背景とキャラのバランス
キャラクターイラストに背景を描き加えたとき「背景がキャラクターより目立ってしまった」ということはありませんか?
原因は、キャラクターと背景のバランスの崩れかもしれません
2種類の背景を覚えよう
背景は大きく分けて以下の2種類に分けられます。
- 背景イラスト:単独で使用する風景などのイラスト
- キャラ背景:キャラクターの後ろに描き、人物を引き立てるイラスト
今回は「キャラ背景」に注目します。
キャラ背景の3つのポイント
キャラクターを引き立てる背景イラストは
- 明度差、色相差
- スケール感、サイズ感
- 光の合わせ方
の3つのポイントを押さえることが重要です。
こちらの人魚のキャラクターが引き立つように、背景に海の風景を描いていきましょう。
明度と色相の差
キャラクターが生える背景色選び
キャラクターを効率よく引き立てるには、大まかなラフの段階で背景とキャラクターの明度差、色相差を明確にしておくことが重要です。下図を見ると肌の色が背景から引き立っているのに対して、髪の毛、下半身は同化していることがわかると思います。
まず髪の毛ですが、こちらは背景色との色相差が大きいのに対して明度差が小さいため、シルエットが引き立っていません。次に下半身です。こちらは逆に背景色との明度差が大きいですが色相差が小さいため、色味が引き立っていません。これらの問題を解決するような背景を考えてみます。
部分ごとに明度差や色相差を調整
髪の毛の周囲の背景は、海面に近い表現で明度差を大きくし、下半身の周りは沈没船を入れて色相差を大きくすることで、それぞれの部位を引き立てることができます。
早い段階でこれらの問題を意識することで背景に必要な要素、不要な要素が明確になり、その後の作業がスムーズになります。
背景のスケールとサイズ感を伝える
世界とキャラクターのサイズ感を合わせる
せっかく魅力的なキャラクターを描いても、背景のスケール感が正しく表現されていないと臨場感がなくなります。下図では背景の沈没船のサイズ感がわからないため、見ようによっては人魚が腰をかけられるほど小さい船のようにも見えます。
人物と背景を描き分けるコツは「人物の左右にあるものを大きさの基準にすること」です。この基準より手前は大きく、遠くは小さくするのがパースの基本です。ここでは基準の役目を果たす魚の群れを描き加え、手前と奥の大きさの違いでスケール感を示しています。人魚の足元にあるサンゴも、沈没船との距離を強調するのに一役買っています。
キャラクターと光を合わせる
光の色調を揃える
キャラクターが日差しの中にいれば当然影は強くなり、発色は鮮やかになります。霧の中にいれば、影の色合いもぼんやりとしてきます。
もし青い照明があたる部屋ならば、キャラクターの塗りに青色を入れることで背景とキャラクターが自然に見えてきます。青色を入れる場所は、影の中や反射光を受ける部分です。とくに背景と接する影の部分は、背景の色の影響を強く受けます。
ここでは画面全体に青味を追加して色調を揃え、キャラクターの影に青い反射光を入れることで、その空間におけるキャラクターの実在感が増しています。こうして細部を仕上げたあと、キャラクターに対して背景が目立ちすぎていると感じたら、背景のコントラストや彩度を弱めるなど微調整を行って完成です。
人物をグッと引き立てるキャラ背景のコツを実践してみてくださいね。