思います。しっぽのリボンにも動きがあっていいですね。目も透き通っていてすごく綺麗!
那覇校学生:
ありがとうございます! 私はデジタルイラストはじめて五ヶ月ぐらいです。どういったところを直したほうが良いのでしょうか?
カズキヨネ:
脚の手前と奥の長さや足首あたりに違和感があるのでそこから直してみると良いかなと。時間を空けてから客観的に見直して、違和感を感じる部分から直しましょう。
那覇校学生:
ありがとうございます!あと、もうひとつ。仕事だと〆切があるので描ける時間が限られていると思います。そのような中で自身が許せるクオリティに持っていきたいときってどのようにしていますか?
カズキヨネ:
限られた時間内でできるだけ頑張るようにし、その中でパフォーマンスを出します。それ以降はやりきった自分を褒めて、次に頑張るようにしています。
那覇校学生:
最後の質問です。カズキヨネ先生は塗りのテイストを変えたりしているのですか?
カズキヨネ:
そうですね。筆が変わるとテイストが変わったりしますね。あとはクライアントが求める雰囲気に合わせても塗りのテイストを変えたりしています。
横浜校学生:
作品は春をテーマに描いたキャラクターイラストです。
カズキヨネ:
舞い散る花びらがいいですね。ピンぼけで奥行き感があるのもいいです。逆光に挑戦していたりと、演出にもこだわりを感じます。
ただ、逆光の光源がしぼれてないので、片方に絞ってあげると良くなると思います。
横浜校学生:
ありがとうございます。質問なのですが、服の質感表現の違いが上手くだせなくて描き分けのコツなどを教えてください。
カズキヨネ:
シワの入り方が質感によって変わるので、その違いで質感表現ができればと思います。ジャケットであれば固めなので、シワは大きくできます。対して、シャツは柔らかいのでシワが細かく入る特徴があります。
このイラストだとシャツのシワが、ジャケットのようなシワになっているので、もっとシャツのシワを観察して描いてあげると良いでしょう。
名古屋校学生:
一番奥から6月、7月、8月をイメージして擬人化したイラストです。顔のバランスなどにも違和感を覚えていたりしているのですが、他にもアドバイスいただければ幸いです。
カズキヨネ:
背景が描けていたり、キャラクターの配置に奥行きがあったりとしっかり描けたイラストだと思います。
アドバイスするなら、例えば真ん中の男の子。足元を白くぼかしてあげると空気の遠近感がでるかなと。
名古屋校学生:
自分の癖で絵の彩度が高くなってしまうのですが、彩度を抑えたり活かしたりするにはどうすれば良いでしょうか?
カズキヨネ:
彩度が高いのは悪いことではなく、色が飛んでいるわけでもないのでこのままで良いかと思います。それでも、彩度を落としたい場合は色調補正で彩度下げてみたり、風景の写真をテクスチャとしてハードライトやオーバーレイとかで置いてあげると落ち着いてくるかもしれません。
以上、カズキヨネさんによるライブドローイング&講評会でした!
今回も参加者からたくさんの質問が集まり、各々が持つ疑問や課題が少しながらでも解決できたセミナーになりました。
その後、Twitterでは参加者の感想もツイートされていますので、こちらも合わせてご覧ください。
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漫画家、イラストレーター、ゲームクリエイター。代表作はアニメ化もした大ヒット漫画『BTOOOM!』。シューティングゲーム『怒首領蜂』シリーズや『デススマイルズ』などの制作にも携わる。
アニメーター、キャラクターデザイナー。『君の名は。』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』など様々な大ヒット作品の作画監督やキャラクターデザインを務めている。
イラストレーター、漫画家。ゲームアプリ『ドールズフロントライン』の一部キャラクターデザインや漫画『放課後のプレアデス』などを手がける。
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