立体感と素材感を与える!服のシワの描き方

立体感と素材感を与える!服のシワの描き方

服を描くときに欠かせない「シワ」の描写。

 

実物を見ても、たくさんシワがあってどうやって描けばいいか分からず、「とりあえずシワのようなもの」を描いていませんか?そこで今回の講座は、「描き込み方が分かる!立体感が増すシワの描き方」をご紹介します。

服のしわの描き方

はじめに、こちらの女の子の絵を見てみましょう。シワの描写のあるなしでこんなに印象が違います。服の平面的な印象が消えて、立体感と素材感を感じられるようになりました。

よくある失敗例

それでは、まずシワの描き込み方がよく分かっていない失敗例を見てみましょう。

あなたの作品は陥っていないですか?

間違ったシワの例1

間違ったシワの例

スカートなど広い布地部分に適当な「シワのように見せたかった線」を入れています。特に腕の部分は、線を追うようにシワを入れた結果、腕の長さや形も不自然になっています。

間違ったシワの例2

間違ったシワの例2

こちらの絵だと、服の構造を無視したシワが入っています。

 

トップスは布地の切り替えや境目に、そしてスカートは重力に反して横方向にシワがあり、リアリティに欠けていますまた、シワを意識しすぎてシワの線が主線より太くなり、シワの存在感が強すぎる印象です。

 

これらはシワの構造をわかっていない状態で描いたときによくある失敗例です。

 

では「シワの構造」とは何でしょうか。

シワのできる仕組みやコツをここから説明します。

STEP1:シワはこんな場所にできる

服のシワはどこに出来るのか、よくシワのできる場所を把握しましょう。

1.引っ張りによるシワ 

シワは縫い目を中心にできる

服を着て身体を動かすと、服の縫い目に生地が引っ張られてシワができます。

 

上着のボタン、ズボンのファスナーや股の縫い目など、しっかり縫われている部分ほどシワが出来やすいです。

 

また腕を曲げるなど動きをつけたときも、内側に曲がった部分から外側に向かって生地が引っ張られて放射状にシワができます。

2.重力によるシワ 

重力によるシワ

ゆったり着る洋服は布の重みで下の方にたるみを持ちます。

つまり、トップスの腰周り付近、ブラウスのカフス付近、パンツの足首部分などは生地がたるみを持ちやすい場所です。

 

対して、ストレッチ素材やレギンスなど肌にぴったりなサイズはたるみが発生しにくいです。

 

ここまででシワが出来る2つの基本を紹介しました。

次はシワを入れることによって、絵にどのような効果を生み出すかを紹介します。

STEP2:正しいシワの描写で質感アップ

服にシワを加えることで、服の下の身体のラインを表現でき、立体感やリアリティが増します。

シワなし

上の絵は胸が控えめな少女の絵ですが、これにシワを加えてみると……。

 シワを入れる

数本シワを足しただけでも胸の膨らみや腕のラインなどがほんのり出ます。

シワの質感を出す

更に、質感を出すためにシワを足すと、先ほどの絵より胸の存在感が出てバストアップしました。

 

胸の形をより浮き立たせたシワ、そして腕や股にも身体のラインを連想させるシワを追加することで一層セクシーさが引き立ったのではないでしょうか。

ただ、あまり露骨に描きすぎると衣服の質感まで変わったように見えるのでほどほどにしましょう。

STEP4:【応用編】シワの描き方で素材やデザインが変化する!

シワの効果で服だけでなくその中の身体も表現する方法を説明しました。シワの効果はそれだけではなく、服のデザインや質感を変化させることもできます。

シワの例

例えば、このTシャツの首周りと袖周りにギャザー風なシワを追加して描きます。

シワで質感を変える

すると、普通のTシャツが、ギャザーをふんだんに使ったオシャレなカットソーに早変わり! スカートにも少し引き締まった感じを出しました。

 

スカートも、シワをどう描くかで素材感に違いが出ます。

シワの入れ方で素材感に違いが出る

 
左は普通の綿のスカートに見えますが、細かいシワを大量追加した右はプリーツ加工の繊細なフレアスカートのように、上品でエレガントな印象に変わりました。

 

このように、シワは服に質感を与えるだけでなく、主線に一切手を加えなくても生地やデザインのアレンジすることや、布地の柔らかさや硬さなどを表現できます。

シワの描き方まとめ

本来、シワのテクニックを見につけるため一番いいのは、実際のシワを観察することです。ただ、シワを観察するとき、実物を見たとおりに、すべて描いたらかなり細かくなってしまいます。最初は大きい目立つシワを注目して参考にするのがおすすめです。

 

どういう服の動きでどういうシワができる、厚く硬い生地と薄い生地のシワの差などを普段からチェックしておけば、イラストを描くときに今回の説明したポイントを一層活かせますよ!

 

著・画:両角潤香(もろずみじゅんか)

Web http://morozumix.com/

Twitter https://twitter.com/morozumix

漫画家、イラストレーター。主に角川系や電撃系の少年誌等で活動。ゲームやアプリのキャラデザインやイラストも多数手がける。

イラスト技法書制作やアミューズメントメディア総合学院講師も行っている。